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      UFOの神かくし
              UFOの宿命




 
 目次  
   序 文・・・・・・・・・・・・・・・・001
 

   第一章  記憶の旅情 ・・・・・・・・・・・002
             天使の椅子 ・ ・・・・・・・・・・003 
            宿場町から ・・・・・・・・・・・004 
                0歳の記憶 ・・・・・・・・・・・005 
                      一歳の記憶 ・・・・・・・・・・・006 
                    二歳の記憶  ・・・・・・・・・・・007 
                   宇宙船に乗る ・・・・・・・・・・008 
                       宇宙船の声 ・・・・・・・・・・・009 
                        別の宇宙船 ・・・・・・・・・・・010 
                          母の叫び    ・・・・・・・・・・・011 
                              人身御供 ・・・・・・・・・・・・012
                     母の実家の決まり ・・・・・・・・013
                    宿命の雲・・・・ ・・・・・・・・014
             
神かくしと宇宙船 ・・・・・・・・015 
               ミステリーサークル ・・・・・・・016 
              不思議が続く・ ・・・・・・・・・017
  
                  級友へ ・・・・・・・・・・・・・018 
              旅先へUFOが来た ・・・・・・・019
 

      第二章    あゝわが地球 ・・・・・・・・・020 
            UFOの友人 ・・・・・・・・・・021 
                 UFOで ・・・・・・・・・・・・022 
                   脅迫 ・・・・・・・・・・・・・・023 
                     CIAとフリーメイソン ・・・・・024 
                        アポロ宇宙船 ・・・・・・・・・・025 
                 天体の資源 ・・・・・・・・・・・026 
                    壊滅する地球 ・・・・・・・・・・027
             第三の選択 ・・・・・・・・・・・028
 

   
   第三章  宇宙からの干渉  ・・・・・・・・・029 
             総統アドルフ・ヒトラー ・・・・・030 
                 ヒトラー総統のベルリン脱出  ・・・031 
                      ヒトラーUFOの愛人  ・・・・・・032 
                         ハーケンクロイツ ・・・・・・・・033
                        食糧の調達 ・・・・・・・・・・・034
                         アイヒマン 南米潜伏・・・・・・・035 
                                ヒトラー総統の死 ・・・・・・・・036 
                    UFO という宇宙船・・・・・・ ・037 
                   後までの後悔  ・・・・・・・・・・038 
                     何処居てもUFOがくる ・・・・・ 039 
                       反重力炉    ・・・・・・・・・・・ 040 
                        UFOは見える ・・・・・・・・・ 041 
               UFOで貰った石・・・・・・・・ 042 
                ピラミッド・・・・・・・・・・・ 043

 001 序文
 
            
   ここは日本のほぼ中央、日本地図では諏訪湖が目印となり分かり易い場所と言えるだろう。
 JR中央線と中央高速道が諏訪湖を挟むように走り、諏訪湖周辺は内陸産業都市の生活圏、六市町村が広がる〝諏訪〟である。
 八ヶ岳連峰がアルプスの如く聳え、諏訪を遠巻きにする北アルプス、中央アルプス、南アルプスに因み、八ヶ岳連峰を『東アルプス』と、呼称するのが似合うではないか。
 蓼科を奥座敷とし、白樺湖、霧ケ峰へ高原が続きビーナスラインは美ヶ原へと繋がり、諏訪湖周囲には諏訪大社四社が鎮座し温泉も豊富な観光地でもある。 
 今なお鎌倉街道が残り、江戸時代の官道、甲州街道と中山道の合流地点が下諏訪町に現存し嘗ては交通要衝で栄え、中山道は京都まで続く。
 内陸産業都市は高原都市も兼ね活力を生み住み易い都市にも選ばれている。
その〝諏訪〟の地で起こっている〝奇想天外〟な出来事に僕が組み込まれているど全く気付く事もなく過ごしていたのである。

 

 002 第一章  記憶の旅情




 003 ◎天使の椅子
 
 夜ふけの街へ行きたい・・・ 茅野市の自宅を車で甲州街道(国道 20 号線)を下り諏訪市の諏訪湖畔道路をドライブした。
  下諏訪町へ入り古川信号機の先、左側三軒目にあるコンビニへ立ち寄り興味を誘うタイトルのポケットサイズ『これが宇宙人との密約だ』という本を購入した。
(そのコンビニは2020年頃、数百メートル離れた場所へ移転した)

 この小さな本が僕に大きな衝撃を引き起こさせるとは思いもしなかった。
UFOの事が書いてある一冊の本が全て嘘なのか?そんなに嘘は書ける筈ない。
空想と現実を混ぜた半々の創作か? そうだとしても 50%の事実はある。
 
 UFOに異常に興味を持ちながら体裁よい言い訳みたいに「趣味の範囲」と自分に言い聞かせて読んでいた。
 半分以上ページが進んだ処で何回も本の一ヶ所を読み返す。僕に何かを促しているかの如く落ち着かない感覚になってきた。UFOに乗っている人の可能性、そんな項目が幾つかあり、その一行が僕を混乱させだした。
〝一日が飛んで辻褄が合わない事〟その項目に当てはまる事が確かにあった。
この本に書いてある事は僕への忠告なのか、急に何かの衝撃を受け両腕に逆毛が立った
 おぼろげに記憶の糸がほぐれ夢の様に思っていた事・・・それは夢ではなかったのだ。
雲の合間から数本の陽が射す〝天使の椅子〟が脳裏を直撃するような衝撃!
UFO記憶の封印が解かれた瞬間! ・・・天地が入れ替わったような感覚が全身を包む。
〝空を見て 大地を見て 街を見る〟何処も何も変っていない、自分だけが変ったのか? 顔や頭を両手で触ってみても特に変化はない。
『陽が漏れた天使の椅子が動き出す 記憶を載せて揺らしている』
  少しずつUFO記憶が蘇り夢のように思っていた事、あれもこれも本当だったのか、今ここから逃げ出したい、一体何処へ逃げれば良いというのだ。
本を少し読んでは繰返し感情が高まる。かき乱される平常心、鼓動が高鳴る。
 この著者は事実を書いている嘘じゃない本を読むどころか見るだけで考え込んでしまう。
自分が何回もUFOに乗せられ記憶を消され帰されていたのだ。
〝嫌がるな″自分を叱り思い出す。涙が出て止まらない 身体全体に身の毛がよだち動揺程度ではない。
 記憶から逃げる事などもうできない自分に起こってしまった事だ。 
UFOに乗っていたのは事実だ。記憶が溶け出し身体いっぱいに流れている。
 以前から勤務先で休まないのに欠勤と言われた事が何回もある。打刻ないタイムカードは打ち忘れの筈、覚えのない欠勤、タイムカードの赤い〝欠勤〟の印を砂けしで消した。
 
 翌日には〝欠勤〟と押し直してあるではないか、しつこい管理職だ。
そのタイムカードの欠勤印の枠部分をナイフで切り抜き、同僚社員達に見せながら得意顔で「欠勤を押せるものなら押して見ろ」と管理職に渡した。
 しばらく経ち今度は一週間連続でタイムカードに打刻がない。無打刻が多過ぎ自分の事なのに訳が分からなくなり「無断欠勤」と言う上司に反論できなかった。
連続で他の社員のタイムカードと間違えたのか? 他人のカードを打刻してい
たのか? 
 それにしても一週間、間違い続ける訳もなく会社に出勤しなかったと今になって
解った。

 その後の毎日はUFOの事で頭が混乱し狂ったようになり悔し涙の止まる日はない。  記憶を消されていた悔しさで頭の芯が振り回され両手で頭を抱え込み左右に揺する。
〝狼の遠吠え〟の如く「ウォ~ウォ~~~」思いっきり家の中で吠えまくり手当たり次第に物を投げつける。
目が覚めれば思い出し涙を流しながら狼の遠吠えをして何回も物を投げる。
 そんな事を繰り返す同じ状態の毎日が続き涙の流れ出る顔を洗いながら本来の自分に戻ろうとする。
 水を飲む、喉が渇く訳ではない水分が身体全体から無くなると思うほど涙が出る
からだ。

こんな事がいつまで続くか分からない悔し涙に明け暮れるのか! とうとう近所の
主婦に「狼の鳴き声が上手いね 本当の狼みたい」と言われてし
まった。
そうだ。
 情けない! 僕は何一つUFOに対抗できる訳ではない。地球の文明なんてUFO
の前には石器時代のようだ。
 悔しいが地球の文明この僕は発展させる事などで
きない。
 
 記憶の糸を毎日手繰り途切れとぎれに小学前まで行き着いた。
小学前を遡るUFOとの接触が思い出せない、いつ始まったか分からない。
 ノートに書き留めようとしても感情が高ぶり鳥肌が立ち文字が書けなくなる。
落ち着いて書こうとするが手がガタガタと震え自分の書いた文字が読めない。
乱雑すぎて文字も行もグチャグチャになっている。書く事で前に進まなくなり書く
事は止め記憶を手繰るだけにした。
思い出すだけなら慣れて動揺の少ない方法で続ける事にした。
 この先も消された記憶を全て出そう! 感傷なんかに負けてたまるか。
天使の椅子を僕の方から揺らし記憶を全部振りまいて早く元の自分に戻りたい。
 理屈屋の僕がUFOに乗り見ない聞かない訳は無い、消された記憶の奥にあるのだ。
 闇の中で葛藤し三ヵ月が過ぎた頃には「UFOとは文明が違う 人間が対抗するなんて無理な事だ」と思うようになり、その諦めが感情の乱れを鎮静化させた。
 更に、毎日同じように記憶の旅をして最初の記憶に手が掛かった。母親の胎内で聞いた命令調の言葉、何か言われた言葉が一年以上思い出せなかった。
・・・・・・・「分った! これだ!〝宇宙船〟と聞こえていた」
『UFO』という言葉ばかりが頭の中にあり繋がらなかったのは以前、UFOを空飛ぶ円盤や未確認飛行物体と言っていた。
UFOと宇宙船とは別物とする感覚があり思い出せない理由であった。
そんな事に気付かず時間だけが経過してしまった。
ネックが解け宝物が戻った如く安心し深呼吸をする。
 母親の胎内で聞いた『宇宙船』、僕がUFOへ関わる始まりであった。
記憶の旅の重苦しさが吹っ切れ心身が急に軽くなる。 有難い、脳天脳裏を直撃した〝天使の椅子〟は裏切らなかった。
気分爽快部屋の中は明るく窓の外は眩しい。


 004 
◎宿場町から
 
 〝奇想天外〟な出来事は江戸時代の日本橋を起点とする五官道の一つ、甲州街道の四十八里塚に続く宿場町、金澤宿から始まった。【現、長野県茅野市金沢】
 僕の子供の頃、金澤宿の国道 20 号線は砂利道で国道の両脇に土堀の側溝
があり、杏の木が両脇で並木をつくり道幅は更に狭く時代に取り残された感があった。
 宿場名残で甲州街道という国道は古い家屋が並び、古い家の玄関は宿場町の
独特造り大揚戸や大引戸の中に潜り戸がある。

 街道沿いの家は格子造りが風情を残し、我が家の大揚戸横に続く戸は上部の戸袋へ収納する仕組みで穀物や大きな荷物の出し入れに便利な造りをしていた。
 金澤宿西側の山、赤石山脈には武田信玄公の金鶏金山があり戦国時代が過ぎても江戸時代まで繁栄し、宿場町は金鉱で賑わう一時代を過ぎ閉山後も諸々の事情で思い出すように小規模で続き、古い家には金箔の間がある家もあった。
 
 昭和になっても金澤宿の赤石山脈一帯に大雨が降れば金山から川に砂金が流れ出て上流は川底の色が変り見に行った僕等子供は砂金採りの若者達に追い払われたものだ。
 参勤交代の大名行列や旅人が歩く時代が過ぎ、近年にも伝統は続き家を指す
にも屋号を使い『本陣・馬宿・下問屋・有賀屋・松坂屋・近江屋・紺屋(こうや)
・水車屋(くるまや)・油屋・竹屋』等々で呼称していた。

 我が家は表が国道、裏側は旧甲州街道に接し近くにある三叉路を左に行けば伊那街道から権平衛峠を経て木曽路(中山道)へ続き、右に行けば城下町上諏訪を通り下諏訪宿から中山道を経て京都方面の他、野麦峠を超え飛騨高山にも通じる。
 悲しみに耐え怒りを隠した製糸工場の女工さん達が歩いた道でもある。
そんな時代の流れを生きた人々の喜怒哀楽が染み付いた宿場町に僕は生まれた。
 
 記憶は僕がまだ母親の胎内にいる時まで遡っていた。
僕は胎内で「あそこへ行って あそこが好きだから」と母によく話しかけた。
 家裏の清水の流れる小川のせせらぎの心地よさ、いつまでも此処に居て欲しかった。
「また来た」と近所の人の悪口が胎内に居て聞こえてきた。
母は「悪く言われるからもう行かない」と小川に行くのは少しだけになった。
 胎内は居心地良く遊んでいたが胎児の成長は早く胎内が狭くなり「へその緒が巻きつき死んでしまう だから動かないで」と母が言い胎内遊びを止めさせた。
母と話しをするのが楽しい「早く生まれて」と言っている。
 そんな頃『生まれたら お前は宇宙船へ乗るのだ』と母でない別の声が聞こえた。
母は「まだ生まれる前なのに 決めるのは可哀そう」と返していた。
胎内で不安になり泣きそうだ、涙が出てきた。 それを母が心配し「今ではないから大丈夫」と僕に話しかける。
母は胎内の僕が不安にならないように動揺を隠し安心させていた。
 その後も僕が眠くなり虚ろ空ろしている間に母は宇宙船から連続的に話しかけられ、とうとう根負けしてしまったのだ。
 『宇宙船の目的に 身を委ねろ』と聞こえた。 神ではない、後にUFOといわれる宇宙船の人達が胎児の僕の人生を決めてしまった。
母は「誰もが何れかの人生を歩む」と宇宙船に指示された通り僕に言う。
『胎内で不思議な声に決められた 早過ぎないか 僕の宿命』


 005 
(0歳の記憶)
 
 夜の事、我が家の増築のガラス戸を開け二人が入って来た。ハイハイしかできない僕を仰向けにして動かないようにと何回も嫌がる僕を叱る。
「嫌だ いやだ」助けを求めて母を見ながら、もがき続けるが声は出ない。
気付いて欲しいと何度も母を見るが母は眠っていて気付いてくれない。
 逃げようとしても逃げられない、その人達を怖いと思っていた。
寝かされたのだからオムツを替えるのかと思っていたが違い何をされたか分からなかった。
最初の怖さが薄らいだころ用事が済んだ二人はガラス戸を開け帰って行った。
そして僕はこれから『UFOの神かくし』に遇っていくのだ。
 その後、若干の思考が出来る次回の時に二人は宇宙船から来た人達だと分る。
 

  006 (一歳の記憶)
  
 幼くて思った事が喋れない、宇宙船から聞こえた声の事、客が来ると言葉にできない。
 数日経った頃であろうか、夜になり二人がまたガラス戸から入ってきた。
二人は片手に箱のような物を抱いている。何か分らないが叱られそうだ! こういう時どうすれば良いか迷いながらこの前たしか寝かされたと思い出し嫌だけど仰向けに寝て待った。
 僕に何か仕出した時、眠っていた母が気付いて起きようとしもがいている。
いつもなら転んだって直ぐに助けてくれるのに部屋の中なのに母は僕の近くへ来てくれない。
「あーあー」と母に助けを求めるが母は起きようとしても起きられない。
母は僕の近くへ来ようとしているが見えない力に抑えられているようだ。 僕を助けようと必死の気持ちが伝わってきた。
わが子を助ける事ができないと母は自分を責めて泣いている。
 宇宙船の二人が母を動けないようにコントロールしたのだ。
母は起きようとするが半身しか動けない、とうとう動けなくなってしまった。
 宇宙船の人達は僕の口を左右に大きく拡げ顔面上へめくり上げ鼻の奥へ何かを入れる。
幼児は鼻孔から入らないからだ。
 次に頭蓋骨を外し脳の中を見ながら「動くと死ぬ」と宇宙船の人が叱る。
「この子を連れて行こうか 三人 他で選ぶのは間に合わない」と話している。
 「指示された事と違う」と一人が反論し「いずれ惑星に知れれば処分がある この前も一日遅れて送ったが惑星からの処分は無かった」と真剣に話している。
宇宙船の人達に連れて行かれると思ったが、このまま家に居られるとホッとした。宇宙船の人達は地球から子供たちを惑星に命令通り送っているのだ。
「次からは玄関から入って」と思った事は伝わったようだ。
宇宙船の二人は時間がないと話し用事が済めば帰ってしまった。
忙しい、そんな様子で動いている遠い惑星から宇宙船で来た人達。
 
 騒がしい異変を感じた祖母が起きて部屋に来た。
コントロールを解かれた母は「今頃来ても遅い」と祖母に怒りをぶつけていた。
朝になり「何ともない良かった」と言い母は僕の顔や頭をなで心を落ち着かせようとしていた。
 母は「縁側があるから嫌な事が起こる」と言い縁側を壊してしまった。
ガラス戸の外は低い縁側があり僕は縁側にしがみ付き家に入れるようになり家に出入り出来たのに、これで縁側から家に入る楽しさがなくなってしまった。



 007 (二歳の記憶)
 
 少しずつ喋れるようになっていた二歳の頃、宇宙船から「今日の夜 家に行く」と云われ祖母に伝える事が出来た。
「僕のお客さんが今夜来る」と言えば「幼児に客は来ない」と祖母は笑い相手にしない。
 夜になり大揚戸の中の潜り戸を戸締りする押え棒が何回も外されていた。
祖母はその都度、外れた押さえ棒を掛け直し誰が外すかのと怒っている。 
「今夜だけ棒を外して開けておいて」と頼んでも祖母は幼児の願いは聞き入れない。
母は「今夜だけは良いではないか」と僕の側にたち言っている。
「無用心ではないか」と祖母はその都度掛け直してしまった。
 
 僕は〝今夜はお客さんが来る〟と思いながらウトウトしていた。
家族が眠った頃、約束通り玄関から来た宇宙船の人は以前の二人と別の人であった。
玄関の押え棒の事を聞けば宇宙船の人は「何回も外した 見なかったのか」と云った。玄関の戸締り用の押え棒を外したのは宇宙船からであった。
 宇宙船の人達は来る度、口を左右に大きく拡げ顔面へ被せるように剥がし鼻の奥へ何かを入れてから頭蓋骨を取り外し脳を見ていたようだ。
 気付いた母が僕を助けようとするも今度は最初から動く事ができない。
宇宙船の人から強くコントロールされているからだ。
 宇宙船から来た二人は以前来た人と同じ事を僕に遣って終った。 
直ぐ帰る筈の宇宙船の二人は時間があると云い近くにあった玩具で一緒に遊んでくれた。
二人とも未だ若く子供の頃には遊びたい事が何もできなかったと話している。
 帰り際に「次は宇宙船に乗りに来なさい 家には来ないよ」と云って帰った。
 
 朝になり「顔や頭をめくっていたから死んだと思った 顔なら助けても良いが脳なら返って危険になる」と言う母は動けないながらも見ていたのだ。
朝になって母は少し混乱しているのか僕の何もない顔を見て記憶は薄れてくる。
 
 人間の記憶は直ぐ消せる宇宙船の人達は幼い僕まで記憶を消して、記憶を消された母と祖母は「昨夜は誰と遊んでいた? 友達呼んだのか」と聞くので
「うん」と答えた。
母と祖母は近所の人に「夜中には子供を遊びに来させないで」と頼み近所の人達は不審そうに曖昧な返事をしていた。
我が家に宇宙船の人が来る夜はいつも家族が寝静まった頃であった。
 
 その時期に家裏の清水の小川によく行った。そこに居ると心が落ち着くからである。幼年の僕が清水の小川に居る事を近所のおばさんが悪く言う。
「母親が妊娠中によく居た」と子供のできないおばさんだ。
僕が何もせず清水の近くに居るだけで悪口を言い、幼年の子に喧嘩を売り何考えているのか嫌なおばさんが清水のせせらぎを聞かせないように仕向けた。


 008 
(宇宙船に乗る)
 
 宇宙船の人から「宇宙船に乗りにきなさい」そう云われてから三歳になった時の事、宇宙船に乗る夜がきた。
眠りに入っていたが何かに起こされ着替えをして潜り戸から外に出た。
 宇宙船はわが家近くの〝焼き場〟(今は無い)の横、葡萄棚のある池の上から
乗れと言う。「池に落ちれば怖いから嫌だ」と言っても応じてくれない。
強引に宇宙船に上げられ僕は三歳で初めて宇宙船へ乗った。
 後日、その家の奥さんは僕に「池の上のブドウ棚を壊した 夜遅く池から葡萄棚を破り 上がって行った」と言われ、池の上から葡萄棚の中を抜けUFOに上
げられた感触が残っている僕は困ってしまったが、その家の家族は誰も信じなかったのでホッとした。
 
 祖母が僕の異変に気付き根ほり葉ほり聞いてくる。普段、祖母は子供の話に耳を傾ける人ではない、僕は宇宙船の中の事を祖母に話した。 
この時ばかりは僕の話を真剣に聞いていた。
「行くのは嫌だ 怖いおじさんが宇宙船に居る」と訴えた。
祖母は「もっと詳しく」と何度も聞き直し僕の断片の話を寄せ集めヒトラーだと言っていた。
「ばぁちゃんも一緒に乗るから宇宙船に頼んで」と僕に言う。
祖母の頼みとはいえ宇宙船で頼むのは三歳の僕だって嫌だった。
 
 次に乗せられた宇宙船で頼む事ができず困ってもじもじしながら立っていた。
やっと言う「ばぁちゃんが宇宙船へ乗りたいって」宇宙船の人は僕の言おうとする事が予め分かっていたのだ。
「もう後ろにいるよ」と宇宙船の人は云う。 後ろには既に祖母がバツの悪い様子で立ち、祖母より少し離れた後ろに母がいる。
「近くへ来て」と何度も呼んでいるのに母は宇宙船の中でも祖母に気兼ねし二、三歩動いただけであった。
 三人が宇宙船に乗った我が家、宇宙船の人達は三歳の僕の頼みを聞き入れたのだ。この時、僕だけ家に帰らずUFOの惑星へ行って来たのだ。
 小学校入学前にも宇宙船の惑星へ数日間の旅をしてきた僕を母は多少の心配をしながら「来年は学校へ行くからだめだよ」と記憶あるのか分っているように話しかけてきた。


