UFOと地球 

 地球は多くの超文明惑星から訪問を受け、その中の一つUFO惑星とCIAの協定が締結されて数十年が経過し、そのUFO惑星の人達をCIAは『グレイ』と名付けていた。

地球と超文明UFO惑星のセレモニーがアメリカ合衆国ワイオミング州デビルズタワーで行われた時の事。UFO惑星に選ばれた日本人たちはセレモニーに参加する為、UFOに乗せられて会場まで行くのである。

UFOに記憶を消されている僕は当日、無意識に楽しい事があるとだけ思いながらUFOへ乗る為に夕食前に家を出た。各地からはいつもUFOへ乗る何倍もの日本人がUFOに乗っている。UFOはアメリカに移動した。

アメリカ各地でデビルズタワーまで距離のある地域に住む多くの人達を乗せセレモニーへ参加させるのだ。
アメリカは列車事故で猛毒が漏れ一帯は避難していると偽の事故を報道している。家が近い人達はUFOからコントロールされ警戒を潜り抜け陸路をデビルズタワーへ向っている。

UFOは低空でゆっくり移動しながらデビルズタワーへ続く道路周囲の驚きの光景を見せた。道路沿いに牛が何頭もこれ見よがしに倒れている。「デビルズタワーへ向かう人が危険と思い帰るように仕向ける為 牛は軍が殺した」と云う。
セレモニーの本番を迎えアメリカは用意周到し国軍と州兵を動員して検問を行い誰も近付けさせない大がかりなものである。

UFOはデビルズタワーの周辺に来たがまだ昼間、セレモニーは夜なのに早く来た目的は何なのか、既にデビルズタワーの直近にいる。セレモニーの施設や広場は簡易的に急造したと見え頂上ではなく思っていたより下にある。

UFOに気付いて慌てている人達、大騒ぎになり施設の前の広場へ沢山の人が飛び出し蜂の巣をつついたような光景になっている。

目次

=01=・・・・・UFOと地球  

=02=・・・・・別の文明惑星  

=03=・・・・・廃墟の惑星    

=04=・・・・・グレイを家に招く






=01=UFOと地球 

 地球は多くの超文明惑星から訪問を受け、その中の一つUFO惑星とCIAの協定が締結されて数十年が経過し、そのUFO惑星の人達をCIAは『グレイ』と名付けていた。
地球と超文明UFO惑星のセレモニーがアメリカ合衆国ワイオミング州デビルズタワーで行われた時の事。UFO惑星に選ばれた日本人たちはセレモニーに参加する為、UFOに乗せられて会場まで行くのである。

UFOに記憶を消されている僕は当日、無意識に楽しい事があるとだけ思いながらUFOへ乗る為に夕食前に家を出た。各地からはいつもUFOへ乗る何倍もの日本人がUFOに乗っている。

UFOはアメリカに移動した。アメリカ各地でデビルズタワーまで距離のある地域に住む多くの人達を乗せセレモニーへ参加させるのだ。アメリカは列車事故で猛毒が漏れ一帯は避難していると偽の事故を報道している。家が近い人達はUFOからコントロールされ警戒を潜り抜け陸路をデビルズタワーへ向っている。

UFOは低空でゆっくり移動しながらデビルズタワーへ続く道路周囲の驚きの光景を見せた。道路沿いに牛が何頭もこれ見よがしに倒れている。「デビルズタワーへ向かう人が危険と思い帰るように仕向ける為 牛は軍が殺した」と云う。
セレモニーの本番を迎えアメリカは用意周到し国軍と州兵を動員して検問を行い誰も近付けさせない大がかりなものである。

UFOはデビルズタワーの周辺に来たがまだ昼間、セレモニーは夜なのに早く来た目的は何なのか、既にデビルズタワーの直近にいる。セレモニーの施設や広場は簡易的に急造したと見え頂上ではなく思っていたより下にある。
UFOに気付いて慌てている人達、大騒ぎになり施設の前の広場へ沢山の人が飛び出し蜂の巣をつついたような光景になっている。

 UFOグレイは未だ時間があると云い行きたい場所があるならと聞き、仲間がグランドキャニオンを観たいとお願いした。僕は何回も観て行きたくないが仲間が行きたいのだからと他は希望しなかった。
 UFOグレイは「礼の意味だ」と渓谷をゆっくり移動した。グレイはいつも僕達には支配者とした高飛車対応するが、礼の意味とは初めてだった。 