 009 (宇宙船の声)
 
 小学三年生の頃、母から聞いた僕が生まれた不思議な理由があった。
これだけは本人に伝えておきたいと思ったようだ。
 太平洋戦争が激しくなる中、母が宿場町の家に嫁いでから聞こえた不思議な声は特異な内容であった。
「今日の夜 子供をつくれと聞こえ できた子がお前だ」と言う。
「誰から言われた」と聞いても母は曖昧で僕の父や祖母や祖父でもないのだ。
「お前には不思議な事が起こるけど そういう子なら不思議はない」と母は平然と言う。
いつもは心配してくれるのに今日は普段と違う母に不満があった。
 既に母は宇宙船に何回も乗せられ〝UFOの神かくし″に遇っている。
我が家は僕が生まれてから宇宙船に干渉される事が多くなりUFOの神かくしに遇う宿命が一層強くなった。
 僕が生まれた三年後「子供をつくれ」とまた母に声が聞こえ「そういう子 もう要らない」と母は答えた。 
宇宙船の命令に背く事は簡単にできることではない「いらない」と断った筈だが分からないハッキリ返事は聞けなかったからだ。
「その話の事 そうであるなら弟の満雄が生まれた事がそうだ」と母は言っていた。
 幼年期、僕が転べば母が直ぐ〝抱き起こし〟をして後悔している。
その後、弟が転べば僕が直ぐ抱き起こし、それが悪いと母が叱り〝抱き起こし〟が嫌な事に繋がると自立心でない他の見方をしていた。
 宇宙船は「そうではない」と伝えてきたが母は「用心するに越した事はない」と笑う。母は常に宇宙船に干渉される事を心配していたのだ。
  

 010 別の宇宙船)
 
 小学三年生の三月、この頃は空飛ぶ円盤や宇宙船を『ユーエフオー』とも言っていた。
僕はいつも行かない場所、雪解け後の田圃に一人でいた。
 空から降りてきた宇宙船が田圃に着地し三本の支柱が支えていた。二人が顔を出し僕を見て少し躊躇していたが梯子が出てきて降りてきた。
外に出た二人が僕に話しかけると思っていたのに話しかけてはこない。
僕が宇宙船に乗った時は話しかけるのに、どうして黙っているのか不思議に思っていた。
着陸船は見るからに不安定で小さく、二人もいつもの人より小柄で『小さい人も居るんだ』と思っていた。  
 その二人は銀白色の拳銃のような物を腰に付けていた。怖さを感じながら、おとなしくしていれば大丈夫だろうと見ていた。
「使おうか」と一人が云えば「止めろ」と一人が制止する。
何もしないで見ているだけなのに僕に使うのか不安になった。
「地球では子供だから大丈夫」と一人が言い作業を続けた。
抱えていた工具箱のような物を空間に置く、浮いたままの箱が不思議である。
 箱には小型スコップで田圃の土を入れ、二人が宇宙船に乗ると上昇して行く。
上空を見ると滞空静止している大きな宇宙船が見えた。
 走って帰り信じないと思っていた母に話した処、直ぐ信じてくれ話して良かった
と思った。
 
 数ヶ月後の四年生の時、下級生二人が「ユーエフオーを見た」と大慌てで走って来た。
「他で話しても 誰も信じてくれなかったから話しに来た」と口をとがらせ言っている。「ユーエフオーが田圃に降り 中から宇宙人が二人出て来て空中に箱を置いた」と同じ事を見て驚いていた。
 そんな頃から〝ユーエフオー〟は嘘だの何だのと言われ人に話せば笑われていた。
 その後、宇宙船に乗った時その事を訊いた処、その人達は別の惑星の人だと云っていた。


 011 ◎母の叫び

   ユーエフオーの一件の後、宇宙船から帰って間もなく「宇宙船に この前も乗 った」と母が言い近所の嫌なおばさんが不信な顔して聞いていた。
「宇宙船にはもう何回も乗っている」と母は当たり前に言っている。
僕も宇宙船はよく来ると当たり前に思っていた。  
 しかし母は「もう宇宙船に乗った事は言わない 近所の人が悪く言う 宇 宙船の事を家族が話し合う家もあるのに変だと言われる」と後悔している。
 大変な事を言ってしまったと母は宇宙船に乗った直後と違う。
母は何日くらいが宇宙船記憶の分かれ目か? それとも記憶を持ち続けたのか分からない。
  我が父は子供の世話はしない親であり家を空ける事ができない母は宇宙船で訴えていた。
「子育てが忙しいから もう宇宙船へは乗らない」  宇宙船の人は「困らないようにするから乗れ」と云う。 反論する母はいつもと違い不退転の気持ちが伝わってくる。 言葉と態度、強い意志、いつもと違う母に驚いた。
 普段、見る事のできない強さがあり母は憤慨しながら絶対乗らないと何回も訴えていた。
 その後、母は宇宙船に乗らない筈が宇宙船での出来事を知り得ている。
母は宇宙船に乗る年代が過ぎ僕が大人になってもUFOの事で何回も小言を言っていた。


 012 
人身御供)
 
 僕が同じく小学四年生の時、母は嫁ぐ前の実家での少女時代を話した。
母の実家では客商売の家業があり、宇宙船に乗っていた母の兄が家業を継がなければならず宇宙船に乗る為に店を空ける事はできなくなった。
 母の兄は宇宙船で「もう乗れなくなった」と訴えたが言ったからと簡単に終る事はない。
宇宙船は人間を必要として「家族で乗る人を決めろ」と命令し意志をコントロールされた人間はその通りに行動する。
結局、家族で私(母)に白羽の矢を立て人身御供(ひとみごくう)にする!
 何故これ程に家族は非情か! 行ったなら未知の恐ろしい所から二度と帰る事ができない。
怪物や鬼に乙女を差し出す物語のように家族が私(母)を生贄に出す。悲しいが嫌とは言えない女には「仕来たりだけが残っている家だった」と母は言う。
 少女時代の母は「子供の頃に遊んだ立場川の深みへ入水し 死のうと一人で行った」「これ以上の話しはできない悲しいから」と言い、僕が何度聞いても答えない。
子供でも母の事は知りたかった「教えないなら宇宙船で聞く」と声を荒げた。
 宇宙船に乗って母の事を訊くと直ぐ空間にリアルに再現してくれた。
風は強くみぞれ混じりが雪になり横殴りに吹き付ける。
そこで終らせこの先は母に聞けと宇宙船の人は終らせてしまった。
  宇宙船から家に帰り続きを母に聞いても「宇宙船で何故聞かなかったの」と怒っている。
「その時は雪が降っていた筈だ」と言って聞き出そうとした。母は少し考えながら態度を変え「そこまで知れば話をしておかなければ」と話した。
 もう死のう、誰も私(母)を助けてくれない泣きながら立場川へ歩いた。
遠くからお母さん(母の母)が私を呼びながら父に気兼ねしている。
実家の嫁のお母さんは『家と主人』というものに気兼ねし呼ぶだけで助けに来てくれない。 死にたいと思い歩きながら迷っていた・・・これで『死のう』とは
っきり決めた。
雪が舞う寒い日に死んでしまうのがとても悲しい家族は皆知らん顔をしている。
 
 立場川に雪が吹き付ける冬の水も冷たいなんて感じなかった。
遠くから見ていたお母さんが走り助けに来て川に入り水に浸かっていた私を連れ戻した。
 いつもなら私(母)のお母さんは怖かったのに、ずぶ濡れの私と抱き合い二人で泣いた。
こんなにもお母さんが優しくしてくれ「この娘の親だ 私が守る」と言ってくれた。
 家に帰り二人で父に謝り「許してくれた」と笑顔になり話していた。
「嫁に来た女(母のお母さん)であるから仕方ない 娘の私に辛く当たった事も仕方ない」そう話す母の大変な少女時代が哀しかった。 
 母は家族の取り決めで少女時代から宇宙船に乗せられるようになったのだ。


 南アルプスから流れる富士川の源流〝釜無川〟 その対岸にある山の上、山
梨県側に宇宙船がいつも待ち母は瀬沢大橋から立場川沿いに下り釜無川に出て洗能の山に隠れる所まで歩かされ宇宙船に何回も乗せられていた。

「宇宙船での秘密は絶対言えない 男なら何ともないが 女は一生を左右されてしまう」と言い、一点を見つめながら寂しそうに時に怖い顔になっていた。
「父親に謝る事が何故必要なのか」と聞けば「家とはそういうもの」と母は寂しそうだ。
母の父は少女時代の母を死ぬ程苦しめ僕は小学四年生ながら怒りが込み上げた。
母の父親を恨んだ僕は母の実家へ行き文句を言おうと意気込んで庭に入った。
母の父は小走りで来ていつになく母の事を心配し「母さん元気か? 今日は何していた?」と心配して聞く優しさに何も言えなくなってしまった。
母は予め実家に電話し「子供が話したいと行くから叱らないで」と連絡していたのだ。


 013 
(母の実家の決まり)
 
 母の実家へ時々遊びに行き立場川で従兄の和樹と遊ぶのが面白かった。

母の実家に戻ると川遊びを見ていた伯母さんから川遊びをした事が悪いと僕と和樹が一緒に理由も知らされずきつく叱かられた。
 次の日は和樹と洗能の山へ行く約束だったのに朝になり様子が変だ。
和樹に聞いても黙ったまま、伯母さんが怒りながら僕に「洗能へは絶対行くな」と言っている。
「如何して洗能へ行ってはいけないのか和樹と山に登るだけだ」と言い返した。
 
伯母さんは「万が一 山で方向を間違え洗能の向こうへ下る場合がある 洗能
の向こう側には行かせない 家の決まりだ」と怒っている。
和樹が言い返し「そんな変な決まりがあるのか恥ずかしくて友達には言えない」
 伯父さんは夕飯の時、洗能は良いが立場川は駄目だと言い、僕の母を心配した伯父さんは宇宙船の記憶が戻り人間の力では変える事のできない違いを言えたのだろう。
伯父さんの妹である僕の母が伯父さんの身代りになり申し訳ないと話している。
「悪く言う事は絶対許さない」と伯母さんをきつく戒めていた。
 翌日、バスで家に帰り立場川での遊びを母に話した。
母は急に立場川の事を激しく叱る。怖かった伯母さんよりまだ怖い、母は洗能の事も怒って根ほり葉ほり聞く。
「伯母さんに行くなと言われて行かなかった」と言っても聞き入れない。
「駄目と言う所ばかり興味を持つ 実家に行かせない」と母は怒っていたが寂しそうであった。
僕は母の立場川の悲しい出来事を忘れていたのだ。

 もう母の実家へ遊びに行けないと思っていたが行って良いと言う母。
しかし、母の実家では僕を和樹に会わせない! 和樹は家に居なかった。
 伯母さんは昼食に帰った和樹に「何故帰って来た」と叱っている。
自分の家なのに帰って来てはいけない? そして僕は居る! 何がなんだか分からなくなった。
 和樹が愚痴りだし「お前が来るから家に戻れない」僕に会ってはならない、朝家を出たら夜まで家に帰るなと言われたらしい。
母の実家には和樹が居て一緒に遊べるから楽しいが僕だけなら行く事はない。
その後、和樹にも悪いからと母の実家へは行かなかった。
 
 妹達が母の実家に行きたいと言いそれを聞く母は悲しそうだ。
母は「女の子だけは行かせない 宿命からは護らなければならない」と言う。
二千年前から延々と続く宿命を娘達には負わせないと話した。
「女の子を護る事で恨まれる 何れ事情は分かってくれる どうする事もできない」
そう言う母の悔しさや寂しさが伝わってきた。
 母は自分の身を娘達にダブらせ「いつになったら宿命を断ち切れるのか」と嘆く、地球の常識を超えた宿命を人間に課す超高度文明、その宇宙船の人智行動に人間は逆らえない。
 その後、妹二人も小学三年生の頃から母の実家へ遊びに行くようになった。
母の心配は薄れ出来たのだろうか? それとも宇宙船から問題ないと伝えられたのだろうか? 
 後に、我が家二千年の宿命は男子だけに伝わり通常は女子に伝わらないと分かった。しかし、迂闊に宇宙船で「女子の誰々を乗せて」と依頼すれば女子も乗ってしまうのだ。


 014 (宿命の雲)

 僕が小学五年生の時「また変な雲が出た」と母が言う。
「あの雲を見てはいけない 嫌な事が起こる」ときつく言い寂しそうであった。
他の雲と変らないが形は良い「何故見ていけないか」と聞き返す。
「他の雲が動かないのに一つだけ動く雲は見てはいけない」と言う。
僕はその意味を直ぐには理解できなかった。
「宿命だ!」絞り出すように声をだして母は訳の分からない事を言っている。
母の注意を聞き入れなかったので急に悪くなった雰囲気、その雲は他の雲とは動きが異なり逆の方向へ流れる。


 注意を聞き入れない僕に「責任はお前が取るようになる」と母は悲しそうだ。
「宇宙船だ!」苦しさから声を出す様な母の『宇宙船』の言葉に僕も記憶が繋がり「雲が出たなら家や洞窟に居ても同じだ  宇宙船が来た以上逃れる事はできない!」と反論した。
 青草に座って母が泣いている泣きながら宇宙船に抗議している!いつまでも抗議を続けている。
僕は〝宿命の雲〟を見続け、その雲が山陰に入り空は太陽が沈んだばかりの場所より明るく輝いていた。
  
 そんな光景は以前も一人で見た事があり宇宙船がその都度来ていたのだ。
少しずつ母は宇宙船に説得されている様子で冷静になってきた。
人間を円盤型宇宙船に乗せる前日の午後から夕方、大きな宇宙船が来る。
 宇宙船はカモフラージュし楕円雲に見せて人間をコントロールし翌日は宇宙船に乗せ、記憶を消される一日がある。その事を母は心配している。 
 翌日、宇宙船に乗り「前日のように 地上の僕達と宇宙船が会話をする時間が長くなれば 困るのではないか」と訊ねた処「宇宙船にはあらゆる会話が用意され 自動会話対応が出来るシステムがある」と云った。
 
 宇宙船に乗る前は他にも前兆があり、家の中で〝ガシャン、ガシャン〟と大きな音がして注意を引こうとし無視していれば鍋や蓋が飛びこれでもかと飛び回りぶつかり合う。
母は大丈夫だと気にしない、人に当たる事はないと言う。
これは初めての事ではなく以前も何回かあり母は「もう直ぐ宇宙船が来るから誰が遣ったか必ず聞くように」と僕に言った。
 宇宙船に乗り鍋や蓋が飛んだ事を訊ねた処「翌日 宇宙船へ乗る事を知らせる為 我々が遣った」と平然と云っている。
「急にすごい音がして鍋や蓋が飛ぶから怖い 次からしないでほしい」と宇宙船の人に頼み、その後、家の中で何回も見た鍋や蓋が飛ぶ事は起こらなかった。


 015 (神かくしと宇宙船)
 
 我が家では僕の小さい頃から「神かくしに遇わないようにしなさい」と母がよく言っていた。
 小学生の高学年に成ると母の口癖であり〝神隠かくし〟を言う声は上擦り薄暗くなってから家に帰れば母は心配し「神かくしに遇う」ときつく叱る。
 僕は夕食前の 7 時頃に家の外へ出たい気持ちになり何気なく 10 分くらい家の外に出た。
しかし、家に戻れば 8 時であり一時間が過ぎて家族の食事は終っていた。
動かす筈のない柱時計の針が 1 時間進んでいる。
何回も柱時計の針を見ながら1時間も進んだ事を何故かと不思議に思っていた。
「神かくしに遇った!」と母の大きな声が震え家の中で何かが起ったようだ。
兄弟姉妹は部屋に入ったきり出て来ない。
母が心配していた〝神かくし〟僕は少し外に出ただけと思っていた。
妹が部屋から出て来て母は「部屋から出てはいけない」と叱っている。
神かくしを心配していたのだ。
 一日が経過していたのに僕は気付いていない。母は神かくしに遇ったと何回も叱る。家から 10 分くらい外に出て戻ったのに、その事が神かくしといつまでも母は治まらない。
 柱時計はゼンマイを巻けば 30 日位動き手を付ける事はない。反論の基は柱時計だけだ。
「時計では 1 時間だけだ 何処の家にもある事ではないか」と反論した。
家の中はいつもと違う雰囲気に成っていたが少しずつ僕と母は冷静になる。
「この家に一体何があったのだ」と聞けば「お前にあった」と言葉がきつい。
「昨夜家を出て 今帰ってきた」と言いながら身体から力が抜けた様子だ。
 10 分間だけ外に出て直ぐ戻ったのに柱時計は 1 時間が経過し理由が分らな。外に出た 10 分の時間が一時間いや、それも違う実際には 1 日が過ぎてい
たのだ。

 
晩ご飯は残り物でしかないと言い帰ってきたから良いという。
 母だけが分かっていた『宇宙船の神かくし』「神かくしに遇っても本人は気付かない そういうもの」と母はポツリと言い座っていた。
 この『宇宙船の神かくし』の間、人間はコントロールされ記憶を消され、そのことは母以外に知る由もなかった。
「1日で帰ってくるのも神かくし一生帰れない子供もいる」と言い「1日と1週間と帰れない 神かくしには三つある」と母は話した。
僕は「3日はないのか」と母に聞いた。
「3日はない・・・ 用のない子供を勝手に連れて行く事はしない」と言い「神かくしに遇い帰って来ない子供たちは今どうしてしているのか」と心配している。

 宇宙船に記憶を消されたとは知らない僕は翌日、近所の友達に「神かくしって知っているか」と聞いてみたが戸惑った気の無い返事が返ってくる。
隣の家の同級生に聞きに行けば「物語にあった」と期待と違う変な答えだ。
 学校で他の同級生に「神かくしって知っているか?」としつこく聞き回った。
小学生も五年になれば面子があり返事を逸らし知らないとは言わない。
 更に家が遠くの同級生に聞けば迷惑そうに返事をし、それを見
ていた同級生は僕が近づけば逃げて行く・・・もう学校で聞く事は諦めた。
我が家から離れた家の同級生は聞けば尚更、訳の分らない返事をしていた。
 
 学校から帰り向かいの家に行き神かくしがあるか聞いてみた。
「初めて聞いた」と言う返事は無難に子供に答えたという印象だった。
 母の旧友が我が家の裏向かいに嫁いで居て「あの家は昔から神かくしがある」と言っていた。母が嫁ぐ前から実家の〝神かくし〟を母の実家の周りが知っていたのだ。
「神かくしを自分が持って嫁に来た」そう言いながら深刻に考え込む母の姿はいつも寂しい。他家ない我が家だけの〝神かくし〟良し悪しは僕には分らなかった。
 祖母が「神かくしとは宇宙船が遣る事だ 仕方ない」と原因を思い出した。
我が家では逃れられない宇宙船の神かくしに翻弄されていた。
 ただ単に戒めで言う〝神かくし〟そんな言葉とは違い、現実に起こっていたのである。
 
 同じく小学五年生の時、サーカスが来るから母は動揺し連れて行かれると言い出し「サーカスの近くに絶対行かせない さらわれて神かくしに遇う」と混乱している。楽しみのサーカスが観られなくなる! 「観ている子供はどうなるんだ!」と反論した。
 怒り心頭になりサーカスの動物檻の仮置き場に早足で行き動物の世話をしている女性団員さんに「さらった子供をサーカスにするのか?」と聞いた。
女性団員さんは「サーカスの子供だって今は遣りたがらない 子供をさらうなんて事はする訳がない」と穏やかに言うが戸惑っている。
 正確に母に話をしなければと家に帰り女性団員さんに聞いた通りに母にぶつける。今度はサーカスの人に聞いたことが悪いと母は僕を叱る。
「サーカスの人達だって苦労するのに 如何して聞いたの」と以前と違う。
母はサーカスが人をさらう物語とUFOの神かくしを混同しているのだ。 
 学校でサーカスを観に上諏訪へ行きサーカステントの前に着くと、僕が〝人
さらい〟を聞いた女性団員さんがいて「あっあの子がいる」と笑顔で言ったので安心した。
 
 この頃を過ぎると空飛ぶ円盤や宇宙船を〝UFO(ユーホウ)〟と言うようになった。
 その後年代が経過する都度、兄弟の子や孫まで〝UFOの神かくし〟が続いていると確信する事が起こり矢張り子供たちは記憶を消されていた。
 僕の甥は高校生の時、JA富士見でバイトをして翌日の夜まで帰って来なかったと親達が笑いながら言い特に心配もしている様子もない。
「何処に居た?」聞いても本人は分からない。
記憶を消されているから答えに困り聞かないで欲しいと親に言っている。
自分の事であっても記憶を消されているから何を言われているのか分からないのである。
 我が母は心配そうに「神かくしではないか」と言いだした。
神かくしを知らない家族がそれは違うと笑っている。
母は〝UFOの神かくし〟をそれ以上言えなくなり孤立して寂しそうだ。
 僕は甥を呼び二人きりで「思い出せ」と細部まで根ほり葉ほり聞いた。
甥は当日の行動を辿り思い出しながら「その場所まで行ってUFOへ乗った」と口にした。
 そこでUFOの話は終りにしなければならない、本人が動揺しかけているから更に大変な動揺に陥らないようにと「今後 UFOの話はしてはならない」と口止めして安心させた。
 
 それから更に何年も経過した頃、姪から電話があり「私の子供を誰が預かった? 伯父さん預からなかった」と聞かれた。
四歳前後の男児三人の子供たちが一昼夜も居なかったと言い、姪の親や姪の旦那の親も預からず不思議だけで過ぎた一日があった。
 不明の出来事に僕は感じる処があり早くと思いながら三ヶ月が経過してしまった。
姪に電話で子供たちが 1日居なかった原因を聞いた処、既に姪はその事を忘れ
てしまった様子でUFOにコントロールされてしまったのだろう。
 
 時間が経ち過ぎては子供たちが忘れてしまうと思い姪の子供と話しをするため家に行き、三人の男の子のうち五歳の長男に姪の居ない時に聞いてみると五歳の長男『虎瞳』は予想通りUFOに乗った事を思い出した。その時の会話は次の通りであった。
 UFOに乗ったことを思い出させるには根ほり葉ほり細かく聞いていくと大体の人は思い出すが直ぐに記憶は消されてしまう。
 
「虎瞳、少し前  夜から 1 日いなかったけど 何処へ行っていた?」
   『・・・・・・・・・・・・三人で外へ行った』
「玄関のドアは虎瞳が開けたのか?」
   『僕は開ける事が出来るけど ドアは開いていた』
「庭へ出たのか?」
   『道へ出た』
「道をどちらへ行った? 下の広い所まで歩いたのか?」
   『・・・・上の方へ歩いた 道が分かれて曲がる広い所でUFOに乗った』
「UFOには虎瞳が先に乗ったのか?」
   『一番下の陵侍が心配だったけど最初に乗せられた』
  『・・・次に聖羅が乗り 僕は
後から乗った』
「そうか それならいいんだ」

 

  ドアの施錠はUFOから外す事ができ子供たちが家から外に出易くするのだ。
 陵侍は歩き始めたばかりで真直ぐ歩けない幼児でUFOへ乗るようにコントロールされ親達も心配しないようにコントロールされている。そのUFOの宿命を人間は防ぐ事ができない。
 後日、思い直して姪に話し姪はUFOの中の事を子供たちに聞き五歳の虎瞳はUFOの中の事を話してくれたと言っていた。
 
 小学生になった虎瞳はある日「僕はUFOに乗っているから偉いんでしょう」
と言った。驚いてしまったがUFOに乗った事を覚えていたのが嬉しかった。
「誰も信用しないから UFOへ乗ったと言ってはいけないよ」と口止めした。
  しかし、事実を子供に口止めする事は心が締め付けられ、とっても辛い口止めであった。
長男の虎瞳には「UFOに乗ったらUFOの友人をつくりなさい 沢山の質問をしてUFOの惑星や他の惑星に連れて行って貰いなさい」と言い聞かせた。
 
  子供たちが一日行方不明の原因を何処の親達も特に調べる事なく心配もしないのはUFOが親達の意思や環境までコントロールしているからだ。
UFOの神かくしの一日や一週間はUFOに乗った事で本人が困らないように周囲の生活環境をUFOが整える。
それを簡単に行えるのが超高度な文明を持つUFOの惑星の人達である。
 自分でも気付かない神かくし、UFOに乗った殆どの人間が記憶を消されて帰され何事も無かったように昨日の続きをやる。
人間は催眠術にかけられた如くコントロールされ一日が過ぎてしまう。
 それを目の当たりにしている母はUFOの事ある毎に宿命は自分の責任と泣いている。
「誰の責任でもない 仕方ない事だ」と言って何回も話しかけてみたが無視する如く母は自分を責めて涙を流していた。
 
 UFOの惑星は惑星人民の存続、惑星体制や惑星文化の存続等の諸々を任務とし惑星の最前線UFOが地球で人間を活用し惑星を成り立たせている。
 今日もUFOの超高度文明が魔法の〝神かくし〟をして人間をコントロールし、神かくしに遇う人間は記憶を消され何事も無かったように地上に帰され気付かない。
 地球は一万年も進んでいる文明に干渉され、逃れる事はできない。
誰が知ろうと知るまいと二千年続くUFOの宿命は氏を増やして末代まで続く
のだ。


 016 (ミステリーサークル)
 
 中学一年の時の事、UFOの人達に今で言うミステリーサークルを作る処を見たいと頼み「見せてやるから学校の休み前日には必ず来い」と云われていた。
 休日の前日、夜の 9 時に家を出てミステリーサークルを作る場所へ向かっていた。 
いつの間にか中学の先輩が僕の後について来ている。  
先輩を帰らせようと旧甲州街道の分岐点から左の伊那街道方面へ少し歩き国道を右へ曲がり更に街灯もない田舎道へ入ったが先輩はついて来る。
旧、甲州街道四十九里塚に隣接する焼け屋敷跡には田園が広がりここで見るのだ。
「先輩を帰せ」とUFOから云われ、帰せなければUFOの人達に叱られる。
「帰ってくれ」何回頼んでも先輩は頑固に「嫌だ」と帰ろうとしない。
UFOは「一人で来いと云った」と何度も怒って始めない。
先輩に「帰ってくれ」と祈るように言っても帰らない。僕の立場なんか知る由もなく、どうする事もできない。
駄目になるのか? 諦めたころ先輩が離れこれで見る事が出来る。
「隠れて見ろ」とUFOから云われハゼ棒を積んだ陰に身を低くした。
 小さくて光るものが稲の上スレスレに飛び廻り直ぐ後に棒状の光が降り一回転して昇りながら消えた。
同じ事が何回か繰り返されたがミステリーサークルが出来たのか暗くて全く分からない。 
夜も遅くなり明日の朝早く絶対見に行こうと思いながら帰った。
 翌朝、山側の高い場所で田園を見ると小さいが綺麗な円が数個ある。
先輩も矢張り同じく見に行ったと言い綺麗だったと話しにきた。
 昨夜、先輩は帰らずに離れた場所へ行き「そこならば良い」と云われ見ていたと言う。
それはUFOが先輩にも話しかけ場所を変えさせていたのだ。
 先輩が僕に「今度はいつか教えろ」と聞きにきたが既に僕はUFOの記憶は消
されている。 
 テレビで外国のミステリーサークルの放映を見ているうちに記憶が戻った。
こうやって作ると遣りながら尤もらしく作る人達はCIAに依頼されているとUFOで聞いた。
 UFOはそれを受けて複雑で綺麗なミステリーサークルを作り人間を嘲笑っている。


UFOが植物を曲げるのに茎を折らず出来るのは動植物が感じる事の
無い〝熱″を使っていると説明した。

 UFOのミステリーサークルは地球に対するメッセージと云っていたが何のメッセージか訊いても説明はなかった。
 現在は光る事のない方法で更に複雑で幾何学的な〝ミステリー図形〟を作っている。


 017 (不思議が続く)

 ミステリーサークルを作る処を見た数ヶ月後、UFOに乗る為に家を出たのは夜9時過ぎ、近道で先輩の家の前の道を選んだ処、先輩は何処へ行くかとまたついて来た。
「宮川を渡れ」UFOはと云う。
「以前 宮川で足を怪我したので怖い」と言えば宮川の上を浮かせて渡らせた。
先輩は遠回りして金沢橋を渡るのが見える。
僕は宮川を渡った農地の先の湿地の所まで行き上空に待っていたUFOに乗せられた。
そこは前日、見ておけと云われ見に行った場所で普段より水は多い。

 後日、先輩が僕を連れて行き「宮川を浮いて渡った」と僕に言い、UFOには此処から乗ったと指を差し説明する。
消された記憶も先輩にくどくど言われながら思い出す事が出来た。UFOからは注意され、これ以上先輩が来れば叱られる。
 次から僕の後をつけるなと何度も頼むが「いやだ」と先輩は聞き入れず「次からもついて行って不思議な事を見たい」と困らせ次の〝不思議な事〟に期待している様子だ。
 UFOは「金沢小学校の上側の小校庭(現在は無い)に乗る場所を変える」と伝えてきたが、「金沢中学校の登り口が近くて良い」と希望し中学校の登り口に決まった。
 UFOに乗る夜、中学校近くに住む同級生、二郎君の家の脇道を通った。二郎君の家は中学校も周辺道路も見渡せる位置にある。
 僕は中学校の登り口からUFOに乗ろうとしたがUFOから「二郎君が見ているから山に隠れる所まで歩け」と伝えられ山陰の堤の手前でUFOに乗った。

 次のUFOに乗る夜の事、UFOから「前回 UFOに上げられている上空を二郎君に見らたから 中学校裏側の石畑山の陰に隠れる更に上まで来い」と伝えてきた。
「石畑山は知らない」と答えると「お前達が言う天狗山の事だ」と云う。
天狗山の名称は小学生の時に僕達のクラスが間違った名称で聞きそのままの通称であった。本当の名称は石畑山であり後に天狗山は他に在ると知った。
 
UFOは僕達の通称、天狗山の裏側で夜間は危険な堤や周辺、UFOへ乗る場所の夢を何回も見せ、街灯も家の灯りも無い場所を歩かなければならない事で心配させないようにして次からも通称天狗山(石畑山・現在の金沢公園)の裏側まで歩き何回もUFOに乗せられていた。
 先輩は当日のUFOと僕の予定をいつの間にか知り得ていた。
「昨夜待っていたのに来なかった 如何して来なかったのか?」と聞く。
先輩は僕がUFOに乗る夜のことを何回もしつこく聞き出そうとしていたが、既に僕は記憶を消され、尚且つ中学校は逆の方向、先輩の家の前は通らない。
 中学二年の夏休みUFOの惑星へ行く事など知らされていなかった。
記憶を消され短い夏休みを不思議に思ったがそれ以上考える事はなかった。一週間何しに行って何見たか思い出す事もなかった。
 母は「明日までに家に戻って来なければ警察に行方不明と届けようとした」と言う。「何日も居ないなら 何故早く警察に届けないか 僕がどうなっても良いのか」と記憶も無いのに強く言った。
母は困った様子で「そうではない「もう言ってはいけない」と話を終らせた。
 記憶の戻った今、母はUFOの神かくしを言いたくない様子であったと思い、神かくしの日数からUFOの惑星へ行って来たと分かった。

 中学三年生の平日、UFOに乗り一日が過ぎているのに気付かなかった。
「一日を間違えないように」と母に言われたが無視して行った学校が変だ。教科書が時間割と合ってない確かに曜日通り入れ替えたのに・・・変だ。一日を間違えていると同級生が言っている。
僕はUFOに乗った一日の記憶を消されて思い出すことはなかった。母は僕がUFOに乗った事を知っていたのだ。
 
 同級生の友達、勲君が中学に成ってから欠席は無いと自慢したので「僕も欠席した事は無い」と言えば「欠席したではないか」と勲君は反論する。
覚えが無いから「欠席はしていない」と反論した。
 その噂が広まり欠席の事で同級生達が陰口を言い出した。勲君と更に膳一君までもが「自分から欠席は無いと言うな」と言う真剣さに何かあると思った。
欠席と言えば僕が怒るから日にちを置き気使いしながら友が静かに話す欠席の事、何となく欠席したような気もしてきた。
 それより先、既にUFOの中では「欠席になるから皆勤が飛んだ」と抗議をしていた。一年生や二年生の時なら仕方ない三年生の三学期で残り僅かだから悔しいと思っていた。
 UFOは金沢中学校へ「精勤で表彰するように」と伝えていた。
担任の先生が皆勤だけが表彰と決まっているが精勤で申請すると言い出した。僕は記憶を消されているから学校へは欠席は無いとか表彰の事は何も言っていない。
 UFOから伝えられた教育委員会は公務以上の理由と学校に説明していた。記憶がない僕は何だか分からない表彰制度が問題になっている。
何故僕の事が取り上げられるのか? 
 担任の先生が僕に気を遣い困った様子で「この件は今回限りの事であり下級生には当てはまらない 今後話題にするな」とホームルームの時間に言っていた。
 UFOから賞品は何が良いか聞かれ雑誌に出ていたガラス製のインク壺付ペン立てが欲しいと頼み皆勤の勲君にも同じ物を頼むように言った処、他の物が欲しいと言い別の賞品にして卒業式に僕は精勤表彰された。
環境も人も動かし調整し納得させるUFOの人達の文明。
 数年後の同窓会で表彰の話がでたが一人の「その件は話すなと言った」の言葉で誰も話す事はしなくなった。
同級生は未だ僕が特別対応された理由を知りたい様子であった。


 018 ◎級友へ

 諏訪という土地は製糸工業の絹の時代から発展し精密工業が盛んになり、その頃の発展経済を日本では〝高度成長経済〟と言って街には多くの若者がいた。
 僕は夜間の学び舎、諏訪実業高等学校定時制課程へ入学した。
学校には450人の生徒が在籍し隣の市の岡谷竜上高等学校は定時制専門校で700人の生徒が通学していた。
 勤務の終業と同時に行く定時制高校へ年齢が上の人達も勉学の機会を得ようと何の違和感もなく通ってくる。

 ある日の事、通常通り学校へ行ったのだが何か変だ。
「昨日 欠席をしたのに今日は平然と学校に来た」と級友の嵩田君は不審そうに「休むなら僕には言えよ 以前も黙って欠席したことあった 変な奴だ」と笑っているが何の事だか分からない。
 同じ日に「昨日 学校をどうして休んだの」と隣の席の女子、吉田さんが僕に聞く。
彼女はノートを開いて写して良いと言っている。
 分からないまま彼女のノートを見たが・・・ 彼女のノートに書いてあるのに僕のノートには書いてない・・・それも何故か分らずにいた。
 学校は君に会えるのが楽しくて欠席なんて思いもしない。
「この前も黙って休んだ事があったでしょ 心配してたの」との言葉が新鮮で嬉しかった。
「何してんの 授業が直ぐに始まるよ 早く写して」と急かしながら「見せてやりなさい」そう云われたと言い彼女は「云われなくたって見せてあげた」と言う。
「おかしいな?・・・見せてやりなって誰に言われた? 先生? 嵩田君?」
聞いても違うと言いながら誰だか分からないようなあやふやな返事をしている。

「UFOに私の家の近くから乗ったのは違うの?」 聞かれた僕は記憶が戻ってきた。
そういえば東山田(下諏訪町)の荒地から前にもUFOへ乗った事があった。
その頃は東山田の福沢川沿いの家が同級生の吉田さんの家とは知らなかった。
 UFOに指示され向かう東山田、福沢川沿いの家の前でその彼女、吉田さんに会ってしまった。
「何処へ行くの?」と聞かれ、答えに困り「荒れ地の泉を見たい」と答えた。
吉田さんは「暗くて見えないよ」と不審そうに言う。
 荒地に来るのは僕一人と思っていたがUFOから「皆が来るまで待て」と指示され、何人か荒れ地の所へ来る気配、しかし暗くて誰なのか目を凝らしても見えない。
更に誰か確認しようと見ていたが僕はUFOに乗せられてしまった。
 矢張り吉田さんに会った直ぐ後、UFOの神かくしに遇い24時間をコントロールされ記憶は消されて帰されていたのだ。
 懐かしい隣の席のその君にノートを見せてやれと誰が云ったのか今になって分かったよ。UFOは僕の周囲の人を動かし僕が困らないようにしていた。
 少年時代を走馬灯の如く回想した事はあるが記憶が戻るまでUFOに乗った事に繋がる事は無く、今頃に何十年も経ってからその時の事の辻褄が合った。
「そのことを君に会い伝えたい 本当の事が分ったよ あの時の学校の事 UFOの事・・・」
そして今、泉が湧いていた荒地は住宅が建ち並び以前の面影はない。

 越後の国、深雪の里から来た女子同級生のこと。 彼女には中学生の時、UFOで初めて会いUFOグレイからは覚えておくように云われていた。
 定時制高校で同級生になった彼女は「邪馬台国は〝やまたいこく〟ではなく〝ヤマトコク〟である」と言い「卑彌呼の宗女〝壹與〟はイヨでなくトヨであり私は壹與から名前を戴き『トヨ美』と名付けられた卑彌呼の末裔である」と言い、更に「卑弥呼の墓は箸墓古墳である」と言っていた。
 そのことに付いて、僕は不思議な共感と『何処かで聞いた話と同じではないか』と消えかけた記憶の闇が振動していた。更に「ヒトラーを見たことがある」と言っていたが、さすがに彼女の声は小さくなっていた。
 そして彼女の一日欠席はもちろん1週間もの欠席が噂され、その欠席は僕の欠席と日にちが遇い、級友からは如何してなのか聞かれ、記憶を消された僕は返事に窮していた。 記憶を消された僕と彼女が気付かない闇の世界なのだ。 宿命の者たちはUFOから諸々の事を多くの人達と体験させて貰いながらUFOから帰れば記憶を消されているのだ。
 ある時、彼女は自らの命を脅かすことをしてしまった。彼女は気に入っている男子を「UFOへ乗せてほしい」と依頼した為、UFOでは危険分子として抹殺リストに入れたのだ。
 僕も彼女の思考に腹が立ち『お前もか!』と怒り心頭になり『この世界で勝手な真似は許されない 自分の責任は自分で取ればいい』と思ったが、顔面蒼白で震える十七歳の彼女を見ていると愛おしい。 彼女の命がここで消えるなんて可哀そう過ぎる。
 しかも彼女の初めての受胎儀式は僕であり裏切りを許す気持ちと、助けても何れ僕を裏切るだろうとの葛藤の中、UFOグレイに抹殺リストからの撤回を訴えた処、「お前も抹殺リストへ入れる」と云われ、僕は「危険分子になる事はしていない 彼女のリスト撤回を依頼しているのだ」と強弁に訴え受け入れられたのだ。

 そして今、荒川家末代迄の宿命を生き、記憶を消された彼女に、子や孫に知らせたい。
彼女はUFOに乗せられ地球上では各地の世界遺産を観ており、宇宙ではUFOの惑星へ行き、二重惑星の天体ショーや惑星の太陽の星、エメラルドグリーンの夕焼け、夜には手の届きそうな巨大天体を観ている。


更に、宇宙で保存された廃墟惑星の街へ降り見学している筈だ。
 UFOの惑星では檻に囚われて居る地球人の子供たちを見ているだろう。
人間が火星へ移住する計画『第三の選択』のネバダ基地やその後に造られたフロリダ基地も見ている。火星には既に人間がコロニーに住み、その人たちを見ているだろう。
デビルズタワーの『未知との遭遇』ではUFOへ乗せられ参加している。
巨大UFOの中では透明容器の数百体~数千体の育成胎児を見て説明を受けていたね。
 彼女は『私たちの赤ちゃん今どうしているか心配』と言い、僕は『心配ない 子供たちは惑星組織の一員として、住人とし超能力教育を受け超文明を受け継ぎ満足している』との会話は心が揺れた。 その宿命を持つ彼女はUFOでの受胎を受け惑星への献胎は二十と推定できる。
 そしてUFOで僕と彼女は婚姻を勧められ、今まで認めなかった二人だけの受胎儀式を認めると云う。しかし二人とも記憶を消され地上に戻され、夢物語のように記憶の闇でうごめくだけで何もできない。

 僕は車に乗ったまま何回もUFOに上げられ、帰りはUFOグレイに依頼し彼女の家の近くへ降ろして貰った。一緒に降ろされた筈の彼女の家の前を通ったがUFOを降りた彼女は一旦家に入り家から出てきた時、僕は気付かず行ってしまった。
 彼女の家の近くグランドがあり其の近くへ降ろされた事があった。グランドを見ていた処、僕の名前を呼ばれたので振り返った処、誰もいなかった。後で聞いた話では彼女は声をかけ直ぐ隠れたとの事。これは偶然でも何でもない。直前まで一緒に居たUFOで受胎儀式を済ませUFOから降ろされ記憶を消されていたのだ。
 彼女も僕と同じだろう。子供の頃から不思議な事はなかったかい? 心当たりのない欠席や欠勤、一昼夜家を空けた事って夢ではないよ、よく考えれば思い出せる記憶の闇だ。天皇陛下が皇太子殿下の時、彼女も何等かの接触があった筈だが如何だったでしょうか。
 二つの世界を生き、記憶を消された彼女! そんな話をすれば宿命もUFOも否定するよね。  =超文明惑星= その魔境の中に組み込まれた因縁、地球の常識など宇宙では通用しないのだ。
『あのことが夢の中にちぎられて記憶の闇に落ちていく   そう宿命の者たち』


 019 (旅先にUFOが来た)

 学校を休んで会社の二泊三日の社員旅行に行く事にして級友にお土産の約束もした。
旅先の一泊目、福島県の飯坂温泉の旅館で寝ていた僕にUFOが来いと伝えてきた。
来いと云われた場所へ行こうと部屋を出た処、酒を飲みに出て帰って来た年配者達に戻れと止められ振り切ろうとしたが会社では僕の年齢が一番若いから振り切って行く事はできない。
 UFOから「他の人達を先に乗せるから」と伝えられ、この地を離れながら「戻ってくるからもう一度来い」と云う。
 如何なる場合であろうと必ずUFOからの指示を守らなければならない、というより
UFOにコントロールされてしまいUFOに乗る為に旅館を出る方策を探すのだ。
 後で行こうと寝た振りをして皆が眠った頃を見計らい、そっと一人で旅館を抜け出し町中のロータリー上空で待っていたUFOに乗った。
 UFOには24時間乗るから「旅行での観たい所がこれで見られなくなる」とUFOの人達に抗議しUFOの一日で如何しても観光したい所だけ見せてもらった。
 次の日の夜、UFOから帰る時間になりUFOの人は「会社の皆は次の旅館にいる」と云う。
「そんな筈はない さっきの宿へ行ってくれ」と頼んだ。24時間を経過したのに僕は気付かない、UFOの神かくしに遇っていたのだ。
UFOの人は「その旅館には居ないよ」と云い僕を降ろした。
 旅館に向かって歩きながら会社の皆が居ると当たり前に思っていた。
「10分だけ待つ」とUFOは伝えてきた。
「行ってもいいよ」と答え気楽に歩いた。
 旅館に着き様子が変だ! 旅館の歓迎看板に社名がない、何故か事情が分からない。
〝UFOの神かくし〟に遇いUFOにコントロールされ記憶を消されたのに気付かない。僕は旅館の部屋に戻り寝なければなければならない。
 玄関戸を何回もたたき開けてくれた女将さんは「大和工電は朝出発したから誰も居ない」と言う。「旅館に入れてくれ 旅行カバンがある筈だ」
「会社の方が全部持って行った」と女将さんは素っ気なく言っている。
「カバンには旅行の全てが入れてあるから 手持ちのお金は何も無い お金はないけど今夜だけは泊めて欲しい」と頼んだ。
「旅館だから無料では泊めない」と言われ僕は外で寝るのかと困って泣いてしまった。
女将さんは「旅館の嫁で仕方ない 旅館でなければ無料で泊めた」
「タクシーで次の旅館へ行けるよ」「非人情になってしまった 旅館の嫁でなければ普通の家だったら 無料で泊めてあげた」
そう言いながら女将さんは考え込んだ。