 薄暗くなりUFOはデビルズタワーに一旦近づくも離れ、暗くなってからUFOはデビルズタワーを遠巻きに回りながら近づいて行く。照明で昼間よりも充実した施設に見えUFOを迎える為の点灯が滑走路のように見えている。(表紙画像参照)
 「滑走路は必要なの?」と女子が聞いている。「馬鹿な質問 要る訳ない セレモニーだから お祭りだから 華やかに飾るのだ」UFOとアメリカのセレモニー、僕達やCIAにとってUFOは当たり前の事だ。
 UFOからは沢山のパイプ状のアンテナだろうか出したり納めたりしていた。本当にアンテナの役目もするが本来の用途は別だとグレイが云うが内容の説明はない。UFOはセレモニー広場上空で停止し、更に近付きゆっくり下降して低空停止した。






 デビルズタワーの施設から音調を送ってきた。冗談ではないだろうがUFOも音調を返す。UFOに居てアメリカの対応が恥ずかしい。
UFOグレイの惑星にはメロディーが無く音階は和音に足りない音階があると聞いた。音楽は不要、意思の疎通は超脳波が遣る。

セレモニーの施設側から着陸を要請されたUFO、更に低い位置まで降りる。惑星の決まりでセレモニー用宇宙船は着陸不可となっている。通常は地上十mの停止であり八m以下での停止は禁止なのだ。
アメリカは何回も着陸を要請しUFOは更に低く地上二mで静止した。 惑星の禁止基準を大幅に超えセレモニーのUFOグレイ達が後に処分対象になるのか心配になった。
(この後には現場UFOの要請から、地上二mの停止と大幅に基準が見直された)

僕達には上階の部屋で待機の指示が出され勝手に出る事は許されず何の為に此処へ来たのか分らない。セレモニーに来た理由説明はなく軟禁のようにされ無駄に時間が経過し下のホールを見たいが全員の行動を制限している。



「UFOの乗組員は全員ホールへ出ろ」との指示に不満を云うグレイの感覚は人間と変わらない。
一時間経過したころ我々全員に部屋から出て良いとの許可が出た。UFOに保護されていたヒトラーはこの時健在なので何処かに居るだろうと探したが時間は余りなく大勢の中では見つけられなかった。 後に日本の仲間がヒトラーはアメリカ人の中に紛れて姿を見られないようにしていたと言っていた。

「乗組員と人間はホール周囲の各階へ出て姿を見せるように」と指示が出された。ホール周囲の各階にはUFOの乗組員(グレイ)や日本人、アメリカ人が顔を出しお祭りを賑やかく惑星間のセレモニーらしくする為だったのだ。



 しかし〝僕なら許される〟と勝手に判断し一階ロビーと昇降口に固守し各階へは行かずロビーまで降りた。ロビーに居た乗組員グレイから『このUFOで米兵が帰還した』と聞いた。

 このセレモニー用UFOのホール床は大理石のように綺麗で靴底が滑りそうで滑らない。状態良い表面加工をしてある。早足で歩くも遅かったか昇降口を閉め始めた。まだ少し開いている! 早く外に出たい。このまま閉まったらセレモニー会場へは出られない。

「昇降口をもっと開けて」と依頼した処、十五分待てとの事だ。 早めに十分位でゆっくり開き始め昇降口へ向かって歩く、早く外へ出たい。
人間がまだ中に居ると施設の人達がざわめいている。 更に昇降口へ近付いた時「それ以上は行くな」とUFOの指示がありホールから外に向かい左側に立った。


 外に居た撮影クルーがホールから見て昇降口の右側からUFOの内部撮影に入って来る。撮影をしながら入り口で僕の方へカメラが向き撮ったようだが人間を撮ることは禁止されている筈。僕達に写真一枚でさえ撮らせないのにアメリカの撮影クルーが堂々とUFOの内部を映画撮影機で撮っている。UFOの中はモヤを出し照明も撮影に多少の逆光となっている。





 昇降口の向こう側からロビーへ入った撮影クルーは奥へ進みながら撮影している。
『人間を撮影しては成らない』とUFO側からの指示は大分遅れて出された。僕はロビーに居て無視されてしまったのか? 尚更腹が立ってきた。
 更に奥へ行こうとしているのにUFOからの注意はなく撮影自体にも腹が立つ。撮影クルーがロビー奥の階段を登りかけた時、UFO側から「それ以上行くな」の指示が出て残念か満足か複雑そうに撮影クルーが帰る。