 僕は諦めて旅館の前の道路に出るとUFOから「早く来い」と聞こえた。
「ロータリーで待っている 10分過ぎてしまう」とUFOの人達の焦りが伝わってきた。
「こちらまで来てくれるなら 10分に間に合うのだから来て欲しい」
「そちらには行かない降りた場所に来い 走って来い」と怒っている。
「早くしろ」何回もUFOが伝えてきた。今度は僕が焦ってしまい走った。
何回も見る腕時計、10分過ぎたから行くと云っている。
更に二・三分過ぎてUFOは移動した。
行ってしまうと心配だったが「この先の広場まで来い」と変更しUFOは町中のロータリーを過ぎた町外れの広場上空へ移動している。広場まで息を切らして走りUFOへ上げてもらった処、人が来るから移動したのだという。
「予定通りに業務ができない」とUFOの人達が怒っていた。
「UFOが移動した時間は僕に責任が無い」と平気で自分を擁護した。
 
 次の宿の上空に来て「窓から入れ」と云われ手すりも何もない二階の窓は見ただけで怖くベランダがあれば入れるのだが・・・
「世田谷で見たベランダがあればいい」と頼み、先ほどから時間の事が気になっていたが「運ぶ時間は良い」と時間対応は矛盾していた。
その頃のベランダは大概が木造のベランダでUFOの神業でも壊れるかもしれない。
古い木造ベランダを運び窓の外側に浮かせ窓から入る事が出来た。
会社の先輩は僕が必ず戻ると窓の鍵を外し布団まで敷き待っていた。
その先輩はUFOにコントロールされていたのだ。
先輩は先程までは何も無い窓の外のベランダを見て不審そうであった。
「そこへ寝ろ」先輩の言葉に安堵の気持ちが伝わってきた。
 翌朝、部屋に僕が寝ていたのを皆が驚いていた。
先輩は窓を開け「お前が帰って来た時あったベランダが無い」と不思議がっていた。
朝食の時から僕に嫌味を言うおばさん社員、記憶を消された僕は何の事だか分らない。
大和工電の原社長より僕と写真を撮ってはならないと指示が出されていた。
UFOに乗ったとの詳細を社長が全て知り得ていた。UFOに乗った記憶を繋ぐ写真は撮ってはならないのだ。
 僕は後で知る事になるが社長もUFOに乗る人でありCIAのエージェントもしていた。立場がそうなら僕も同じ指示をしただろう。
 前日、遅れた出発一時間は大変な騒ぎだったと皆に言われバスに乗るその一日は僕に悪口を言う奴と味方する人に別れていた。
矢張りバスの中の騒ぎが何の事だか分からなかった。
 旅行の写真は撮ってはならないと伝えられ撮るのは少しだけ帰った後は日にちが合わない、幾ら考えても写真と日にちには一致しなかった。
 友人にもお土産は買ったつもりであったが探しても旅行カバンにはなく結局買わなかったのか? 記憶を消され何がなんだか分らない事が続いた。
その後日〝無くなったそのベランダが戻った不思議〟と新聞に載った。

 大和工電の東北の旅先で〝UFOの神かくし〟に遇った空白の一日はUFOにコントロールされて記憶は消され30年以上経過して記憶が戻るまで思い出す事はなかった。
いつも僕は記憶を消され、そのまま帰す人もいるのに記憶が戻った今、UFOを恨んでいる。


  020 第二章  あゝわが地球


 021 
◎UFOの友人
 
 UFOへ三回目に乗った幼年期の事、UFOの中に子供がいる。

以前、子供は居なかったのにと思いながら親しみを感じた。
その子は三歳と云い僕は四歳でUFOの方に「友達になれ」と云われ友達になった。
友達に「その人がお父さんなの」と訊けばUFOの人が答え「UFOに居る人は皆同じだ 誰の親でも誰の子でもない」との返事である。
親でも子でもないという不思議な返事にUFOの中の人達をキョロキョロと見渡した。
名前を訊いた処「名前は無い」と云う。
【名前に付いて何年も後になり、UFOの惑星全人民は〝記号と番号〟で管理され個人名は無く超能力で識別すると知った】

 UFOに乗る都度お互い共に少しずつ成長しているのが嬉しかった。
UFOの人から「お前の友達はもう直ぐ学校へ行くから会えなくなる」と知らされた。五歳から学校へ行くUFO惑星の子供たち、地球とは全く異なる教育システムである。
惑星は特殊な教育法を開発し五歳から全員が五年間の教育を受けるのだ。
「地球だってやれば出来る我々と同じ超能力が身に付く」とUFOの人が云う。
友達が学校へ行った五年間は会えなかった友は変ってしまった。
 特殊教育で超能力を身に付けた友人は一時期、超能力の無い僕を見下し自分の優越性を自慢して僕を嫌な気分にさせた。それも少し後には云わなくなり謝罪の意思を示した。『ごめんなさい 仕方ない事だ』との気持ちが伝わって来て友人関係は続いたのである。

 20年位経過した時の事、UFOの友人は310年後には大統領になると聞いた。既に何代も先の大統領が決まっているのだ。
UFOの惑星の人達は350年から400年の長寿命で超能力もあり、惑星では地球の常識外の事が当たり前にある。
 UFOの人達に大統領の基準は何か聞いてみたが誰も答えなかった。
こんなに早く決まっているのは能力主義とは思えない。
『誰の親でも誰の子でもない』なら大統領のご子息ではないから世襲ではない。
UFOの人達は地球と違う惑星の大統領制度に触れたくないのだ。
「大統領制を批判したと取られたくないから 説明はできない」
「惑星の大統領は少し前に代わったばかり 新大統領に期待している」と云っている。
言論の自由や思想は制限されて文明が発達しても惑星には不満がある。

 地球に対しUFOの惑星から出た命令を担当UFOが遂行する。
超高度文明の圧倒的優位を背景にした惑星の要求は可也大きく、UFOとの秘密協定があるCIAが妥協を拒否している。
 妥協しなければ甚大な被害が地球にもたらされると分っていてもUFOの要求にCIAは対応する事ができない。
「将来 大統領になる君なら過大要求の取り消しを大統領に頼めないか」とUFOの友人に真剣に頼んだ。
「後になる大統領であっても今の身分は惑星体制の中で組織の一員に過ぎない 権限などなく大統領の命令には背けない」と友人は答えた。
「地球でも僕が400年を生きるなら僕も地球の大統領なる 君がUFOの惑星大統領に成れば友好的に協定を結ぶ事が出来るではないか」 
 友人は僕の考えに困っている。僕が地球の大統領に成ろうと友好協定はできないばかりか永久に対等にならない存在という事だ。
 UFOの人達から「お前の友人は母船の配置になった 配置換えを一度したなら本人も戻る気持ちは無いと云っている」と聞かされた。
 組織は母船が上位、出世コースは地球に似ていて友人もその都度地位が上がりそれが地球の軍隊組織を思わせる。
 UFOで友に会えていた時は気にしなかったが今は友人の事が気になる。
しかし、どうあろうと友人と僕の立場は〝支配する者と支配される者〟と大きな違いがある。
『文明の隔たりのあるこの世界 天を仰げば地球が悲しい』 


 022 
(UFOで)

 僕が七歳頃の事、円盤型UFO内の通路に座っている小父さんが居た。

邪魔だと思いながら何回も通り邪魔な人が居るとUFOの人に訴えた。
UFOの人は「アインシュタインを知っているか あれはアインシュタインだ」と云う。雑誌で見ていた有名な科学者が余りにも雑誌と違う汚い服装をし髪ボウボウで尚更驚いた。
 僕は子供ながら異様に思い「何故 偉い人がUFOに居るのか」と訊いた。
「アインシュタインの相対性理論はUFOで教えた 相対性理論は宇宙では通用しないから教えても問題ない まだ他に教わろうとしているが迷惑だ」と云って無視していた。
そして「地球上の偉人は偶然には現れない我々が関与している」と云っていた。

 UFOは生物もどきのチップを人間に埋め込み所在の感知が出来るようにしている。
それは特定の人間を管理し活用する為の物でアインシュタインも生物チップを埋め込まれUFOに感知されていた。
 前述の通り子供は鼻が小さく鼻孔からインプットはできず口を拡げ顔面をはがし鼻の奥へインプットする方法で何回か埋められた。
その後、成長してきた時には鼻孔から奥へ埋められ鼻が歪み顔面が歪み激痛があり鏡を見ていると顔全体に形相が変っていた。
 中学生の時は額に埋められ30歳前後には後頭部に埋められた。
この二つの方法は痛さを伴わず簡単に処置ができ手で触れば5ミリ~10ミリ径の凸状の物が埋められている。
 日本人が顔や頭を手で触り小豆位で凸状のものが皮膚下にあればUFOに乗せられている可能性は高く、後にUFOに乗っている可能性の何人かに凸状がある事を確認した。

 昭和時代の後期からであろうか、UFOの人達をアメリカでは『グレイ』と言って日本にも広まった。
 そのUFOグレイに見ろと云われ人間の首付近の血管を20㎝位取り出して脂肪を棒状の物で押し出す処を見た。
大豆三個分位の脂肪が出てきて人間は誰でもそうなのかと驚いた。その血管を元に戻し特に手当しなくても痕跡も残らず治ってしまう。
 「血管に脂肪がそんなに有るのなら 僕も脂肪を除去してほしい」とUFOグレイに頼んでみたが「お前はまだ大丈夫だ」と云われ除去はして貰えなかった。
 更に、頭蓋骨を外して脳を目視検査する。終れば頭蓋骨を元にして傷跡も残さない超高度医療である。

 僕が家に居た時の事、頭の芯に激痛だ・・・頭の真ん中とハッキリ分かり尋常ではない。脳溢血かも知れないと思いながら死んでも良いと激痛の中で寝た。
三時間位経過し死なずに目覚め痛みは無くなり生きていたと思った。
 UFOから「治して遣るから待て」と伝えてきたので「今直ぐ来てほしい」と頼んだ処「少し待て」と云われその少しは三日位だろうと思い待っていた。
 しかし、UFOは一週間も経ってから「すぐ来い」と云い内心〝遅すぎる〟と不満であったがとにかく早くと外に出てUFOに上げられた。
 脳に出た血液の除去をしながらグレイは「古い出血の痕があり固まっている 血塊を全部取るのは危険だ 影響はないからそのままにする」と、血塊はそのままにした。
 そういえば中学生の時に頭の芯の激痛の事を思い出した。その時も脳溢血を起こし大分後になり血液の除去をして貰ったが残っていたのだ。
 僕は後に脳溢血を起すかも知れないと思い「危ない血管は破れる前に 処置してほしい」と頼み日常生活に影響のない血管全てに処置して貰った。

 その後日、UFOへ乗ってきた者は全員の血液を採ると知らされ血圧が下がるから脳溢血も無くなるだろうと思い多少の心配をしながら〝良〟とした。
「男子2,000㏄ 女子千㏄を採血する」とグレイが説明したので「2,000㏄も採血されれば人間は危険な状態になる」と反対した。
「最近の日赤献血は400㏄だから多くも500㏄にしてほしい」と交渉した処、UFOグレイは「1000㏄にする」と譲って云い僕の言い分は聞き入れない不安な採血だ。
 まだ話しをしたいのに採血者が持ってきた容器には2,000㏄は楽に入る。
交渉相手は部屋から出て行ったが意志の疎通は出来ている筈だ。
 採血者は素知らぬ態度で2,000㏄を採血した。
視野が周りから暗くなり狭くなってゆく、動けない、もう駄目か、死ぬかも知れない。
 異変を感じたのか交渉したUFOグレイが早足で戻ってきて血液を戻せと指示し直ぐ血液は1000㏄が戻された。
 UFOの中で何人も立つ事ができなくなり床に座っている。
超能力があるグレイには結果が分かる筈なのに最初の組織命令に従っている。超高度の文明にあった不徹底なのか故意なのか、地球人のミスなら納得するが超能力のあるUFOグレイの不徹底は理解し難い不可解な出来事だ。

 「UFOが人間を誘拐し帰さないのは何の為か? 血液が必要なら日本で協力を呼びかけ提供する」と言えば「違う」と云う。
「心臓や脳が必要なのか」と訊いても「そうではない 云えば人間は怖がるから」と云ったから矢張り身体全部を必要とし誘拐して使うのだ。
 UFOの惑星の人達(グレイ)は口から物を食する文化は無くなり養分のみを摂取する。それが飛躍的な長寿を作り出しその養分を地球に求めに来る。
 農産物・魚類・動物を求めるのではなく地球の思考など全く通用しない手法を使い人間幼児や牛を確保し純粋な養分だけ抽出して摂取する。
不要素は微量の汗となって排出され身体に残る事はない。

 UFOグレイは身体を風呂やシャワーで洗い流す事はしない為、非常に強い悪臭であり人間の嗅覚を止めて貰わないとUFOには乗れず、その臭いは人間の排出物を時間経過させ腐臭を増加させた強悪臭と全く同じである。
 UFOグレイの嗅覚について知識として知りたかったが訊きづらく黙っていた。
 日本の医師(諏訪中央病院)から「腸がねじれている」と診断された後の事であった。UFOで「腸を一旦外に出す」と云いUFO医学だから大丈夫と頭を起し見ていた。下腹部の体毛を手の平で簡単に除去しヘソから下へは指だけで切開し、腸を台の上に出して腸の捩じれを話した後、腸は雑に体内へ戻した・・・ 治したのだろうか?
 後日、病院の医師は「腸の捩じれが治っている」と不思議がっていた。

 僕は家で眼底出血してUFOから「治すから それまでうつ伏せに寝ろ」と指示された。何ともないので二日位で仰向けに寝て仕事にも行っていた。 UFOは五日後に僕を乗せ治療を始めたが「UFO医学でもうつ伏せに寝なかった治療は難しい」と云い代用の液体入れ完了した。
治すならヘルニアも治して貰いたいと頼んだ処、時間がないから後日という事になった。
 その後日、ヘルニアを治して貰う夜になりUFOは人工椎間板を入れると思っていた。
しかし、UFOグレイは「人間の椎間板は作っていない」と云い「潰れてずれた椎間板を修正治療したから40年は大丈夫だ」と説明した。

 エイズの発生をマスコミが報道する回数が多くなり「UFOは何でも出来るのなら 地球では治せないエイズを治せるのか」と訊いた。
 UFOグレイは「エイズは発生したばかりで今は治せない 数ヶ月後に治療法に取り掛かるから 直ぐ治せるようになる」 「エイズはUFOの地球人誘拐阻止の為 CIAがエイズウィルスを作り感染させた」と云う。
 細菌兵器でも使う前にワクチン作りストックするのにCIAは早まった事をした。
UFOは地球より一万年文明が進みエイズか否か直ぐ分かる、CIAは承知しながらエイズウィルスを感染させたのだ。UFOでも今直ぐ治せない病原体を作るCIAは変に凄い。
 僕はエイズ報道の前からフィリピ―ナと遊ぶことが多くなっていたが諏訪地方にもフィリピーナの患者がいると報道され遊ぶことはやめた。
 それから二年位経過し、UFOでエイズは治せるようになったか訊いた処、UFOグレイは「既にエイズは骨髄移植で完治出来るようになっている」と云う。
 YAHOOネットニュースで『2013年7月クアラルンプールでの国際エイズ会議で米ハーバード大学の研究チームは、エイズウィルス(HIV)に感染していた患者二人に骨髄移植を行った処、血液中からHIVが検出されなくなったと発表した』とあった。
その医療に間違いはない。UFOグレイが30年以上前に治療法を云っている。

 地球では脳死の後、蘇生する場合もあり延命治療を続けるがUFOの惑星の人達グレイは延命より死を選ぶ。
脳死を一旦すれば脳血管の微細部にまで血液を通わせる事はできなくなりUFOの惑星の人達が身に付けた超能力は使えない。
 それは人間レベルに能力が低下し人間レベルになれば奴隷にされ、UFOの惑星では人の扱いは受けられなくなり惑星の人達は蘇生を望まず奴隷に成るより死を選ぶのである。
指などが欠損した場合は元通りに再生させる事が出来ると説明し驚いたがその頃、iPS細胞は民間では聞かなかった。
 今はノーベル賞を受賞した山中教授のiPS細胞活用は医学倫理を乗り越え進歩させて欲しい。地球の医学倫理は宇宙には通用しない原始的なものである。

 日本人の放射能被爆の事が気になりグレイに「被爆者から放射能を除去出来るか」と訊いた処「放射能は完全に除去出来るが 完全に除去すれば人間は死んでしまう」と云う。

 昭和35年頃の事、UFOに欧米人の首を犬の胴体に繋ぎ合わせた人面犬が居た。人間の顔に似た模様が犬の顔にある等と違いUFO医学の首の挿げ替えであった。
 その人面犬は「犬の姿で嫌だけど 三年は生きられる 今までにない楽な気持ちになり毎日のんびり出来る」と言う。
三年位は直ぐ経過し死んでしまうのに完全な諦め言葉だ。
 地球でもその前年の報道で犬の首に他の犬の首を繋ぎ合わせ一胴体に二つの頭部を付け三ヶ月生きたと写真を公開した。
 グレイに「人間の胴体に動物の首の挿げ替えが エジプトの石像やレリーフのモデルになったのか」と訊いた処「それは未だに遣っていない」と答えたが僕は信用しなかった。

 TBS系(JNN) 2015年6月26日(金)に配信されたネットニュースがある。
『難病の30歳のロシア人男性が自分の頭を体から切り離し、 脳死状態になった他人の体と結合する手術を受けると発表した』 
 更に【AFP=時事】『2015年9月12日(土)イタリア人と中国人の医師らが世界初の頭部移植手術を中国で計画している』と報道され、2017年12月に成功したとのネット配信があった。
一万年進んだ文明のUFOが何もしない訳がない。
 人間は超能力と言っているグレイの脳の働きは人間を超越しているが、未だ地球科学では無視しまやかしと思い研究や解明はしないのである。
 宇宙でも脳を持つ全ての生物に意思の疎通ができ未来の事象が分り原子単位まで動かせる能力である。
地球でも超能力のシステム解明をし、同じ能力を持てれば超能力とは言う由もない。
 そんな〝グレイ〟と言われるUFOの惑星の人達には人間の思う事は先の先まで知られ嘘などは通用しないのである。
 人間も特殊教育したならUFOグレイと同じ能力が持てるのに、一市民一個人が言ったのでは嘲笑われるだけである。
 UFOではグレイと同じ容姿で能力は人間レベルの奴隷を予め生産している。何を基準として超能力の教育を受けさせないか分らないがグレイなのか奴隷なのか地球の人間では見分ける事ができない。 グレイは見分けると言うより脳の機能で識別出来るのだ。

 超能力のUFOグレイがアメリカを笑い「邪悪な我々と地球は協定持った」と自ら云う。アメリカはUFOグレイが地球で人間にする諸悪行為を黙認する代わりにUFO惑星のテクノロジーを提供して貰う協定締結をした。
「我々と協定の締結をした以上 他の惑星とは締結させない」と云っている。
 宇宙での身近にあるUFOグレイの惑星文明に地球文明は大きく遅れている。
その文明は地球より一万年進み宇宙船は一日で200光年を移動し地球の速度とは概念が異なり速度と表現しない。
そして、理屈屋は「UFOとは未確認飛行物体の事だから」と言い話を逸らす。


 023 ◎脅迫

 隅田川へ祖母と花火を見に行った五歳の頃の出来事である。
大型打ち上げ花火とは別に見物人が水平に花火をこちらに向けて遣っている。
普通の花火より光らず綺麗ではない。祖母は「花火ではないピストルだ 戦争が終ってそんなに経ってない ピストルは誰か持っている筈」と言う。
 何だか分からず立っていた所へ正面に火花が飛んで何発か直前で弾け当たらなかった。祖母に引っ張られ人ごみの中へ紛れ込み逃げ帰った。
 UFOに乗り「我々がお前を守っていた」と知らされ神様が守ったのではなくUFOが僕を守る事が分った。
 所在も埋め込みチップが機能し予期する危険から守られた。その後、二十代後半まではCIAに脅迫された事はなかった。
 1975年ころ、僕は諏訪市の蓼の海第二団地に住居を移し住んでいた。
ある日、近所の主婦は僕がUFOへ乗る処を見たと言い話を聞きたいと来た。
聞かれればその時だけは思い出し状況を説明したのだが主婦は近所の作家で『聖職の碑・アラスカ物語・武田信玄』等の著者にUFOと僕の話をした。
 作家はテレビに出て一般に信用されないのにUFOに乗っている人がいると喋ってしまった。
 日本のテレビは監視され泣く子も黙ると言われたCIAは見落さなかった。
早速動き砒素の缶を僕の家の水道管へ仕掛けたのだ。
CIAから二千万円を貰ったと言う二人、お前達CIAの者かと聞けば「水道局の者だ 水道を出しておけば流れるよ 人が死ぬのは嫌だ」と言って立ち去った。
 UFOに乗っている者ならいつもUFOに守られている筈と思っていた。
水道の水を出しっ放しにして流していたがもう大丈夫と思い使ってしまった失敗であった。
砒素は水に溶けた状態では無臭無味で温めれば強い消毒薬の臭いがした。
 一週間後に水道局の者が来て「この家で葬式が有ったか」と平然と僕に聞き「俺の事か」と言ったら黙った。
 水道局の二人は水道管を掘り出し砒素の缶を取り出したので、この缶は他で使われたら死者が出ると思い「その缶を置いて行くように」と言った。
CIAに金で雇われた水道局の二人は他で使うようだと言って持ち帰ってしまった。
あの缶を強引に取っていたならば他での犠牲者は防げた筈だ。

市の職員がCIAから金を貰い殺人に手を染める驚いた公僕の居る市は市長の悪度さが浸透しているのだろうか? 1977年頃の事だ。
 矢張りCIAは市長にも手を打ち市長のコメントが地方新聞に載った。
『国家安全保障の為なら市民の一人や二人は死ね』
理由も知らずUFOもMIBも知らずアメリカのトップシークレットが何であるかも知らずに言いまくる。
 市長の機嫌を取り調査も批判もせず市長の言った通り書いた地方新聞のレベルは低い。そんな能無し市長は選挙で良識派でない奴と言われ非常識も市長は平気だった。
なぜ市民は諸々に非常識な独裁市長に投票するのか馬鹿な市民に腹が立つ。
 僕はその後、体力が急に無くなり走る事などとても出来なくなり階段は二階まで上がるのが大変であった。
 僕はCIAと砒素の件をUFOグレイに訴えた。
砒素は身体に蓄積し外には出ないと知識にあり心配で砒素を除去して貰いたいと頼んだがグレイは微量だから大丈夫と云い除去して貰えなかった。
しかし、その事情を知ったUFOグレイは次のように約束したのである。
「次からお前に何かあったなら 我々がCIAに報復する」
身を守る保障を取り付け一先ずは良いだろうが矢張り心配であった。
 その後、この一件と関係なく僕の都合で隣の茅野市ひばりが丘へ転居した。


 024 (CIAとフリーメイソン) 

 ひばりが丘では何事もなかったが更に僕は茅野市玉川に家を新築し転居した時の事。 UFO惑星で決定した地球に対する要求はUFOが直接CIAに伝えている。

要求は大きくCIAは回答できない。
要求にCIAの返事が無いと云いUFOグレイは僕達に方針の変更をいう。
「UFOの会を作れ」と名簿を渡され持ち帰った。
 名簿用紙はA4ではなくB5で欄外にCIAとあった。
UFOが強制的に提出させCIAが信憑性を無くす為、B5サイズにしたのだ。
僕達は以前からUFOの会を作りたいと申し出たが許可はなくUFOの会はUFOの中で反乱の元になると禁止されていた。
 その名簿は富山県で350人が集まる予定の『UFOの会』発足の案内状に使われた。 CIAは案内状の配布を知り僕の留守に玄関の鍵を開け案内状を回収し同時に名簿も持って行った。
それからは家の周りを注意し仕掛けはないか毎日調べ不測の事態に備えた。
 この事が引き金になり脅迫がまた始まった。
UFOの仲間も受け身のまま抵抗も何もできないUFOの保護に期待する。


 僕は車が好きで時々諏訪湖周辺へ行き諏訪市と下諏訪町の間の湖畔をドライブしていた時、リムジンが僕の車に近付く、同じ車に今日は何回も行き会う嫌な気分である。
極道の車なら離れたい、前側から車中の人達が僕を睨んでいるのが分り僕を知っている様子でその事をCIAと関連付けて考えなかった。
既にUFOの記憶は消され『UFOやCIA』と言われれば記憶は繋がったのだが一人では繋がらず思い出すことはない。
 当日の夜、茅野市の助役がCIAの道案内で我が家にきて「MIBを知っているか」と聞く。   
『MAN IN BLACK』の略だ。
助役の後ろにはCIA(MIB)が二人、信じ難いが本に書いてある通り黒ずくめである。頭の中が真っ白だ! 言葉に詰まり答えを探し自分らしさはなくなり僕の焦りは見えみえだ。
「CIAの中にあるMIB」と助役は本気で説明している。
「UFOの事はMIBが遣るCIAでも特殊な組織だCIAの中でさえ何を遣っているか秘密にされている リムジンに何回も行き会ったが分ったか圧力をかける行動だ」

 この辺からハッキリ記憶が繋がってきた。以前から興味でUFOの本は何冊も読み本の内容は本当かその都度UFOグレイに確認し事実である事が記憶の底にあった。
 CIA(MIB)は10年前の生活状況の調査で僕を驚かせUFOの事は言うなと始まる。ふざけるな! 市の助役が何も知らず言われた通りCIAの手先で市民を脅迫しに来るのか。
 その助役は「私の言う事を聞いてくれ 私も脅され仕方なかった」と小声で弁解する。「UFOの事は日米安全保障条約の裏協定で 情報操作するのは仕方ない 言う事を聞かずにいれば止むを得ず〝適正措置〟を執る」
助役は適正措置の意味も知らずにCIA(MIB)の指図で言う。
〝適正措置〟とはCIA(MIB)の業界用語で口封じの為の〝殺害〟の事だ。
「お前達 政治結社の裏で何をしているのだ」と脅迫してくる。
 僕は政治結社を主宰しており友人の大藤を幹部にしていたが、宝くじに当たるような稀な偶然で大藤もUFOに乗っていた。
家の中は留守の間に調べられUFOの本は読むなと脅す。
「〝UFOと宇宙〟の専門誌は絶対読むな」と念を押す。
【この直後『UFOと宇宙』の月刊誌はCIAの圧力で絶版、後継誌『トワイライトゾーン』が出版されたが矢張りCIAの圧力によって絶版となり、その後、後継誌は無い】「UFOを喋ったらCIA極東本部は麻布だ 二時間で来る」と脅した。
「口止めに一億円をやる 口座番号教えろ」 その助役は「道案内で一千万円をCIAから貰ったと僕に教えろと言われた」とその通りに言い「一億円は多すぎる」と言う。
 こちらは命が懸り半生をUFOに操られ今夜のチョイ役の助役に言われたくない。
CIAは一億円を銀行口座に振り込むと言っているが無実の罪で拘束されるかも知れず、更に〝適正措置〟の事も心配になる。
 「CIAのエージェントになっても良い」と条件を出した。
しかし、CIAは仲間も信用できない組織だと思い考えながら黙っていた。
「世界を動かす陰の政府を知っているな フリーメイソンでも良い」と言う。
「ユダヤの金持ちだけの組織だ」と答えた。
「フリーメイソンは最近サラリーマンも成っている 日本人が何人もいる」「ただの会員では価値が無いから投票の出来る地位のマスター(親方)にしてやる」と誘う。
 「フリーメイソンはピラミッド建設の石工が元だ 入会儀式で以前はハンマーで頭を殴っていたが今はハンマーで背中を殴る それに正面から剣で刺す この二つの内一つを選べるが入会式で死ぬ人もいる」
「死んでしまえば元も子もない」と反論すると「儀式は遣らなくても入会させる手続きをCIAが行う」と言っているが・・・・・・僕は頷いただけだった。
 説明が続き「フリーメイソン総会ではサラリーマンの一票は財閥にサラリーマンの年収以上の金額で買われ世界を決議する」と素人が世界を動かす一票を売るとの話をした。「一票を売らない者は除名され 秘密を守れない者の除名もある」
「総会に一度でも出席しなかった者も除名であり 次回には総会通知はしない」
「フリーメイソン総会の会場を女性と同行し見せた会員も多く除名になっている」 
また「フリーメイソンと通訳陣や各スタッフ陣が一堂に集まる総会の開催出来る設備のない日本はフリーメイソンの総会は開けない」
「日本の国際感覚は遅れ 今後も日本でフリーメイソン総会を開く予定はない」と言う。「京都に国際会議場がある」と僕が言えば「小さくて駄目だ」と返された。
【現在、その国際会議場は規模的に大きく改修されているが「京都は国際観光地とはいえ周辺の受け入れ態勢が不足になる」とUFOグレイからも聞いた】
 CIA(MIB)から「適正措置はUFOがお前を護っているからもうしない」と告げられ
「お前の家の二件隣の空き家から お前の家の電話を盗聴する」と言う。
相手はCIAだから阻止する事はできない・・・・・ 勝手にすればよい。
「下諏訪町の東町にも一人いる 先に脅迫してきた」と言い大藤と苗字は同じで名前が違い兄の名前を言ったのだ。
UFOに乗っていた兄は他界し弟が代わって乗った事をCIAは知らない。
「CIAに連絡するならMIBと言え CIAだけでは連絡は取れない」と言い残し助役は帰りCIA(MIB)はロボットのように歩き怖さを演出し街とは逆の方へ行く。

 今夜の事で以前見たフリーメイソンの入会式を思い出した。
UFOから降り僕達が会場へと入って行った処、フリーメイソンメンバーは関係者以外だと騒ぎだしたがUFOからの招待と分かり静かになった。
メンバーの観ている舞台、剣で刺され抱きかかえられての退場が本物か芝居か分らなかった。
ハンマーで背中を殴る事を選んだ人に殴る力加減をしてフリーメイソンメンバーからブーイングが起こったが「遣り直しはしない」と放送され静かになった。

 後日の夜間、僕は自家用車で諏訪湖畔道路を走っていた。
追い越しを駆ける車が反対車線へ出て僕の車と並走し危険を承知でCIAが付きまとう。CIAは後部座席でこちらを睨んでいる。三日前、我が家に来たのにまだ帰らない。
今度はリムジンではなく日本車を使っている。
 何日か前はリムジンが僕の車を無理に追い越しそれが極道の車の嫌がらせだと考えていた。 今、日本車の後部座席からCIAが身を乗り出してハンドルをきる。
僕の車に衝突させようとし驚いた日本人運転手がハンドルを戻す。
運転手は予想外の出来事にCIAに激怒して車中で喧嘩している! これ以上何も起こらない筈、対向車が無くてよかった。
〝平凡な一市民を脅迫しUFOの事実を封印する人達〟それがCIA(MIB)の職務だ。
 直ぐ僕の居場所が分るのは自家用車にGPS装置か他の装置を取り付けたのだろう。自分で調べても解らず修理工場で調べて貰った処、隠すように送受信装置らしき物が見つかったと連絡が入り「破壊し廃棄してください」と伝えた。

 大藤は後日、僕の家に相談に来て「変な奴が家に来た 外国人がCIAだと言ってきた 道案内の日本人が一人いて下諏訪町役場の総務部長だと言っていた」と言う。超能力を知っているか聞かれ「超能力は最近 皆が知っている 友人にも教わった」と答え、更にUFOの事を喋って後悔しているみたいだ。
「CIAのエージェントやフリーメイソンに成れと言われたが断った 気持ちが悪い名簿が家にあった 脅されて名簿は捨てた」と落ち着かない様子。
 僕の勤務先へもCIA(MIB)が何回もきて管理職や経営者を脅して帰り僕に圧力をかける行動であるという。

 CIAは僕をしつこく調べ政治結社を突き止め結社名簿に記載ある全員に電話で脅迫し勤務先や自宅へも行き脅迫していた。
 一方的に干渉された会員は「CIAに脅され恐怖だった脱退させてくれ」と電話をよこしたが「今後、二度と無い」と言葉を濁す返事をした。
 CIAのエージェントやフリーメイソンに成れとの誘いも返事は曖昧になり危険のみを感じ口止めの一億円も受け取れない状況になったが良否はまだ分からない。
諸々の危ない橋は渡らず細く長くの思いであったから仕方ない。多少でもUFO関連の知識など無かった方が良かったのか?
 UFOに乗り日本のフリーメイソンを訊いた処「日本の組織は何の権益も無いクラブ的な組織でフリーメイソンを名乗っている お前が入会を言われた組織とは別だ」と云う。
 上位のグレイが僕に「CIAが云う事を聞かない お前が本を出せUFOを書け!」と云い可也強く命令調に意志を示した。
UFOを書き出版しろと云う激しい感情は今まで見た事はなく惑星からの命令が遂行できず『報復の意思』が伝わってきた。
CIAとUFOのトラブルに終焉はない。いつしか『UFOは我々の味方』の概念ができている。
 UFOグレイに云われたのは僕だけなのか?「他の者は?」と訊けば「駄目だ」と云いグレイは「本を書けば幾らになるか分かるか」と聞いた。
「10年前 UFO搭乗者が本を出版した時10億円だから10億円だ」と答えた処「100億円だ」と云ったので命が危ないと思い黙ってしまったが今はグローバル企業CEOの年収や米国プロバスケットボール選手の契約金は高額だ。
 それにしても僕はUFOから記憶を消されて帰されるのだから本を書く事はできないと思った。
 そして今、記憶が戻り本に書いたがUFOに記憶を消されるかも知れない。
記憶を消されたらこの本の内容を自分自身が否定する事になる。
「UFOを書け 本を出せ」と云ったのだから蘇った僕の記憶は消さない筈、そして本を出版する大分前のことUFOグレイは「これがお前書いた本だ」と云い未来の本を空間に映した。


 025 ◎アポロ宇宙船

 地球初、月に着陸したアポロ11号をUFOグレイの複数が出迎えていた。
着陸船内の宇宙飛行士達は現況に戸惑いながらも不安の様子はない。
ただグレイの意図を知らないだけでその中継は同時通訳している。
 「何者か二人が着陸船の外にいる 危害を加える様子はない」と飛行士。
「待機せよ」NASAの指令が緊迫だ。直ぐ後にNASAは「直ぐ飛び立て」
と指令を変えた。NASAよりも宇宙飛行士達は冷静である。
「母船が一周するまで待つ それまでに状況が変るかも知れない」と的確な判断であった。
 外にいる者達が居なくなり問題はないと宇宙飛行士達は船外に出て「安全な乗り物がある 私たちは何故こんなもので来たのか」と飛行士が言っている。
 大混乱するNASAの様子が伝わってくる「何処なのだ」と聞いている。
宇宙飛行士は特に慌てる事も無く「秘密事項に入るのか山の上だ 大きな飛行船がいる これから撮る」
NASAは普通なら撮れと指令する筈が「撮るな 撮るな」を繰り返している。

 NASAはメイン通信回線の他にも副回線を使うと飛行士に連絡している。
その交信に「回線トラブルは無い筈 秘密としNASAが保管するのだろう」と思った。
 飛行士は「太陽にカメラを向け故障したから撮れない 消えてしまう 固定カメラで撮る」副回線での指示があったのか? 撮った画像が消えるなんて事もない筈。
 生中継でアクシデントが起こったと思わせNASAは秘密を守る事に躍起になっている。「山の上の宇宙船はもう居ない 通常業務に戻る」と飛行士が連絡していた。

 翌日の新聞を楽しみにしていたが記事は載らず情報は既に管制されテレビでも一言も触れる事はなかった。
こんなに重大な宇宙飛行士との交信を何処のメディアも報道しない。
アメリカの報道管制でありトップシークレットとして闇に蓄積するのである。
 UFOでまた確認をしなければならない地球にとっては〝重大事件〟だ。

UFOグレイは「本当の事だ 我々三人がアポロの宇宙飛行士を迎えようと正面に二人 他の一人は側面に居たが惑星から〝対応は取り止め〟と指示され退去した」と説明した。


 026 (天体の資源)

 小惑星イトカワから2010年6月13日帰還した探査機「はやぶさ」は帰路途中、不明となったがUFOが地球へ帰還出来るように方向調整した。
 探査機を帰還させるなど簡単な事で、更なる大昔の事宇宙を漂っていた遊軌道天体をUFOが地球の方向に向けその天体を調整しながら地球の衛星にした。
現在は地球の周りを回っている〝月〟という名称の天体である。

 そんな事は信じられない! 文明が一万年進んでいるUFO、嘘を言うグレイ達ではないが初めて聞く事に平静を装いながら頭の中は混乱していた。
 月に付いて一説の「太平洋が跳ねて飛び出し月が出来た」と言えば「何を言っているか 夜が月 地球に向いた同じ面 諸々の事象 偶然は無い」とグレイは強い調子で怒った。
 天体を動かすだけの科学力、太陽や地球に合わせ月を衛星にして日食や月食も計算した昔のUFOの科学だ。
何千年前の事か興味があり「いつ頃の事か」と訊けば「地球には古代からの記録がある 壁画の月が描かれた以前の事だ」と云い、それ以上年代の話は聞けなかった。
 古代では大和民族の命は短く30歳位とグレイから聞いていた。
天体の大変化があっても30年待たず生まれた子供達の代には月も当たり前になっている。
 
 僕は子供の頃には既にUFOで月に行き重機が資源を採っていた処を見た。
その月の世界を見た時のバックホーンが印象に強く残っている。
重機より大きな酸素タンクを乗せ不安定に見えたが倒れない。その重機に付けた酸素タンクは黄色で地球の工事現場で使われる重機の色だ。
 他の重機も見たくなり「ブルドーザーは何処にあるか」と聞いた処「必要ない」と云った。
この月の大地を掘るのは地球の重機でありUFOグレイは「重機など地球の工事現場に置いてある 持ってくるのは簡単だ アメリカ軍の重機もあって一段と大きい」と云う。
 月の裏側で地球の重機を使い資源を採るUFO文明、UFOの惑星はアルミニウムを大量に必要としている。

 あと僅かになった月の裏側の資源、月の表側も資源化し採掘で形の変るクレーターは必ず復元する決まりになっていると云う。
「地球から来る探査機が多くなり画像が送られている 地球からの観測精度も良くなっているが大丈夫なのか」と訊いてみた。
「全く問題ない」と云い、一万年の文明差でどうにでも対応出来る自負を感じた。
 UFO文明に重要必需のアルミニュウム資源、地球の文明とは大分異なりUFOの船体を造る圧縮された超大な量が必要になり科学技術は重力制御と共に進歩した。
「月の資源探査は小型UFOを数機連ね一回通過すれば完了する」と云うので「見たい」とお願いした処、数機が連なりながらの探査を上空から見た。

 UFOが建造した月の設備は中継基地で使っていたが必要なくなりそのままにしてある。その施設をUFOの惑星から個人的な遊び目的で来る人達(グレイ)に開放してあり私的に使う事が多くなったと云う。
 「月で見る地球の姿の報道の写真があったから見たい」とUFOグレイに頼み報道画像と同様に月の大地の向こうに地球が浮かんでいる所を見せてもらった。
 見たい場所は他にもありアポロ飛行士の活動跡を見たいと頼んだ。
グレイが「駄目だ」と云ったので僕達は「月に居るのに何故駄目なんだ」といつまでも不満を言いワイワイと騒いだ。
 UFOグレイは時間を置き云い直し「これからアポロ宇宙飛行士の活動跡を見せる」と移動し皆で報道写真と同じだと話しながら見た。

 グレイは月を地球の衛星にする二万年前の遊軌道天体の時代に故障で捨てられた他惑星の宇宙船が今も月に残っていると見せた。
「ロケット型の宇宙船内部を調査したが 今の我々より高度な技術は無かった その惑星は既に滅びてしまった」と云う。
 UFOグレイは他の惑星と月資源の利権争いが起こり他の惑星の宇宙船が利権の奪取目的でグレイ側に武力攻撃を加えた。
 武力紛争で月の建造物が攻撃を受けて破壊され、グレイ側は惑星戦力の動員で反撃し月の利権を守ったと説明している。
UFOの惑星は一定の残骸処理の後で武力紛争啓蒙記念に保存した。
 UFOグレイは僕達に「攻撃残骸へ降りて見ろ」と指示した。
酸素に重力や温度を心配したがUFOが15分間を限度に保護出来ると説明したので不安を打ち消しUFOから降り残骸の中を歩いた。
画像左側の残骸は高さ18メートルが残り、画像中央から右側の残骸は破壊が酷く六メートル前後の高さで残っている。

 UFOから「残り時間は五分だ」と伝えられ皆が早足で集まりUFOに乗った。
「残骸は惑星が許可し アポロ20号と21号の宇宙飛行士が動画撮影した」とUFOグレイは云う。(画像基は動画である)
更に「月には富士山より高い建造物があるが見せる事はできない」と云う。
 人間は月が地球に付属し地球の所有物と思っているだろうが宇宙の高度文明を知らない地球、月は地球の衛星にしたUFOの惑星が支配している。
 UFOの惑星は以前土星の衛星の資源を採っていた。その昔から土星の輪は幾つもありUFOは資源の廃棄物を元々あった輪に捨てていた。岩の輪が相当量でも衛星の形は変らないとの説明だ。

 「土星の輪を見せる」とグレイが云い、土星の近くに来た時に「報道写真で見た土星の輪のねじれも見たい」と頼んだ。
グレイは「その輪は見せない」と見せなかったが「我々が土星のねじれ輪を造った 資源を採っている際に岩等の不要物を輪に捨てながら ねじれ輪状にした」と説明した。
超能力を持ち文明がこれほど進化していても業務に遊び心がある。
 UFOグレイは「メビウスの輪を知っているか」と聞いたので「知っている」と答えたが他の人達はメビウスの輪を知らないと言っていた。
土星のねじれ輪はメビウスの輪と同じ形状で宇宙の重力歪みにも例えるようだ。
 土星の輪のねじれは地球の探査機が撮った時の報道写真があっただけ、その後、どのマスコミも取り上げる事もなく報道管制されたのかいつしか世界が忘れている。
土星の衛星資源が枯渇しUFOは土星グループから撤退し現在は月の資源を採掘している。 
 次の時も予告なしに記憶を消された僕達がUFOに乗せられた。僕は予定を知らないが仲間達の中には月に行く事を知っている人もいた。
しかし、僕達は頻繁に月に行ける訳ではなく月に来た時は久しぶりの懐かしい月面と感じるだけの期間がある。
 月に来て見る重機は大型化していた。地球の重機が大型化し地球の重機を使うのだから当然で酸素タンクは古い物を使っている。
 アポロ飛行士が撮った月の写真はその都度報道され同じ場所を見せて貰った。
報道の写真はNASAの機密維持のボカシがあったが現実はぼける訳もなく梯子があった。
 この月には舗装してない道路があり重機の通る道だという。
報道写真では月の道路があり見たいと言う前に見せてくれたのである。

 以前、本で見た三角形のUFOは本当か訊ねた処「本当だ 月の裏の大きな洞窟にあるから見せてやる」と云われ直ぐ見る事が出来た。
三角形のUFOが洞窟状の大きな凹面の中の空間に静止している。稼働中の時を見たかったが一応納得した。
 「最近V字型のUFOが本にあった 何処の惑星のUFOか 他の惑星の宇宙船が来ているのか」と訊いた処「我々のUFOだ」と云っていた。
 UFOグレイは「他の惑星が巨大宇宙船団で来て太陽の資源を採取している 太陽の周りには惑星自体を移動させる文明も来ている 地球より大きな宇宙船がある」と云い、天体を自在にUFO速度で移動させる文明に未だ到達できず悔しそうだ。