 セレモニーはUFOとアメリカのもう一つの国家と陰で言われているCIAが事前協定し非公開と決め秘密扱いにされた。施設でCIA側とUFO側は改めて会談したがニクソン大統領は居なかったと云っていた。セレモニーはCIAが記録する目的で行い大統領には知らせないのだ。 

 UFO惑星とアメリカのセレモニー! 専用機を使い惑星間の大行事を華やかに綺麗に演出し記録させる。セレモニーが終りゆっくり上昇するUFO、名残り惜しさまで演出した。UFO惑星にはセレモニー専用機が三機ある。一機は古く使われなくなり最新のセレモニー専用機は同日他の惑星で急遽使う事になった。地球は低く見られ新機は急遽セレモニーを遣る惑星を優先させたのだ。「何も同日に遣らなくても良いではないか」と言った処、UFOグレイは「その惑星の文明は地球よりも進んでいるから急遽優先させた」と云う。
 UFOグレイは「最近建造を始めたセレモニー専用機がある それは凄い 十年の歳月をかける建造が始まっている 巨大都市のようになる」と誇らしげであった。そんな都市型専用機にも他の惑星でのセレモニーがあれば必ず乗れる。
 セレモニー参加者に顔の片側を日焼け状にすると光を十五分照射していた。僕は遅れて部屋に入り別に焼くと云われ「車を運転し右に陽が当たるから右にしたい」と依頼しグレイは全員の時より強い光を数分間、顔の右側に照射し日焼け状にした。 

 帰りにUFOグレイは「UFOと地球のセレモニーは最初で最後 地球が要請しても二度は遣らない 数年後に映画『未知との遭遇』が作られる」と云っていた我々とCIAは未知との遭遇ではないがUFOに関連したこと全てがアメリカのトップシークレットだから題名はそれで良いだろう。
「帰ったら全員がデビルズタワーを作れ」と意味不明の指示があった。


『セレモニー〝未知との遭遇〟が行われたのは1971年(昭和46年)7月7日である』未知との遭遇の日は娘の3歳の誕生日でありUFOグレイは「お前の記憶に残るように 日にちを設定した」と云う。 

 UFOから帰った翌日、家の中に土砂を入れデビルズタワーを作りたかったが我が家は借家で家族に反対され昨夜の残り物ケーキをじっと見てケーキでデビルズタワーを作っていた。家族は僕の顔の半分が日に焼けているのを何故か? 不思議だと言っていた。
テレビでは「デビルズタワーを作る事が日本中で流行っている」と言っている。テレビ局が報道したのはUFOがコントロールしセレモニー参加者に記憶を残させたいのだろう。 

 次に乗ったUFOの中ではデビルズタワーを作った話で持ちきり、皆が其々の身近な材料を集めて作り其々の制作方法が笑い話になってしまった。
 映画タイトルは『CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND』で第三種接近遭遇だ。日本でのタイトルはグレイの云った通り『未知との遭遇』になったがその時点での問題が起き映画製作は始まらない。 

 数年後、映画『未知との遭遇をアメリカが制作する』と僕の記憶にあり早く映画を見たいと思っていたがUFOとセレモニーの記憶は消されていた。アメリカでは映画製作についてCIAが撮影内容をカットしろと指示を出し、スピルバーグ監督は「カットすれば意味がない映画制作はしない」と言っていた。二転三転した後にカットを受け入れ『未知との遭遇』は映画化された。 

 映画を観た仲間の娘は「グレイのタイプが違う」と言う。僕は映画をまだ観ていないから知らなかったが三タイプあるとグレイが云う。何回もUFOへ乗りUFOの惑星へも行っているのに知らないことがあった。脱皮や変態をするのか? 階級でグレイのタイプが変るのか?(このことは後に知る)

 日本のテレビで『未知との遭遇』の放映があり記憶の戻っていない時、娯楽と鑑賞した処、UFOのロビーに僕が立って居る。撮影カメラから見れば右側だ! それを見て記憶が戻った。

 撮られていた! 映っている! それをカットせずに放映しても良い訳はない。知人の何人かに「テレビで遣っていた『未知との遭遇』にお前が映っていた」と言われたが、アメリカのトップシークレットと分っているから自分が喋る訳にはいかず黙っていた。 

 日本でのテレビ放映はカットせずアメリカで契約違反と問題報道され、UFOグレイからは「CIAがスピルバーグ監督に適正措置を執ると警告した」と聞いた。『適正措置』とは業界用語で『抹殺する』の意味だが監督は知っていたのだろうか? 

 ビデオもCIAがカットを指示しUFOの中に居る人間の場面はアメリカ人スタッフを除き全てカットされている。ビデオでアップにした惑星のグレイは容姿の違う者がいて目鼻口や首までが違う。瞬きする必要はない複眼のグレイとは違う! 何回も瞬きして目玉もあった。細長い手足で昆虫の様な惑星人が映り貴重中の貴重な画像である。地球人はお目にかかれない筈の惑星大統領(大王・おおぎみ)の神成姿なのだ。

=02=別の文明惑星

 UFOとのセレモニーに僕達人間が参加したのは地球ばかりではない。他の惑星でのセレモニーにも動員され、他の惑星のセレモニーでは僕はUFOのロビーの周囲の各階層で皆と同じに見ていた。ヒトラーも皆に紛れながら黙って寂しそうだから話しかけようとしたが場所を変えられた。他の人間と同じ扱いが気に入らなのだ。

 この惑星のセレモニーでも惑星の人達がUFOの昇降口から撮影しながら入り、その惑星の人達の体型に各階層で見ていた皆がどよめいた。 顔も胴も楕円形の丸みを帯びた薩摩芋が立って歩くが如くの人である。服装は簡素であり灰色の薄い着衣で中東風である。地球の人間を基準に考えるから最初は驚く。やがて交流を持てば文明が基準になるだろう。

 UFOグレイは「この惑星の人達も地球の人間と同じように考え 物を作り文明を発展させている 地球の人間と変わらない」と説明する。 

 同日、他の惑星へ行き同じようにセレモニーが行われ同じように動員されて来た日本人・アメリカ人・UFOの乗組員グレイがホールの各階に出て賑やかくした。
その惑星の撮影クルーが入ってきた。この惑星には地球人と同じ容姿の人達が住んで居る。
日本人より小柄でグレイより少し身長があり欧米人風、スーツに似ている上着を着用していたのでその惑星の人達に全く違和感はない。
 セレモニーの帰りUFOグレイに「今日 惑星が撮影したものは地球で使う事が出来るか」と訊いた処「芋人間の惑星で使っているシステムが技術的に類似し 地球のカセット型ビデオデッキを少し修正すれば使える」「欧米風の惑星人の撮影機は光学式である」と説明していた。
その頃は地球でも光学式ディスクが研究され完成に近かった。


=03=廃墟の惑星
 
 

 UFOは我々を乗せ廃墟の惑星へ着いた。この惑星の住人は他の惑星に移住したと云う。UFOグレイから渡された酸素ボンベは直径が十五ミリで長さは八十ミリと小さく、その酸素ボンベを口にくわえて降り廃墟の惑星を歩く。

 この惑星の重力は地球の二倍あり酸素は薄目だから念の為に使用するとの事で、与えられた酸素ボンベの酸素消費は五十分あるが見学は二十五分で終了と説明された。この廃墟惑星に降りた時は晩秋のような気温で寒がりの僕は上着一枚欲しかった。
 夜間は地球の夜より気温は低くなり昼夜の寒暖の差は大きい。目の前の巨大建築物の廃墟は静寂の中で圧倒し中に入れば底知れぬ怖さを感じる。惑星の重力は地球の二倍であるにも係わらず体感的に直ぐ慣れた。仲間の中には建物の階段を登っただけで息切れがして壁に持たれている人もいる。
 UFOからは廃墟の建築物は一万年も前の文明が建設したと説明している。



 建物や骨組みは地球のビルを思わせる階層造りで地球にはない材質の合金を使用し、耐蝕期間は二万年との事だ。環境の変化もあったろう壁などは朽ちながらも骨組みは全く問題なく建っている。この惑星で文明を築き惑星間移住をした宇宙の民に気の遠くなるような浪漫が巡る。
 欧米人の体格の良い一人が廃墟の中を見学しているが酸素ボンベは見えない。僕の酸素ボンベを取られたら・・・心配させまいとその人は見学しながら奥の方へ行った。此処に来る人は皆UFOの指示で来ているから心配ないと思い直し見学を続けた。
 知らない惑星で廃墟を歩くのは怖さがある。足元に乱雑に壁の残骸が散らばり、もし転んで酸素ボンベを無くしたなら帰れないだろうか? 必要な酸素を吸入出来るだろうか? UFOは助けてくれるだろうか? そんな事を考えながら廃墟の中を見学していた。
建物の外に近くなった時「外には出るな 戻れ」とUFOから伝えられ降りた場所へ皆が速足で戻りUFOへ上げられた。