 更にグレイは「他の惑星の宇宙船は その惑星で出た放射性物質や諸々の有害廃棄物を太陽へ大量投棄処分している」と云うのだ。
「他に太陽は無数あるのに 何故我々の太陽なのか?」との質問に「他の太陽へも廃棄物投棄はしている」と説明したので納得した。
 太陽へ投棄した放射性物質や有害廃棄物で地球に影響が無ければ地球も太陽に投棄する時代がきて10万年も保存する放射性廃棄物の心配はなくなる。
 UFOグレイは「太陽の温度は28℃だ」と云うので「そんなバカなことはない6000℃だ」と反論した。暫くして「太陽の表面温度は地球で言われているより低く三千度位」と説明し直した。太陽の知識もなく詳しく訊き直す事もできなくて黙って聞いていた。UFOグレイが云うのだから間違いはなく28℃も正解で三千度も正解なのだ。これには地球で理解できない何かの理由がある。
 グレイは「太陽系に3,800年周期で公転している惑星があり その惑星には地球で使える資源が沢山ある800年前に地球の近くを通り 地球では忘れ去られている」と説明した。
 地球へ帰ると指示が出て僕達は「もう帰るのか」と思ったが一日の中で諸々するのだから時間は直ぐ経過してしまう。
帰還するUFOの速度指示は「早く地球に着けてはならない 15分だ」と出された。
月と地球の間を15分で移動する事は僕たちの感覚で「ものすごく速い」であるがUFOでは全く遅いのである。
 地球と月の距離38万KのUFO移動速度は〝0秒0000183〟であるが通常では地球と月の間は光と同等の1秒28と決められ15分かけた移動は超スローである。
「15分は遅過ぎる」とUFOグレイは不満を云う。
 UFOは地球に近づきグレイが僕達によく見ておけと云う。何回も宇宙から地球を見ているから今日は疲れて見たくなかった。
グレイの云うきつさに見る事にした。何度見ても宇宙から地球を見ていると格別にUFOに乗っているとの再認識をする。
 青い地球が徐々に大きくなり地球の青さが前面に視野いっぱいに拡がり顔面から後頭部に刺激が走り地球への到着である。

 UFOは地球の昼側から夜側へ移動しUFOに乗っている日本人全員がUFOへ乗った場所や家の近くへ一人ずつ降ろされ帰還が完了するのである。
 24時間の強制的であるが楽しさでもあるUFOへの搭乗を解かれ、いつもの通り記憶を消され本人は全く気付かない。
〝UFOの神かくし〟から地球の一市民という普通の人間と同じ生活に何事も無かった如く戻り周りに何を言われようと平然と過ごすのだ。


 027 (壊滅する地球)

 UFOグレイは「大宇宙は気の遠くなるような無限大であり 我々でも正確に把握する事ができない」と云い内宇宙と大宇宙を説明した。
「我々の内宇宙には銀河が二兆個あり 銀河同士が衝突する事もあるが小さな事だ 外の大宇宙には無限数の宇宙があり 膨張している宇宙もあれば収縮している宇宙もある 宇宙同士が衝突する事もある」と云う。
 更に「外の大宇宙を分かり易く云えば空間に風船が無数に浮き その一つ一つが宇宙であると考えればよい」と説明を付け加えた。
同様の宇宙説明は以前から他の人間にもしていた。

 UFOグレイは「地球の人間は火星からこの惑星へ移住してきたが 人口も知識も衰退し文明維持ができなかった」と説明している。
 人間が火星から移住した事はUFOにある宇宙歴史から説明し、移住する以前に築いた人面像は火星時代の大事業であったが国家事業ではなかったと云う。
 火星文明の発展から崩壊、地球への移住、数回にわたる地球文明の壊滅や発展は内宇宙百数十億年の歴史の中で一瞬の時間経過なのだ。

 地球は45億年の歴史の中で地殻変動による海底隆起や陸地沈降で壊滅が繰り返され未来にも同じ事が起こると予測できる。
「伝説のアトランティス大陸やムー大陸は本当に在ったのか」と訊けば、UFOグレイは「今の地球と同じくらいの文明であったが海底沈下した 特にアトランティスの水晶から強力なエネルギーを取り出す技術はアトランティス文明と方向性が異なる今の地球科学ではできない 未来においても同じ技術は持てない」と説明した。

 人間が築いた文明はその都度、地殻変動で壊滅し地球は原始時代に戻されて人口も僅かになり、再び宇宙単位の歴史的時間をかけ文明を構築する地球。
「現在の地球文明は四回目と何かの本で見たけど本当か」と訊いた処「今は五回目の文明である」とUFOグレイは云う。
「水が多く不安定な地球の近未来にある陸地の逆転 環境問題を放置しておけば 更に地殻変動は早い時期にくる」
「地球の平均気温が2度上がるなら海水面は1.5メートル上昇し 海水面が2メートル上昇すれば地球の地殻はバランスを崩し大きく速く動き出す 地殻大変動があれば地球上に 人間の文明は痕跡も残らない」との説明である。UFOから地球の脆さを知らされ人間の無力さを感じた。
 グレイの惑星では地球を水の惑星と云い、地球でも同じ表現はしているが我々の住む地球は良くも悪くも過大な水の存在が地球歴史の過去を決め未来を決める。
「環境問題を乗り越えれば少しの間だけ安定するが 何れ避けられない終焉がくる」と不安定な地球という水の惑星を説明する。

 宇宙には重力波動の強い歪み宙間があり近未来に太陽系自体が宇宙の重力波動の歪へ近付いて行く。
宙間の重力波動の歪は大きく強い、その中に太陽系が入ってしまう。
 水が多く脆い地殻の地球は重力波動の歪みに大きく揺さぶられ地殻大変動が起こり壊滅してしまうのだ。
「地球は重力波動に入ってしまう 宇宙の宿命は変えられない」とUFOグレイは話す。
 美しい地球がまたも滅びてゆく不安定な地球、脆い地球に壊滅が待っている。
「壊滅は回避できない 壊滅は350年後だ」とUFOグレイは平然と云う。
 地球は文明を発展させても何れかは壊滅してしまう。決して神が行うのではなく宇宙にある大自然の力を受け壊滅する脆い地球である。

「その箱の中に地球の未来が入っている」グレイの云う箱は大きくない。
地球の未来が分かるなら箱の中を見たい。
見せてほしいと頼んでも駄目だと言って見せてくれない。箱の中には地球の壊滅があるのか予言の本と同じなのか? 地球上には諸々の予言がある。
「ファティマの予言なのか」と訊いても答えない。
「誰にでも見せてはならない決まりがある 見せても一回だけだ」と云う。
仲間の娘は見たと言い「映画での『日本沈没』の方が凄かった」そう話して驚かなかった。仲間の娘は『日本沈没』と比較したのだから矢張り地殻大変動なのだ。
僕はその映画を観てはいないから想像すらできない。

 UFOグレイは「お前にその箱は子供の頃 既に見せた」と云う。
「・・・そうだ 確かに見た」記憶を消される恥ずかしさ悔しさがあった。
 UFOで幼少期から見た事、見た物は沢山あるだろうが記憶を消されていれば思い出す事は難しく幼少期と一緒にされたくない。
 これでは僕は思考や判断が出来る大人なのに一度見せたと云うだけで今後は何も見る事ができなくなってしまう。
「子供のころ見た事や経験した事とは別に考えてほしい」と頼みUFOグレイは直ぐ受け入れてくれ見る事が出来た。
 箱の中は振動している様子で陸地が揺れているとの説明であるが箱の中の小さな日本列島の変動は見えない。
早送りであるが一時間以上続き更に超々高速の早送りにした。
 何回か陸地の周囲に水が掛かりまた水が引ける。それを繰り返し小さい日本が海の中に沈みだして消えてしまった。
 陸地に水が掛ってから沈む長い時間を超々高速送りで、拡大は恐怖だからと事実だけ日本が無くなる処を他人事のように見た。
 地球で残る陸地は中国の奥地だけ地上では大混乱と恐怖だ。
通常では考えられない大地震、大津波、大火災、大噴火、地割れ等が同時に起こり日本ばかりか世界が沈没する前に生存者は居ないと云う。

 地球では陸地の大逆転があり壊滅しようと宇宙には水の星の形で残るだろうが無限に広がる宇宙の中、遠くから見れば銀河も点だ。そんな中で見えない小さな我が地球、在っても無くても宇宙が変る事はない。
 宇宙でもまれに見る美しい地球は脆く不安定であり文明は何回も壊滅し再生しても矢張り続かない星なのである。
『水の星 生きて暮らせる人間と地球の春は 儚く哀しい』

 

 028 (第三の選択)

 当日は気分が優れなかった。何か面白い事はないか? テレビ番組はどうか? 日曜日の昼間から新聞のテレビ欄に目を通していた。
 気分を変えそうな西部劇の欄を何回も見て、早撃ちだろう、スカッとなれるだろう、気分転換が出来ると夜の9時を楽しみに待った。
 時間になったが楽しみにしていたテレビ番組と内容が違う。何の断りもない何回もテレビ覧を見直したが番組表とは違いキー局にチャンネルを変えても矢張り番組表とは違う。
 大分前になる若い時の事、テレビで観たリポート番組の抜き打ち放映である。
英テレビ局制作のタイトルは『第三の選択』とあり観ていると少しずつ興味を注がれ面白そうだ、それでも〝良し〟として観ていた。

 イギリスの優秀な数学者達をアメリカが好条件で誘い渡米させアメリカが本人を装い家族に手紙を書き送金してカモフラージュしているというのだ。 
 以前〝英国の数学者が何人も渡米後、行方不明〟と新聞記事でも確かにあった。
アメリカが火星へ人間を移住させる〝UFO計画〟という『第三の選択』に興味がでた。

 次にUFOへ乗り早速この大事件『第三の選択』が本当か訊いた。
「本当の事だ 今やっている 計画は失敗が多く進まない 火星移住に惑星のUFO使用はさせない」「地球が造れば手伝うが 地球科学が低レベルで高度の技術協力は難しい 地球の科学では高度部品を一つ作るにも時間がかかる」と云う。
 僕が「数学者より科学者が必要ではないか」と訊けばUFOグレイは「数学者が一番必要になる 次第にヨーロッパの数学者を誘い 今は科学者まで範囲を広げている」と云う。
「第三の選択の火星移住に僕は入れるのか?」 駄目と分って訊いてみた。
「入れない」とUFOグレイは云っている。
「火星には一万人が移住する計画で優秀且つ若く体力のある人」と説明した。
 地球製UFOの完成は30年から50年と聞き既に40年経過している。
人間が地球製のUFOで火星へ行けるのか? 早ければもう完成した筈である。
 その頃は30年、50年は長いと思っていたが今は「もう40年」である。
『第三の選択』の火星移住は現実となる筈の年数の経過中である。
 UFOが建造出来れば火星でなくても 宇宙には人間の住める惑星はあるのではないか? 火星にはコロニーも必要だ 如何しても火星なのか?
 そんな疑問もあったが『無理だ そんな惑星を探す事はできない』と思い、後に人間が住める環境の廃墟惑星を見学するまでは『第三の選択』は火星以外に無いと思っていた。
 UFOグレイは「地球製UFOが完成しても数学者や科学者の解放はしない 引き続き作業は続ける」と云った。
 死ぬまで地下基地で地球製UFOや火星で建設するコロニーを造り続けるのだ。


 029 第三章  宇宙からの干渉


 030 
総統 アドルフ・ヒトラー

 幼少期の事、僕はUFOの中で時々ヒトラーを見ていたが名前は知らなかった。ただ怖い小父さんが居ると思っていた。
 小学生高学年の頃には雑誌が好きでドイツ総統のヒトラーの記述や写真を見て顔も名前も一致し『ヒットラー』と言い知っていた。
 小学生の高学年の時の事UFOの中で雑誌の写真と変らないヒトラーを見ながら「ドイツの総統ヒトラーがいる! 死んだ筈なのに如何して此処に居るのか?」と思っていた。
 中学生の時にまたヒトラーを見て間違いないと思い念押しでUFOの人達に訊いた処「ヒトラーだ」とグレイが云う。
 雑誌でよく見ていたイスラエルのモサドを思い出し「早く はやく ヒトラーはここにいるよ」と体検査を受けながら思っていた。


 ヒトラーはベルリン陥落直前UFOに保護され、その後、戦争経験の無い僕に戦争の事で文句を言わないからとUFOの中でよく話しかけてきた。
 ヒトラー総統の帽子は破れて使えなくなり将校の帽子を被り威厳を保とうとしていたが矢張り気に入らないらしく「この帽子は私のではない」と怒り「他に帽子がない」と言いながら不満の中で被っていた。
 僕の幼年期から見ていたヒトラーの軍服はパリッとしており中学生の頃までは時々総統の軍服も着替えていた。
 何処に軍服があったのか、どうやって持ってきて着替える事が出来たのか? 不思議に思うほど威厳を保ち〝ドイツの総統〟という面目は保っていた。
 しかし、その後は着替えもなく少しずつ軍服は劣化し軍服がボロボロになってもヒトラーは気にする様子もなくボロ軍服を常着していた。

 その頃、UFOグレイからヒトラーと第二次世界大戦の因果を聞かされた。
UFOの惑星はユダヤ人が重力を解明すると分かっていたが誰が重力を解明するのかまでは特定できず確実な方法を模索し最終的にユダヤ人の重力解明を未然に防ぐ方法としユダヤ人の大量虐殺を決定した。
 地球で重力が解明されれば〝UFO〟という宇宙船が建造され周辺科学も発達し、同等の文明を許せばUFOの惑星は地球に対する優位が揺らいでしまう。UFO惑星の地球に対する優位は惑星の安定と存続に繋がっているのである。
 ヒトラーに戦争を仕掛ける白羽の矢! 戦争をさせる為にUFOがヒトラーをコントロールし10年で戦争準備をしろと命令した。
「戦争準備に必死であった」とヒトラーは言っていた。
 UFOは「世界を相手にする戦争になる」とヒトラーに伝えている。
「絶対勝てない」 そう思いながらもヒトラー総統は憂鬱の中で命令通り動くしかない。
 UFOの惑星は何れドイツが負けると分かっている戦争をヒトラーに命じたのだ。
UFOへの反抗はヒトラー総統であろうと出来る訳もなく敗戦する大戦争へ突き進む。
 ヒトラー総統はポーランドを追われてドイツへ来たと言いポーランドを恨んでいた。
ヒトラー総統がUFOの命令に合わせた思惑「侵攻理由は何でもよかった」とヒトラーは言う。
 UFOグレイに「戦争は敗戦する」と知らされたヒトラー総統、負ける戦争はしたくないがUFOの命令に背けば殺害される。
ヒトラー総統の本意でない侵攻であった。
 ヒトラー総統の「それ以上戦火を拡大させるな」の命令を戦線は間違いとしていた。「戦線が勝手に戦火を拡げ 総統の私が侵攻を止める事ができなかった 戦線では総統に良い報告をしたいと勝手に戦火を拡げた」と険しい顔になった。
僕は「そうではないUFOが戦線の将兵をコントロールし戦火を拡げさせた」と思っていた。
 ヒトラー総統の心配とは裏腹にドイツの勝ち戦が続き、戦争に勝てると思うようになり世界総統の野望が芽生えた。
 UFOが命令した戦争、負けるというのは間違いだと解釈し勝ち進む事で世界総統の野望が確立しUFOの命令、ユダヤ人大虐殺も〝止むなし〟とした。
 UFOはヒトラー総統に〝ユダヤ人虐殺数報告〟を課せていたが報告を受ける以前に虐殺数を把握している。
 ヒトラー総統も知られていると分っていながら水増し報告をし、UFOからその都度云われる命令数に届かない虐殺数を重荷に感じていた。
 UFOの支配下にあるヒトラー総統は反抗など絶対できない立場、毎日が命令数の半分も達成できず未達成の数が増すだけであった。
 ヒトラー総統はUFOから命令数より少ないと責められ如何にして命令数を達成させるか殺害方法を毎日考えたと話していた。
「銃殺は弾が勿体無い」と何の躊躇もなく言ったヒトラー、UFOの命令に応える思考や戦争に平和時の常識は通用しない。
「ガス室を造ったが非効率であった」と言い、何を考えているのか険しい表情で「虐殺を止めようと何度も思った」と複雑そうであった。
 自分が虐殺を止めればUFOは代わりの者を選び虐殺を続け、虐殺を止めた自分はUFOに殺害されるから止むを得ないと虐殺を続けた。
『ユダヤの血が流れている』と祖父から聞いていたヒトラー、虐殺の最後に自分がユダヤ人として殺害されると思いながら今を行動するヒトラー総統。
 UFOの命令で止むを得ず始めた戦争も敗戦になれば戦犯処刑だ。何れにしてもヒトラー総統には死が待っている。
 UFOの惑星に支配され、総統であるが故に本心を隠す〝ヒトラー〟なのだ。
 UFOは三国同盟を結ばせ戦争の長期化を狙う。ヒトラー総統は「日本は世界の隅にある国だ 価値は無い 同盟したくなかったがUFOの命令だから同盟したのだ」と言う。

 勝ち戦が続いたドイツも次第に負け戦が多くなっていた。
ヒトラー総統は降伏したいとUFOに願い出たがUFOは地球に対する惑星の優位を守る目的の方針は変えない。
『敗戦までユダヤ人抹殺を続けろ』との命令はUFOの惑星から出ている。
地球で指揮するUFOグレイが勝手に変更する事はできない。
 ソ連軍に続き連合軍がベルリンへ入りドイツ帝国の敗戦はせまってきた。UFOは支配下としたヒトラーで地球の重力解明を封印する事に近いレベルまで達していた。
 僕はヒトラーに「狂気のような演説をしていたのは如何してなのか」と聞いた。
ヒトラー総統は「負ける戦争をする事になった 自暴自棄になり どうにでもなれという気持ちになっていた」と悔しそうに話していた。


 031 (ヒトラー総統のベルリン脱出)

 UFOで帰りの時間待ちで手持ち無沙汰でいた時の事「ヒトラー総統のベルリン脱出記録を観させてやる」と思いがけない事をUFOグレイが云い観させてくれた。
 空間に画面を拡げるグレイの動作と同時にホログラムのような画面が現れた。
地球歴史にヒトラーのベルリン脱出記録は無くてもUFOにはその記録があるのだ。
 
ヒトラー総統とエヴァ・ブラウンが地下豪の奥から上がってきた場面、そこで止めグレイは次回に観せると云い終らせてしまった。 貴重且つ歴史的な記録、これからが観たい処であるが帰る時間になってしまった。
 今、観たかったが帰れと云われれば仕方ない次回はヒトラー総統のベルリン脱出の一部始終を観る事が出来るのだから、表に出ない歴史的な瞬間を観る事が出来るのだからと、次にUFOへ乗る日を楽しみに帰った。

 次のUFOに乗る夜が来てUFOでの用件が済めばベルリン脱出の続きが観たい。前回は時間が無いと観られなかった場面、早く観たいがUFOグレイ達は忙しそうだ。
 また駄目になるのか、観せるという約束だ。
早く観たいと焦ってしまうが時間はある・・・ やっとグレイが来て約束通り観させてくれた。
 ヒトラー総統はエヴァ・ブラウンと地下壕の奥から上ってきた。
此処までは前回観ている・・・次へ期待が高まる。
 地下壕一階、日本式の引き戸の付いた一室へ二人が様子を見て入ってくる。
 ソ連軍はベルリンに侵攻した直後、撤収作戦を行い先頭侵攻実績と戦力温存作戦をとった。
連合軍の地上部隊がベルリンで防衛網を突破している。
 ベルリンの首都防衛網が破壊されているとの報告にヒトラー総統は信じる事ができない! ベルリンに敵軍隊が入るなど絶対ないと思っていた。
 陥落間近で死を覚悟したものの何の決断も出来ず絶望と自信が交互に襲う。
「ベルリンにソ連軍が再侵攻した」と報告を受けたヒトラー総統。
『ベルリンが陥落する! 
残り時間は少ない!』と追い詰められる。
 ベルリン陥落は避けられない! ヒトラー総統とエヴァ・ブラウンは全く会話をしなかった。 沈黙が続くドイツ帝国の地下壕の一室でエヴァ・ブラウンは二人で死ぬと思っていたがヒトラー総統には生と死の選択がある。
 エヴァ・ブラウンは敗戦が色濃くなる頃から「安全な場所がある」とヒトラー総統から聞き半信半疑の聞き流し状態でUFOなど知る由もない。
 ヒトラー総統は〝エヴァ・ブラウンとの脱出を実現したい〟UFOと意思疎通をする為、その都度部屋の隅へ行き上を向きながらUFOに二人の脱出を願い出ている。
UFOは「脱出の許可は以前から一人だけだ 二人の脱出は許さない 惑星の命令は変更できない」と返している。
 一人の脱出が決断できないヒトラー総統、脱出を躊躇い時間が過ぎる。

 ヒトラー総統に「一緒に連れて行って」と脱出を感じたエヴァ・ブラウンが何度も懇願する。 上を見て言葉ではない遣り取りをエヴァ・ブラウンは以前も見た。不思議な行動を時々見ていても総統を笑う事などできなかった。今まで一緒に過ごした不可解な体験である。
 再三、二人の脱出を願い出るヒトラー総統にUFOは「最後通告だ 二人というなら そこに残れ」と伝えてきた。

 最後通告をしたと自慢げにUFOグレイが話すのには違和感があったが地球人にいつまでも伝える〝ヒトラー総統 ベルリン脱出〟の語り種になっている。
 エヴァ・ブラウンは懇願しても無言を続ける総統に不信感を募らせる。ベルリン脱出はヒトラー総統だけに許されたUFO惑星の方針なのだ。
『残された道は一つしかない』ヒトラー総統の無言の決断はエヴァ・ブラウンに伝わり信頼の絆は突如絶望に変ってしまった。
 ベルリン陥落間近の地下壕でヒトラー総統はエヴァ・ブラウンを見ないようにし自害を願いながら口には出せない。
 脱出は二時間残すだけになり二人の仲が終焉となる地下壕の空虚、更に時間が経過する。

〝沈黙〟が続きヒトラー総統はエヴァ・ブラウン死を望み、エヴァ・ブラウンは自害を覚悟する最悪内容の意志の疎通であった。
 ヒトラー総統はベルリンを脱出したい、壁の掛け時計を何回も見る。