 先程の欧米人のことを訊けば「酸素ボンベは必要ないと言い使わなかった」との事である。UFOグレイに廃墟惑星の位置を訊いても位置は教えてくれない。重力の該当がない太陽系、地球の二倍の重力の惑星、地球から一日でUFOが往復出来る距離〝百光年以内にある廃墟惑星〟どうしても惑星の位置を知りたくて何回も訊いた。何回も訊けば答えてくれる可能性は分かっている。間を置いて何回も訊き、やっと教えた廃墟惑星の位置は地球から五十光年という。

 使用した小さな酸素ボンベはマグネシウムとアルミニュウムの合金で作られ、この合金ボンベに愛着を感じ「使用した酸素ボンベを持ち帰りたい」と頼んだ処、グレイは駄目だと云う。僕はボンベというより合金が欲しく、しつこく頼み持ち帰る事が出来た。

 以前、会社で合金を扱ったから興味もあり記念になる。地球のアルミニュウムとマグネシュウムの合金と同じく光沢も色も模様も特徴は変らない。同じ地球のマグネ・アルミ合金とは強度が格段に違うと云う。



 その後、UFOは「小さな備品も管理し惑星へ送り返さなければならない酸素ボンベを返せ」「部品一つ無くても処分の対象になる」と云うから仕方ない。惑星の技術が流出すれば他の惑星の技術開発に使われるからだ。「今夜 UFOへ乗せるから持って来い」と伝えてきた。
 記憶がハッキリ戻ってきた、帰す前に酸素ボンベを切断し中を見たい。切る時は今しかないと思い鉄ノコで切ろうとするが滑って切れない、何回切ろうとしても滑って切れない、軽い金属なのに相当の硬質で傷も付かない。「切る事はできない 止めろ」と伝えてきたので切ることは諦めた。      
 その夜、UFOボート内では棚卸の最中であり使用部品は数を合わせ惑星へ返却しなければならない。酸素ボンベは返しグレイは備品を全部返せると安心した様子だった。


 それから何年か経ち、また惑星の廃墟を見学させると云い「火星へ行きたい」とお願いした処「何回か行ったではないか 火星には見せたくない〝もの〟があるから駄目だ」と云う。
 火星にはコロニーが有る。火星へ行く度、コロニーは巨大化し現在は東京ドーム位の透明コロニーで地球の記憶を消された人間五十人位が自給自足を目指し、不足する物資はUFOが地球から届けコロニーの人達総出で受け取るところも見ている。グレイは「今後 百人単位にする」と云っていた。
 そのコロニー以外の見られたくないものは以前、何人かに見せている。そして僕も見ているが信じられなかったが其処にはGoogleの建物があり内部には事務所があった! そのうわさが拡散されだしたから見学禁止になったのだ。




「今後 火星見学が出来ないなら地球程度の文明惑星の民家を見たい」と希望しUFOは希望した惑星へ移動する。

 山側の丘陵に四角い形の家が沢山ある。その中に三階建てで横長の白い会社寮のような建築物があり違和感なく日本の昭和中期から後期を思わせていた。 家や建物の陰で道路は少ししか見えないが広めの歩行者用の道路があるようだ。
 暗くなっても点灯している家の部屋は少なく電気の供給量が少ないとの事で地球の方が文明は進んでいると思ったが見たのは田舎町である。
UFOグレイは「都会もあるが見せる事はできない 地球との文明差は僅かだ」と云う。

 その後に見学した廃墟惑星も宇宙歴史の中で超高度な文明を築いた惑星の中の一つ、以前とは別の惑星で酸素量は前回の惑星と同じ位だ。UFOの酸素ボンベは改良され歯くらいの小さな酸素ボンベもあったが僕達は小さいボンベは紛失してしまうと旧タイプを希望した。「この惑星の人々も酸素消費は少なくてよい人だ」とグレイが説明する。

 寒いから上着を持って行くと言う仲間の娘、UFOへ乗る前から見学する事を知っていた。記憶を消された僕には急な事で用意はない。UFOから何人も降ろされ廃墟惑星の見学をする。気温は丁度よく上着はいらず試しに酸素ボンベを口から外しても呼吸に問題はない。
 大きな工場跡に入ると太く長い管が何本も縦横に走り大量消費した食料コンビナートの廃墟で、工場は惑星の一流メーカーだったという。食料はトウモロコシの加工品で流通機構も地球と似て大型トレーラーが頻繁に原料や加工品を配送していた。
この惑星の人達が、トウモロコシの種子を古代地球の南米インディオに届け地球でも世界へ広まったと説明している。

  この惑星の廃墟工場も古く一万二千年前の建物で大規模工場に隣接する棟の二階へ上がり各部屋の比較的綺麗なドアのある部屋へ入った。

 「ここは事務所で地球の企業管理と変らなかった」とUFOグレイは説明していた。建物の外へ出たいと禁止を知らない皆が歩く、外へ出て注意されるのも嫌だから如何しようと迷った。
 僕も外を見たい、何人もいれば処分はされないだろうから警告されるまで皆と行動しようと建物の中を通り外に出た。大きな広告看板と社名らしき文字があるが読めない。一万二千年を経過しているが惑星の文字が薄く残っている。工場は高台にあり他にも遠くに建設物が見えて庭からの眺めは気分よく山や谷の地形は地球に似て廃墟惑星とは思えない感覚だ。
 UFOから「戻れ 看板を見てはならない」の指示が突如だされ皆が廃墟工場に入り工場を通りぬけ最初に入った場所に戻ってきた。看板が話題になり文字は読める訳ないが地球の国にもありそうな文字だった。
 
 UFOは一万二千年も前の事を見せると云い映画やホログラムのように見せるのである。女性が一人事務所に入って来る。地球と殆ど変らない容姿と服装、小柄であるが体型も顔も地球の中南米風で違和感はない。一万二千年前の惑星の人、コンビナートの事務員に親しみを感じる。
地球の人間と見た目には変わらない。この惑星の文明を築いた人々の痕跡、一万二千年前に栄え賑わう宇宙の高度文明であった廃墟惑星! ここでも宇宙歴史の浪漫が駆け巡る。
「この惑星の人々は迫害されて滅んだのか?」
この疑問にUFOグレイは「滅んだのとは異なり千年単位の時をかけ惑星間移住をした この惑星を一度去り二千年後にまた戻り再び惑星移住をして完結した」との事だ。

 以前には机も椅子もありタイムレコーダーも有ったという。宇宙連盟の取り決め『備品や建築パーツの持ち去り禁止』を無視し様々な惑星の宇宙船が立ち寄り使用している。
 
 次には惑星の廃墟の都市街へ移動し「お前は子供の時に来たことがある」と云い、UFOから降りれば懐かしい街、子供の頃にも降りて歩き商店のドアを開け入った事がある。
 川の両側に道路があり地球に似た街も嘗ては活気に満ちていただろう。人々が歩き道路幅から車両も使われていたのか? 商いや通勤する人々の姿が目に浮かびここでも遥か昔の浪漫が巡る。

 以前来た時には開いた木製ドアを開けようとしても開かない。この惑星にも暴風があり建築物などが棄損しドアは固定して入ることを禁止し保存管理をしている。この惑星は先住民の管理下にあり移住先の惑星が保有する領星なのだ。移住先の惑星の人々が定期的に都市の保存整備に来ている。

 この 廃墟惑星はコロニーなどいらない、人間が今直ぐにでも移住し住める環境である。長閑で気持ち良い天気『食糧さえあればこの惑星で暮らしたい』そんな気持ちになってくる。 地球的郷愁を感じる廃墟の街は気持ちが休まり、このまま惑星の街に残れば静かな環境で余暇を楽しみ一切の煩悩も捨てることができるだろう。
 
 「人間移住に廃墟惑星を使う事はできないか」と訊けば、UFOグレイは「地球に惑星の位置は教えない 火星への移住以外認めない」と云い惑星の厳しい決まりの中の返事だ。 何れにせよ地球から五十光年以内にあり、この惑星の街を歩けば故郷のように思えてくる。 帰る時間になり皆がこの街を名残り惜しそうに見ている・・・しかしUFOが待っている。

=04=・・・グレイを家に招く
 

 UFOでの廃墟惑星見学が終り家に帰る前、感動したお礼の意味もあり違反かも知れないがUFOグレイに「僕の家に寄ってくれないか」と頼んだ。グレイは断ったが六百光年先のUFO惑星には直ぐ知られないと思い、どうしても寄ってくれと何回も頼み十分間だけの約束でUFOグレイ二人が承知した。