 小型拳銃を頭に当てたエヴァ・ブラウン、ヒトラー総統の顔が一瞬期待を込めた表情になった。 しかしエヴァ・ブラウンは自害を躊躇っている。
 総統は脱出の時間が気になり焦り、未だかまだかとエヴァ・ブラウンの引き金を待った。用事があると部屋を出るヒトラー総統、エヴァ・ブラウンを一人にして自害を促す行動だ。
 総統が単独で脱出する方法はエヴァ・ブラウンの〝死〟以外ないのである。 様子を伺いに一度戻り部屋の中を見る。
エヴァ・ブラウンはヒトラー総統が見に来た事に気付かない、自殺を願うヒトラー総統は再び離れてその時を待った。
 うなだれ右手を机に付き絶望のエヴァ・ブラウンは拳銃を左手で左耳上の頭部に当て2秒後に引き金を引き頭が衝撃で一瞬弾けるように揺れ倒れた。
 映画やテレビではない、これがエヴァ・ブラウンの拳銃自殺! UFOの記録、・・・衝撃だ! 横たわるエヴァ・ブラウンはヒトラー総統の脱出時間を残した。
 栄光のドイツベルリン地下壕、日本式引戸のある部屋がエヴァ・ブラウンの終焉の場所となり左利きである事も記録に残した。
 ヒトラー総統はエヴァ・ブラウンの引き金を引く瞬間を見る事なく戻り、遺体に近付き自害したエヴァ・ブラウンの遺体を見ながら足で動かし死亡を確認している。
 死を願い、死を選ばせたヒトラー総統、地下壕には壕を焼く為のガソリンがジェリカンに用意してあると迷いながらエヴァ・ブラウンを見ている。
 しかし、エヴァ・ブラウンの遺体をガソリンで焼く事はできなかった。
この〝情〟は戦場の掟破りであり後々の後悔に繋がるとは思いもしなかった。


 ヒトラー総統は地上への階段を上がる。ベルリン広場に連合軍が入り激しい戦闘だ。
これが最後〝総統のベルリン〟脱出が完了すれば二度とベルリンには戻れない。
 UFOが上空で戦場のベルリンを見て連合軍に静止コントロールをかける。ベルリン広場の動きが一斉に止まった。静止した連合軍の中をヒトラー総統はベルリン大地の感触を味わいながらゆっくり歩く。 
 ベルリン広場は武装した敵兵ばかり、目の前の敵兵を殴りたい総統は睨みつけ我慢しながら擦り抜けUFOの真下へ向かう。
 敵将兵の静止はUFOのコントロールによるもの、殴ればコントロールが解けてしまう。ヒトラー総統は「コントロールの解き方は以前から知っていた」と言っていた。
「早足で来い」とUFOグレイがきつく伝えている。
 ベルリンの感触は残り僅かになり広場の硝煙が薄れる。
「惑星の命令だ 必ず保護される」そう思いながらヒトラー総統の安心しきった行動である。UFOに乗れば再びベルリンには戻る事はない、ヒトラー総統の脱出劇〝私のベルリン〟の感触はこれが最後。
 UFOはベルリン広場の隅の上空で静止しヒトラー総統の保護と戦闘の一連を記録する作業を任務としていた。
 ベルリン広場からヒトラー総統の足が離れ脱出は成功しUFOに乗れば連合軍が動き
『ヒトラーを見た!』と叫ぶ兵士もいる。
 
 ヒトラーは「ベルリン脱出は見せたくない また観させた」と言い怒りながら「私のベルリンだ 創ったのは自分だ」と自慢している。
そして、ヒトラーは「ソ連は昔も今も汚い奴だ」と言い兵力温存を罵っていた。
「ベルリンから足が離れた瞬間は何とも説明できない複雑な気持ちだ」と真剣に話し、その気持ちは重苦しく伝わってきて足元から分かるような感覚になってきた。
 僕は愛人と言わず「秘書のエヴァ・ブラウンとは結婚していたのではないか」と聞いた処、ヒトラーは直ぐ意味が理解できない様子だ。
 いつも『エヴァ』と呼び負け戦と混乱で秘書であった事を忘れていたのか、間を置いてから「祭壇は急場しのぎで正式な物ではない 位の低い神父が来て結婚式を始めたが重要な戦況報告が入り途中で退席したのだから 結婚はしていない」と主張した。
僕は〝神父が来たのなら どのような形式でも 退席しても 結婚は成立している〟と思いながら結婚の成立を強く否定するヒトラーに言えなかった。

 そのエヴァ・ブラウンは自害で終った訳ではなく死者の尊厳はズタズタにされていたのだ。エヴァ・ブラウンは何人もの兵隊に死姦され、まだ兵隊が並んでいた。
報告を受けた上官が来て「止めろ」の命令まで死姦が続いた。
 遺体が誰なのか判断する事なく、この後の死姦を止めさせる為の強制手段として連合軍のジェリカンのガソリンを撒き自動小銃の連射で発火させ焼いたのだ。
 エヴァ・ブラウンが集団死姦された事をヒトラーはUFO記録で知っていた。
「地下壕を焼くガソリンはジェリカンに用意していたが エヴァの遺体を焼く事はできなかった 戦場の情が掟に破壊された」と、焼けなかった〝情〟を後悔し壁を蹴飛ばして悔しがり結婚を否定した。
 UFO惑星の目的遂行首謀者として選ばれた地球人『アドルフ・ヒトラー』
UFO惑星の支配下にあったヒトラーは地球の歴史を創ったが最愛の絆で結ばれていた筈だったエヴァ・ブラウンの尊厳を護る事はできなかった。


 032 (ヒトラーUFOの愛人) この項に付いては割愛します。


 033 (ハーケンクロイツ)

 ドイツ軍の軍旗にある逆鉤十字に少年期の僕は以前から疑問を感じ何れは聞こうと思いながらも機会はなかった。
逆鉤十字はヒトラーの誇りであり面子を潰さないように気を付けなければならずヒトラーの機嫌の良い時を見計らい聞いた。
「ドイツ軍旗にある逆鉤十字は 仏教の卍の印から採ったのか?」そう聞けばヒトラーは急に『ハーケンクロイツだ』と語気荒く威圧的に言い換えた。
 不機嫌になっても仕方ない、言いかけたのだからと続けて「仏教卍と同じではないのか」と語気強く言えば自負心が強い栄光のドイツ帝国総統の険しい形相になり何処か『敗戦さえしなければ』と積った悔しさや怒りを感じる。
「東洋では卍といえば威厳がある」とご機嫌直しの言葉にヒトラーは頷いた。
「偶然に同じ鉤十字になったから角度を考慮し採用した 偶然も仏教の卍と異なって向きが違う」とヒトラーは説明する。
「軍旗には裏表あるから仏教卍と同じだ」「絶対に卍を真似して旗にした」の追い打ち言葉にもヒトラーの反論は遅い弱気だ。
「鉤十字に角度が付いた軍旗は兵隊の進軍に似ている」
またご機嫌直しに言えば考え方は同じで「西洋に鉤十字を組み込む紋章がある それから採った」と説明を変えた。


 ヒトラーは急に「ナチスの敬礼はUFOの敬礼を模擬した 敬礼に威厳を持たせる為 丁度よかった」と言い話を逸らそうとする。
 ナチスの敬礼方法は以前から興味ある処で何れ聞こうと思っていた。ヒトラーから先に説明したのは逆鉤十字を真似と捉えられたくなくて話を逸らしたのだ。
 ヒトラーは戦後何年経ってもUFOの中で総統の面子を保ちたいようだ。

 ヒトラーは「日本の無条件降伏が気に入らない」と露骨に怒りを僕にぶつける。
「降伏はドイツの方が先にした」と、ヒトラーに反論した。
 ヒトラーは僕が知らないと思ったようだが少年期には理屈や面子は強くなっている。
ドイツの総統だったとはいえUFOの中では皆が注目し負ける事はできない。
「ムッソリーニは役に立つ奴だった」ヒトラーは続けて言ったので「最初に降伏したのはイタリアではないか」と反論した。
「日本はアメリカ戦艦のミズーリで降伏調印した」と言えばヒトラーは知っていた。
軍艦上での調印を低く見て「ドイツは違う」と、関与さえできなかった降伏調印に変なプライドを持っていた。
〝ヒトラー自身UFOに保護され 隠れていたではないか〟と思いながら黙っていた。
ヒトラーは「降伏は自分がしたのではない 誰が調印したのか知らない」と言う。
今、分からないから調べれば直ぐに分かる」と返事をしたがその後その話はしなかった。

 ヒトラーは逆鉤十字に執着し「ハーケンクロイツは絶対に使わせない」と空威張りし「名称もナチスは絶対使わせない」と言い栄光が忘れられないのだ。
「ナチス党は今ある」と言った処、ヒトラーは「それは良いのだ」と矛盾する。
【ドイツでは一時期ナチス党を認めたがハーケンクロイツと共に改めて禁止となった】
 ベルリンの壁があると現状を教えたつもりがヒトラーは知っていた。
総統が悲しがると思ったが「それは良い」と口数少なく、それ以上は聞けない雰囲気になりヒトラーは黙ったままだ。
「ベルリンの壁は良い」と言うこの事もヒトラーの考えの理由は聞けなかった。
【ベルリンの壁の崩壊はヒトラーが没して13年後の事である】

 ヒトラーは「ベルリン首都防衛隊は世界でも最強だった ドイツ軍のエリートが最新鋭の武器を持ち皆がなりたがる」と言う。「ドイツでは親衛隊が一番ではないか」と聞けばヒトラーは「親衛隊には文句ばかり言ったから皆が嫌がっていた 首都防衛隊が一番だ」と言う。
 ベルリンの首都防衛隊が世界最強である筈がない〝井の中の蛙〟だと思い誰が言ったか聞いた処、ヒトラーは「首都防衛隊の報告があった」と言い、首都防衛網は早々に破られたのに未だ自慢し疑う事を回避して栄光の時代を語りたいのだ。
 総統の前で良い顔したい、褒められたい、敗戦の色濃い時の無責任な首都防衛隊では負けるのは当たり前と思い「簡単にベルリン防衛網は破られた」と言えばヒトラーは腕組みをして黙って怒りを抑え込んでいる。
 ベルリンはドイツの最強部隊が守り外国の軍隊に侵される事の無い絶対安全な聖域だと思っていたのだ。
 ヒトラーに全身の怒りが現れ総統の面子を保てなくなり顔色が真っ赤になって早足で去る後ろ姿は怒りの絵のようであった。
 その様子を見た日本の戦線経験者は僕に「よく言ったな」と笑いながら満足そうに言い「戦争に行った者とヒトラーは話しをしない」とその方は言う。
 ドイツの元軍人は「何であんな戦争をした」とヒトラーを罵倒していた。
ヒトラーは戦争の事で文句を言う元軍人達とは話したくないのである。
ヒトラーは「UFOの中で元軍人は敬礼をしない 今も総統だ」と怒っていた。

 ヒトラーと僕は孫のように年齢は離れていたが話す時は違和感もなく、話をする機会が多くありユダヤ人の生体実験について聞いてみた。
「人体は生きたまま実験され 何にも比較できない苦痛だ」
「生体実験は知らなかった 総統と言え全ては把握できない 敗戦後に生体実験を知らされた」と僕に顔を近付けて言う総統の怖い顔は僕に信じ込ませようとし、話を聞きながら受けた感触は当初から絶対知っていたと感じた。
 ヒトラーは「ドイツの生体実験より UFOはもっと酷い事をしている」と言い訳した。
『UFOはもっと酷い事をしている』とはアメリカのトップシークレットで次の内容がある。
【UFOは誘拐した人間幼児を潰して養分のみ抽出し惑星へ送っている。UFOにコントロールされた幼児たちは恐怖も消され、潰し機の前で整然と並び他の児たちが潰し機に入る処を見ながら自分が潰される順番を待っている。(僕たちは幼児の列に並ばされたが「その子は違う」と、他のグレイが潰し機に入る二番目になった僕を外した)】
 このヒトラーの言う『UFOはもっと酷い事をしている』は現在も行われ更に地球が壊滅するまで続く。
 気弱のヒトラーに「戦争でドイツは一千万人が死に国の為ではない」と言えば考えて直ぐには返事が出てこない「復興している」と苦しい言い訳をした。
「戦争やユダヤ人虐殺はUFOの命令であったと何故言い訳しないのか」と聞いた処、「UFOに保護されている立場では UFOグレイや惑星の悪口は言えない」と言っていた。
 ヒトラーはベルリンが復興している事を自分もできたと空見栄を張り、置かれた立場もあるが言い訳と義理を考える普通の人間に成りつつあった。
 また、戦争責任を感じている素振りは全く見せず敗戦の悔しさだけが時々表に出る。


 034 (食糧の調達)

 ヒトラーは「食糧を探しに行く」と言っている・・・食糧はUFOが供給している筈と思い「UFOが調達してくれるのではないか」と言えばヒトラーは不機嫌になった。
食糧を供給しないUFO、自分で探せと云われていた。
 UFOの惑星には食する文化はなく純粋な養分のみ摂取する地球から資源を搾取する高度な文化である。
 食糧が無ければ生きる事のできない人間ヒトラーに威厳はなく、ホテルの裏に出された残飯容器を開け食糧を見繕い当日の一回限りの糧にしている。
「残飯はホテルが一番美味いからお前も食べろ」と、僕に促している。捨てられた残飯を僕は食べる事ができない、しかも日常毎回食事はしている。
みすぼらしい姿に目を背けたくなるが止めろと言えない、ヒトラーはいつも空腹なのだ。
 同じ事を小学生高学年の頃に見た事があり、唖然としていた僕に取るなと睨みつけながらホテルの残飯をガツガツ食べていた。


 UFOから家に帰りヒトラーと残飯の話を母にした処「絶対食べるな」きつい口調の母、僕だって恥ずかしいから残飯など食べる訳がない。
 ヒトラーをUFOで見る度、今日は何処のホテルの残飯を食べたのか? 悪い事を考えていると思いながら一時期そんな目で見ていた。
 何年も食糧事情の変わらないヒトラーは残飯だけが安定した食料であり生きる術なのだ。 UFOからヒトラーにベルリンへ降りる許可が出て〝私のベルリン〟に何回か降りていた。
僕は「マスコミはベルリンでヒトラーを見たと報道していたから危険過ぎる 何故ベルリンに降ろすのか」とUFOグレイに訊いた。
「食糧の調達だ」と答えただけで危険の事に触れる事はなかった。
 ヒトラーがもう二度と戻れないと思っていたベルリン、UFOはヒトラーを降ろしヒトラーは懐かしのベルリンで残飯をあさり食糧の調達をするのだ。

 ヒトラーに「ベルリンは危険があると思うから 降りない方が良いではないか 新聞にベルリンで見たヒトラーと載り 通報を呼びかけているから危険だ」と知らせたのに僕の言う事を聞き入れないヒトラーは「慣れているから 大丈夫だ」と言っている。
「日中もベルリンに降りた 危険は何もなかった」と自信ありげだ。
「ベルリンに降りる一番安全な日がある」と言う。
「そんな日がありうるのか その日はいつなのか?」
「クリスマス・イヴの日が一番安全な日だ 仮装していると皆が思うからだ」
大胆に行動をするヒトラーをドイツ人は見間違いと思い通り過ぎてしまう。
 新聞ではヒトラーの研究家が「会ったのはヒトラーだった」と言っていたがUFOにコントロールされ見過ごしてしまったのだろう。

 UFOから降りるベルリンはその都度復興され、ヒトラーは「復興は自分にしか出来ないと思っていた」と言いながら復興自体に驚き復興させた人々に驚いていた。
 その後、ホテルは残飯を外に出さなくなったがヒトラーは何処からか食料調達をしていた。


 035 (アイヒマン 南米潜伏)

 南米に親戚が居ると言うヒトラー、UFOから許可され会いに行く予定。
以前、一度は許可されたが理由を知らされないまま取り止めになっていた。
 僕とヒトラーはUFOグレイから個別に南米に居るアイヒマンは六ヶ月後には逮捕されると知らされていた。
 今直ぐ会わなければ逮捕され二度と会えなくなってしまう。ヒトラーはアイヒマンに自分の存在を知らせたいと思っている。
 その思いは可也強く、威厳の落ちた自分を知っていながらもヒトラーはアイヒマンに如何しても会いたいのである。
「南米のアイヒマンの所へお前も一緒に行かないか」
 ヒトラーが僕を誘い、ヒトラーと行動したかった事と新聞や雑誌で何回も取り扱われた
アイヒマンに会いたいと思っていた僕は直ぐ「一緒に行く」と答えた。
 ヒトラーは「親戚はアイヒマンだ」と言い出した。以前「アドルフが付いてもアイヒマンは親戚ではない」と言っていたのに隠していたのだ。

 ヒトラー総統はアイヒマンを親衛隊長に抜擢していた。
戦争も負け戦が多くなり親衛隊からの暗殺を恐れたヒトラーは親戚から選び隊長をよく代えたと言う。
 アイヒマンも代えようとしたが親戚が底をつき、次がなかなか見つからず代える事ができないまま親衛隊の隊長を遣らせたとの事だ。
 日本の戦線経験者が僕の処へ来て「戦争経験がないお前はいいな 戦場で生死を賭け苦労しただけだった」そう言われた時はその方に申し訳ないと思った。
 ヒトラーに南米は何処の国かと聞いた処「当日に教える」と言う。

 当日になり「南米の国はベネズエラだ」と言い、僕はベネズエラへは一度行って見たい国だと思っていたので願ったり叶ったりであった。
 UFOはヒトラーと僕をベネズエラの町の上空からアイヒマンが住む家の近くへ降ろし二人でアイヒマンの家まで歩いた。
 アイヒマンはベネズエラ人の女房と家の作業場に一緒に居る。せっかく会いに来て一人になる時はなく外からアイヒマンを見て帰る事にした。
ヒトラーは帰りがけに「UFOからアイヒマンに一人で居ろと伝えていた」と怒っていた。

 数日後、UFOグレイは同じ事をまた遣る事に不満を云いながらヒトラーと僕を再びアイヒマンの家の近くへ降ろした。
家の作業場にアイヒマンが一人でいる。今度は会えそうだ。
 ヒトラーは「お前は外に居ろ」と言い作業場へ一人で入って行った。僕は仕方なく窓から中を覗き込んでいた。
 アイヒマンはヒトラー総統と気付かない、仕事の依頼と思っているようだ。
ヒトラーはアイヒマンに声もかけずに立っている。アイヒマンは作業を続けている。
 待ちきれない、来いと言わない、僕はそっと作業場へ入りヒトラーの傍らへ立った。
アイヒマンはヒトラーに似ているとは思っていたがヒトラー総統が来たと気付く由もない。
不満顔のヒトラーは威厳も無く戸惑っていた。
ヒトラーが話しかけても直ぐには気付かないアイヒマン。
 何回かヒトラーが話しかけてからアイヒマンは目を疑い「総統か!総統か!」と聞いている。
ヒトラーが「そうだ」と短く言った途端、アイヒマンは直立不動で敬礼し総統はそれを受けてゆっくり敬礼をした。
ナチスの敬礼を見たかったが通常の敬礼であった。
 総統だ! アイヒマンの顔が不安に変り「如何してここが分かったのか」と可也動揺している。
「以前から分かっていた」とヒトラーは言いそれ以上は答えなかった。
「安全な場所だと思い住んでいたのに この家が危険になってしまったのか?」アイヒマンは全く急に起こった現状を理解できない。
 アイヒマンは混乱し「第三帝国を作ったのか? だから迎えに来たのか」と聞く。
よれよれの軍服を着て口数少ないヒトラー総統をアイヒマンは理解できない。
「総統はいつも立派な軍服を着ていたのに 何故なのだ?・・・」
ヒトラーもバツが悪い様子で何の説明もできず黙って内心の怒りを抑えている。
 沈黙の総統に困るアイヒマンは「変装なのか」と聞いてくる。変装と助け舟を出してきた。「そうだ」と、ヒトラー総統は威厳を保とうとし更にまた「励ましに来た」と総統の迫力のない弱い言葉が情けない。
 ヒトラー総統の威厳の無さにアイヒマンは急に態度大きく傍らに僕が居るのを咎めだす。「安全だ」と言うヒトラー総統の言葉も弱い。
 アイヒマンは総統に「第三帝国あれ程に作ると約束したではないか」と責めた。
ヒトラー総統は答えに困り、僕は助けたいが何もできず黙って見ていた。
組織を持たない威厳の無い普通の人間ヒトラーが此処に居る。
 アイヒマンは所在を知られ困惑しながらイラつくようだ。今の安住を捨て逃げなければ何れ捕まる。
存在を知らせる為だったヒトラー総統の行動も威厳を保てずアイヒマンに不安を与えている。
 ヒトラーはアイヒマンに「どうやってベネズエラまで来たのか」と聞いた。
アイヒマンは「南米へは引き揚げ船に紛れて来た 船には簡単に乗れた 船の中でアイヒマンだと言う引揚者に他の者が反論して助けてくれた」と話している。
 ベネズエラでは何回か住む地を変え此処に来た。アイヒマンは異国で生きる常套手段、言葉が不自由と思わせ無言には慣れていた。
 放浪の末、以前は夫が居たと言う独り身の女性の家に住み生活を始めた。
夫婦生活になり口を閉ざしているだけと分かっていたが妻はその事に触れなかった。
 一緒に暮らす家で妻は夫がアイヒマンではないのか、そう思った事もあるが円満夫婦を壊したくなく打ち消していた。
 アイヒマンは言葉の壁は越えていたが用心して喋る事は危険とし、妻が話しかけてくる事を全て理解しながらも喋らなかった。
 何回も妻に「喋ってごらん話せるから」と優しく言われ喋ろうとぎこちなく口を開いたアイヒマン、長年の間の口を閉ざしていた異国の言葉の喋り方が丁度良かったと言う。
ヒトラーが「帰る」と言った途端アイヒマンはホッとした表情になった。
 作業場を出てヒトラーの後に付きながら「中途半端な会い方になってしまった 何の価値も無かったマイナスだった」と思っていた。
 ヒトラーは「第三帝国はドイツだ」と作業場で言わず怒っていた。
 僕は「そんな事は誰だって知っている アイヒマンだって言葉に困り言っただけだ」と思いながら口には出せなかった。
ヒトラーの想いとアイヒマンの護身志向が擦れ違い意思の疎通ができなかったのである。