 地球の個人の家にグレイを招いた事はUFOの中で聞いたことはなく地球では初めての事だろう。 僕は先にUFOから降りて家で待つとグレイ二人が玄関から入って来た。靴を履いていないので足を拭くようにと言った処「足元を見ろ 汚れていない」という。足は十㎝位浮き接地していない。不思議に思っているとそのまま上がってきた。


 応接間へ入りグレイが立ったまま「お前先に座れ」の譲り合いは人間の感覚と変わらない。「時間がない 早く座れ」と威圧的に睨み言ってしまった。僕の態度や言い方はUFOの中で報復を受けるかも知れないと心配した。
 UFOグレイ二人は応接間右側の長ソファーに座り「地球人の応接間ソファーに興味があったから一度座りたかった」と云う。

「諏訪市の並木通りの夜間占いで〝応接間へ偉い人が何人も来る〟と言われ二人が来てくれて嬉しい」と話した処、グレイは「自分達は偉い訳ではない普通だ」との返事だ。応接間の飾り物を説明してもグレイは「飾り物や置物に興味はない」とスルーした。 応接のドアが開き、我が娘がグレイたちを見てしまったが娘は以前、UFOへ乗っているので衝撃はなかったようだ。

 帰る時間になり庭先まで送ろうとしたが「来なくてよい」と云われ、玄関内で見送り余韻を楽しんでいた処、UFOから「お前も直ぐ来い」と伝えられ理由が分らないままUFOへ乗った。
家に招いた事が早くもUFOの惑星が知り、母船から上位者が直接監視に来ていた。UFOボート(小型UFO)に残った他のグレイ達が惑星へ〝チクリ〟を入れたのだ。
超能力の人達にヒガミやネタミはないだろうと安心し家に寄って欲しいと招いたが人間と同じく嫉妬し〝ヒガミ・ネタミ・チクリ〟がある。

 惑星が知った早さに驚いたが〝重力波通信〟があると云う。重力波は宇宙の果てまで同時に届くがゼロ秒ではないと聞いていた。その通信なら惑星まで600光年も瞬間通信が出来る。
 我が家に来てからUFOへ戻っていたグレイ二人は「惑星からの処分が出ている 一週間後の処分に従う」と消沈していた。二人に処分内容を訊いても「地球人のお前には関係ないから」と教えない。人間と同じ思いやりと心配かけまいとした気持が伝わってきた。 他のグレイ達は無理難題をしつこく言われないように僕から離れ用心している。
 UFOグレイの超能力は全員が先の事象を透視して判断するのに違反招待を承諾したグレイには不可解さの中で確信した事があった。超能力グレイに何回も同じ言葉を繰り返せば間違いなく脳が混乱し機能は低下するのだ。
 UFOから帰ろうとした時『少し待て』と惑星から重力波通信があり『今後 重大違反は地球人のお前も処分する』と警告を受けた。地球人の処分は危険分子とし抹殺リスト入りになる。僕は今後、双方が同じ事をする訳はないから安全は確保できると思い乍ら家に帰った。家では娘が「あの人たちは強烈な臭いがするから今後は連れてこないで」と言っている。

 その後、グレイ二人は母船の閑職にいると聞き「謝罪したいから会わせてくれ」と頼んだ処、監視に来た上位グレイには惑星から『母船からの管理が悪かった』と組織上の処分が及び憤慨し「駄目だ」と一括され会う事はできない。二人には申し訳ないと思っていても惑星の処分だから何であっても一旦決めた惑星の事に異議を唱えれば僕自身が危険分子として抹殺リストに入ってしまう。
 それでもUFOに乗っている以上、UFOの何処かで偶然でも会えるだろうと期待をしながら謝罪の機会があることを願っている。
 UFOグレイが地球人の民家、我が家に寄った事は地球担当UFOでは〝前代未聞の不祥事〟であり惑星が危惧し上位管理者を常駐監視させ、UFO惑星とCIAの協定を破ったグレイ二人を処分し重大違反の地球人を抹殺し兼ねない僕とUFOボートの大事件であったのだ。その後は僕も気を付け、何の問題もなくUFO側との関係も良好に保つことが出来た。そして今、年齢でUFOから引退し平穏無事に暮らしながらUFOの体験を書いている。
                                   小松仙人