 ヒトラーと僕がアイヒマンの作業場から帰った一週間後「アイヒマンは以前から雇用話のあった鉄工所に勤め 心にゆとりを持つようになった」とUFOグレイは云う。
 勤め出し三ヶ月が経過した頃、モサドが行動を起こした。
ユダヤ人モサドがCIAの組織の中にいてモサドの任務を優先させアイヒマンが勤め帰りに自転車に乗っている処を急襲し拘束した。
モサドの行動は知らされなかったCIAは完全に出し抜かれてしまった。
 UFOで戦線経験者は「お前達がアイヒマンに会ったから逮捕された」と僕を責めたがUFOはアイヒマンが逮捕されると分かっていたからヒトラーに事前に会わせたのだ。
僕は徴兵され戦線で戦った兵士を尊敬していたから言い訳はしなかった。
 僕とヒトラー総統はアイヒマン逮捕の良し悪しは語りたくない、それに何の責任もないのだ。
 後に、その戦線経験者、原真木廣氏に下諏訪町で会い事情を話し理解して戴いた。

 アイヒマン逮捕に付いてUFOグレイは「CIAはアイヒマンを偶然に見つけた訳ではない情報収集の中からCIAは三年間 アイヒマンらしいと見張っていた」と云う。
CIAはアイヒマンか確認できなかったが反応を見る為に接触し逃げるなと言っていたのだ。アイヒマンもCIAが本物か判断できず逃げなかった。
 その後CIAは監視を止めたが三年経過した頃、CIAの中のモサドが監視を続けた。
アイヒマンが勤め先へ毎日、自転車で通勤していた事が拘束し易かったと云う。

 逮捕後のアイヒマンは親衛隊が蘇りアイヒマンは徐々に威厳を取り戻した如くであった。尋問や裁判受けるアイヒマンは逃亡時代とは別人のように復活し、完全に態度や言葉は帝国の親衛隊長のアイヒマンだ。
 国際法廷のアイヒマン、死刑は免れずユダヤ人虐殺に付いて憎い程の事を言っている。「一人の死は悲しいが 多くの死は統計上の数値に過ぎない」と言っていた。
 UFOで僕達は〝神かくし〟の数も統計上の数値だと話し「ヒトラー総統が励ましに来た」とアイヒマンが言った報道記事は誰も信用しないと話し合った。

 マスコミはアイヒマンを拘束し連れ出した国を最初はベネズエラと報道していたが何日か後にはアルゼンチンと訂正報道していた。
 UFOで「報道された国が変った」と訊いた処「国際的な諸事情で アメリカの要請にイスラエルが同調し 情報が交錯していたとして発表を変えた」とUFOグレイは説明した。


 036 (ヒトラー総統の死)

 ヒトラーは著書『わが闘争』は日本でも翻訳されて出版されているからお前も読めと言い大部分は口述の本だと言う。

 
 ライターは口述すれば自分より上手く書いたと感心しながらも「出版後に言わない事が書いてあった UFOの人達のことを〝至高の存在〟と書いてあった」と怒っている。

「〝至高の存在〟とは一度も言ってない〝崇高の存在〟と言った事を変えて書かれた」
ライターに激怒している総統も自分だけでは書けず確認もしていなかった。
「崇高は宗教的には尊い言葉だ」と、ヒトラーのご機嫌直しに言えばヒトラーは頷いていた。

 UFOでヒトラーを最近見かけない、UFOグレイに聞いても他に居ると云うだけである。所在など気にしていない様子でUFOは沢山あるという返事をされてしまった。
ヒトラーを長い間見る事もなく気にもしなくなった。
 ある日、UFOグレイの仕事を手伝っている太った奴が何回も部屋へ出入りしている。僕は検査台に寝かされ気になるその太った奴を何回も目で追い、それを気にしたグレイが「今の奴は誰か分かるか」と聞いたので「知らないと」と答えると、グレイは「ヒトラーだ」と教えたのである。
 ヒトラーを見て分からなかったなんて僕の驚きは半端ではない! 会わなかった10年位の間に見違えるように太っていた。
 部屋に来てはサッと出て行ってしまい何か変だと気になっていた。
その人に話しかけようとしたが多忙な振りして行ってしまう。
僕を知っている仕種に見え、避けているように見えた人間がヒトラーだとは思いもしなかった。
 ヒトラーはぼろ軍服を諦め板前の着るような白衣を着ていた。 それから僕はヒトラーと再び交流を持ちUFOの中では問題は起らなかったが人の言うことを聞かないヒトラーは問題ばかり起こした。 
「岡谷市の車屋ラーメンの店主に似ている」と言った処、UFOから降りその店主に兄だからと強引にラーメンバスのキーを取り上げ、諏訪湖畔道路を暴走し店主と同じように上諏訪の湖畔駐車場でラーメンを売っていた。

 UFOで「食べに来い」と言われ食べに行ったが不味くて食べられる味ではなかった。この事で車屋ラーメンの店主は信用がガタ落ちになったと怒っていた。
 更にヒトラーは都内のレンターカーのマイクロバスを試乗したいと借りて暴走するなど困った事ばかり起こし、UFOグレイは僕に「お前が注意しないから悪い」と云い、今後もヒトラーは僕を困らせる事を起すだろうと思いヒトラーとは距離を保つ事にした。

  その後、何回かUFOに乗った夏の夜、UFOグレイからヒトラーの訃報を聞いた。「ヒトラーが死んだ 薬品にヒトラーを浸けた」と云われ内心の穏やかさはすっ飛んでしまった。「ホルマリン使って保存したのか」と訊いた。
「地球のような粗悪な薬品は使っていない」とグレイは云う。
「遺体を見せてほしい」と頼めば「母船に在るから駄目だ」と返事をされてしまった。
見せるなと指示が出ているからなのか母船に行けば見る事が出来るではないか。
この僕に遺体を見せない訳はない、しつこく頼んだ後に聞いた理由で今回は諦めた。
「母船とは距離が二日ある」と時間が無い理由を云った。
 僕の心の中が空虚になり全身の力が抜け、こんなに悲しいことがあるのかと涙を流しながらUFOから帰ってきた。
内臓が飛んで行ったようにショックだったヒトラーの死。
史上最悪の戦犯とは言え交流を持ち、何れヒトラーが死ぬとは考えもしなかった。

 翌日、僕は実家に立ち寄った。
祖母が駆け寄って声を震わせ「ヒットラーが死んだ」と顔色が違う。
当然に僕より更に驚く祖母、二人とも確かに聞いたその事も何処で死んだのか何処で知ったのか記憶は曖昧で消された記憶の中から出てこない・・・
「これで死んでも悔いは無い」と祖母は六ヶ月後、祖母も86歳で没した。
 UFOはドイツの敗戦間近からヒトラーを30年余り保護し続けた。
亡くなったヒトラー総統に一兵卒の軍服を着せたと聞いたが『そんな事は嘘だ 総統には当然立派な軍服を着せたに決まっている』と勝手に想像していた。

 その後、UFOに乗りグレイは「母船が近くに来ている ヒトラーの遺体を見せるから合掌して来い」と云い、直ぐ小型UFOは移動して母船に入った。
 母船に保存されているヒトラー総統の遺体が哀れではないか、くすぶれた軍服を着て透明容器に薬品漬けで立っている。
 余りにも粗末な扱いに遺体に合掌する事を忘れていた。ヒトラー総統に一兵卒と同じ軍服を着せ威厳も何もない状態だ。これが亡くなった総統ヒトラーなのか、UFOが総統の面子を踏みにじっている。
 UFOが利用した地球の人間を何故粗末に扱うのか? 歴史上最悪の戦犯とは地球上の事でありUFO惑星から支配され命令通りの大戦争を起こしたのにヒトラー総統に立派な軍服を着せたらどうかそれが僕の価値観だ。
 将校の帽子や軍服でも良い、きっと総統が望んでいる筈、たまり兼ね「立派な軍服を探し出し着せてやる事はできないか」とグレイに頼んだ。
「何処にも無い」と少し語気荒くきつい返事が返って来た。
「UFOの力があればオーダーで作らせる事はできないか? 作らせて記憶を消して持ってくれば」と訴えた。
しかし、グレイは「駄目だ」と云いその後は無視をする。
 戦後30年以上も経っているのだから総統の軍服は何処にも無いのは仕方ない。
 UFOは惑星の目的の為、ヒトラーを選び嫌がる戦争や大虐殺をさせ惑星の最前線に位置させて於きながら死後の扱いに僕は不満だ。
「ヒトラーの脳は別に浸けてある 見るか」と云われ「見たくない」と断った。
標本に成っているのは仕方ないヒトラーの望みでなくても。

 思い出す良し悪し別に今までのヒトラーとの事。
ヒトラーが僕の悪口を言っていたと聞き、その事をヒトラーに問えばバツ悪そうに無視した以後、僕の悪口は言わなくなった。
ヒトラーは拳銃をUFOに預けてあるから見せて遣ると言い持ってきた。ソ連製を模造した大きな拳銃で銃身を少し長くすれば鉄砲としても使える代物だ。
UFOがテクノロジーを教えなかったから戦争に負けたと悔しそうだった。
そのUFOに機銃を取り付けUFOグレイに笑われたと言い「他に取り付ける攻撃兵器は開発していなかった」と悔しそうに怒っていた。
UFOに保護され居心地が良かったヒトラー総統、立場は違うが気分は対等のように振舞っていた。 
「UFOを造った」と言い自慢していた。最初はプロペラ仕様で更に形だけ模擬したUFOを造ったがヒトラー総統は戦力にはならなかったと言っていた。

 
 その後、僕の想いにUFOグレイは「総統の軍服を作る店を知っていたら教えろ」と云う。
「上諏訪の並木通りから国道へ出る左角に洋服屋(今はない)がある」と答えた処、UFOは店の主人をコントロールし総統の軍服を作らせた。
 グレイが軍服を見て来いと云うので店の中を覗くと派手さはないがヒトラー総統の軍服が掛けてある。
店の主人は「一度ヒトラーの軍服を作りたかった」と言っていた。 嬉しくて「総統の軍服が作ってあった」とグレイに話した。
その後、ヒトラー総統の軍服を着替えさせたと聞いて見る機会を待った。
 小型UFOが母船に入り早く見たいとグレイの許可を得ず早足で見に行き容器の中に立つヒトラーの総統仕様の軍服姿を見た。 グレイから「勝手な行動をするな」と注意されたが大満足だ。
 これでUFO惑星とヒトラー総統との因縁は遺体を残し終焉した。

アドルフ・ヒトラー総統の没年日

昭和51年(1976年)7月23日  享年89  〝合掌〟


 037 ◎UFOという宇宙船
 
 UFOの名称になってしまった宇宙にある現実の乗り物『宇宙船』はUFOの意味とは別に呼称するように成ってしまった。
 UFOは本当なのか嘘なのか、そんなレベルの地球の感覚は宇宙に実在する文明に遠く及ばずグレイの惑星に一万年も文明が遅れ他の惑星の宇宙船を証明できない科学、現実であるも未確認飛行物体の『UFO』呼称は仕方ない。
【UFOとは〝Unidentified Flying Object〟で未確認飛行物体と訳され頭文字を採っている】
 大藤はUFOに乗った翌日、我が家に遊びに来て記憶を消された脳の底から「UFOや宇宙人は適切な言葉ではない」と言った。
僕は嬉しかったが「長い説明をしないで通じる止むを得ない言葉である」と返事をした。 地球の動物に埋め込む位置確認チップは知っての通りだがUFOグレイが人間に埋め込むチップは生物の組織似である。
 僕達はUFOの中で集まり埋め込まれたチップについて「レントゲンやCTスキャンには写らないがMRIなら写る」と仲間の情報を話していた。
 UFOの中でその噂が広まりグレイは「MRIでも写らないチップを開発する」と云う。
 
僕はそれ以前のチップを埋め込まれていたので写ると思いMRIを三回受け一回目のMRI画像を見たいと依頼したが担当ドクターは出向医で会えず其のままになってしまった。
 二回目は諏訪中央病院の人間ドックでMRIを受けたが写っていなかった。三回目、2018年8月諏訪中央病院のドックでMRIを受け「UFOに埋め込まれたチップが有るはず」と言うとドクターは「額に何かあるとしたら是だ」と言い黒く丸く写っていた。
「埋め込まれたチップだ」と言うとドクターは機械的なものではないと言う。
「一万年進んだUFO文明の生物組織似の通信装置です」と言うとドクターは唖然としていた。

 僕に埋め込む感知用生物チップは鼻孔から更に奥へ埋めてあり、後には額と後頭部に埋められ三ヶ所になっている。
 茅野市の運動公園テニスコートで彼女と硬式テニスをしていた時の出来事である。僕がテニスボールを打ち返えした処、途中でテニスボールの表裏が逆になってしまった。
彼女がボールを見て不思議だと言っている。
 確かに途中でテニスボールが変った瞬間を僕も見た。
カッターナイフでテニスボールを切った処、矢張りフエルト状が内側になっていた。
 その日の夕方、上川の通勤バイパス(堤防道路)を諏訪市方面に走行中、長径100m位のフットボール型小型級UFOが真横にいる。上川の上を僕の車と同じ速度でUFOが動きそのまま行けばUFOは橋に衝突する。衝突かと思った事は起こらず瞬時に橋の先へ移動している。
 また変な事が起きたと助手席の彼女は心配そうだ「UFOは僕に用事があって来たんだ」と記憶の底から出てくる言葉は虚ろだ。
 上川通勤バイパスの両側は多くの車が走行し近くでUFOを見た人は多い筈。
 UFOに乗り早速テニスボールについて訊いた処「テニスボールは我々が表裏を入れ替えた」とグレイの返事であった。

 UFOグレイは「円盤型や小型級の宇宙船を惑星では〝ボート〟と呼称している」と云う。「UFOボートの操縦席へ座って良い」と云われ、人間には狭いUFOの操縦席に座った。脳が思い指示した通りUFOボートは動き実家へ行こうと実家の上空へ来た。
 実際にUFOボートを動かしたのでグレイは「直ちに元の位置に戻せ」と強く指示を出し僕は元の宇宙空間へUFOボートを戻した。
 僕は瞬間移動するUFOが必要になり「UFOボートを貸してほしい 生活に時間的な余裕がない UFOボートがあれば助かる」と頼んだ。
UFOグレイは無理な依頼に無視を続けながら落胆した僕に困惑している。
 後日、UFOグレイに「何故UFOボートを貸してくれないのか」と訊ねた処「余っているUFOボートは一機も無い 貸し出せば惑星からの処分がある」と答えた。

 UFOで毎回行われる体検査中にUFOで来る惑星人の種類を質問した処、UFOグレイは虫の居所が悪いのか「聞くな」ときつく云われた。
「我々も意思とは別にUFOへ来て協力している」との反論を受け入れ答えてくれた。
地球へは 諸々の惑星から多くの惑星人達が宇宙船で来ている メカニズムの異なる多くの宇宙船が来て〝UFO〟と言われている」と云う。
 グレイの云う宇宙から来る惑星人の種類の数が多くて驚いた。様々な惑星から来ている宇宙人と言われる惑星人の種類は16を越えていた。

 子供向けのテレビ番組で遣っていたトカゲ似の二足歩行の惑星人が実際にいるという。「地球人はトカゲ姿に脅えてしまう だから地球へ立ち寄らない」
「トカゲ人の呼吸は 二酸化炭素を吸い酸素を吐く 微量でも二酸化炭素が有れば呼吸に支障はない」と、皆に説明している。
その惑星のトカゲ人が地球の大気で呼吸をするなら植物と同じだと言って笑い、緑色をしているのだから矢張り植物色のトカゲ人とまた笑った。

 宇宙では多くの惑星が気の遠くなるような億年単位で文明を発展させ、宇宙船も巨大化してUFOグレイの惑星も刺激されているようだ。
 グレイの惑星の葉巻型UFOは僕の子供の頃から長径が20㎞・50㎞・80㎞と急速に巨大化し、更に巨大な長径200㎞の宇宙船を建造していると云う。 
「惑星に そんな巨大な宇宙船造船所があるのか」と訊いた処「宇宙空間で建造している 同じ金属同士は真空中で合わせれば自然結合する」と説明した。

 デジカメが普及する以前、フィルム使用の一眼レフカメラをUFOへ持ち込んだ。
引き伸ばせば細部まで大きくする事ができUFOの中で気付かなかった物まで見る事が出来ると写真を撮っていた。
 グレイにUFO内部で写真は撮るなと再三注意されたがグレイの様子を伺いながら、まだ大丈夫と撮り続けた。
 帰りにはグレイも忘れているだろうと思っていたがグレイから「今後 帰りには全員の持ち物検査をする」と告げられ藪蛇になってしまったがもう遅い、帰り際にカメラからフィルムを抜かれ、返さないだろうと思ったカメラは返してくれた。

 「夢だろうか」と自分の腕をつねる習慣が偶然にも僕をUFOの中で本来の我に戻した。気付いたグレイは簡単にまた僕をコントロールする。
 UFOにコントロールされている時にコントロールを解く方法は〝身体に相当の痛みを与える事で誰もが本来の自分に戻れる〟と、この時に偶然知った。
 次にUFOへ乗る時の用意に形状の良いナイフを出し机の上に置き、UFOに乗った時はこのナイフで腕を刺そうと思っていた。

 UFOに乗る夜である。ナイフが無い、頭の中がボーとして幾ら探してもナイフは何処にも無かった。何か持って乗らなければと机の上にあった大きめの安全ピンを持ち、これで腕を刺そうとUFOに乗ったのである。

 僕はコントロールされているだろう、そう思いながら大型の安全ピンを何回も腕に刺した。UFOに乗っている仲間が見て驚きコソコソ話をしているが、これでもかと刺した。

 グレイに行動を知られてやる事には直ぐ対応され更に強くコントロールされてしまう。UFOから帰る時間には傷は治され痕跡もない。

 UFOグレイは『ナイフは危険だから隠せ』と、前日にコントロールしたと云いナイフは後日、押入れの中に隠すように入っていた。
人間が何処に居ようと簡単に意志の伝達を可能にしてコントロールする。人間ごときでは対抗できない超高度文明なのである。

 UFOに乗せる人間は日本の古代まで遡り、二千年の血を引く人達とグレイは説明した。
UFOから惑星人が大和に降ろされた時代から大和人に何かを組み込んだのだ。
 医学など知識皆無の僕はUFOグレイに遺伝子か血液型か聞く程度しかできない、遺伝子は違うとはっきり云っている。
 知りたい事を教えてなかったが「人間の血液型はUFO医学が作ったのだ」と云い、血液型を人為的に作った理由を訊いても必要性の説明はしなかった。

「〝ライオンの握手〟はするな」とグレイは僕に注意している。
ライオンの握手はフリーメイソン同士がする握手の方法で、親指と親指を掛け中指と薬指で腕を挟んで持つ方法で「王様が亡くなった時に握手をしたのが元」だという。
 転じて親達や目上の人との死に握手もライオンの握手と云い、ライオンの握手をすればその家系は断絶するが生存中の人同士のライオンの握手は良いと云う。
 文明が超高度に発展しているのにUFOグレイの手相や占い、縁起担ぎのような事に違和感と疑問しかなかったが超能力の人達は理論的に説明出来るのだろう。

 ある日、僕達が先に乗っていたUFOへ女子高校生が学校の制服で初めて乗ってきた。愛い顔立ちの佐久地方の娘だった。
UFOには幼少の頃に皆が乗っているのに何故高校生で乗ったのだろうと話題になった。
 早速UFOでの体検査が始まりグレイはその彼女の局所へ大きな器具を挿入し始めた。牛や馬に使う医療器具の大きさで心配であった。
痛みは止めてあるだろうが・・・彼女は悲鳴をあげ作業は中断した。
 UFOグレイに「若い娘は処女膜があり破れると激痛あるのに何故か? こんなにも人体を調べ知らない筈はないのに」と怒りで言ったが無視された。
その後、その娘は新たな情報を僕達に直ぐ知らせ〝ラジオ〟の綽名が付いた。

 UFOの中で彼女と気が合い電話番号を聞き紙切れにメモした。
彼女に地上で会うのを楽しみにしていたのだが、僕は記憶を消され帰されるのである。 
起きたベッドの所に紙切れが置いてあり誰の電話番号か市外局番からある。
 迷いながら電話した処、電話に出た女性が「小松さんでしょ 電話を切らないで」と言う。下心で電話をしたと思われるのが嫌で直ぐ電話を切り電話番号は捨てた。

 その頃、僕は軽井沢の百合子と付き合っていてドライブ中に道が分らなくなり迷い込んだ御代田町の公営住宅の一軒のドアをノックし道を教えて貰おうとした。
ドアを開けた女性は見た事がある。その女性は「UFOで会っているから 上がってお茶を飲んで行って」と薦めているが百合子と一緒だ、家に寄る事はできない。
 その女性に「以前諏訪に住んで居た事はないか」と聞いた処、笑いながら「住んだ事は無い」との返事である。
何故だろう気軽に会話をさせ何かを感じるも何故だか分からない。
 その女性は諦め顔で「先週UFOで会ったのに 電話をかけて来たのに もう記憶消されているからだめネ UFOの話をすれば皆に笑われるから もう話はしない」と寂しそうだ。話しても辻褄は合わない、僕は記憶を消された闇の部分を持っている。

 UFOで記憶が欲しいと頼むも「自分で思い出せ」と、きつく云うだけだった。
「如何して僕の記憶を消すのか?」と訊いた処、UFOグレイは「徒党を組んで反乱を起こす奴は記憶を消すのだ」と云う。
面と向かって記憶を消される僕の悪口を云うので身の置き場に困った。
 反乱はUFOの内部で起こす訳はない、考えただけでも直ぐ知られてしまい高度な知能や高度の武器を持つUFOの人達に素手で戦いを挑み勝てる訳もなく僕達の命は無いからだ。徒党を組むからの理屈は成り立たない。
「次にUFOに乗る日にちを教えてほしい」と一人が頼んだ。
「その方が良いのか」とグレイが皆に聞き何月何日と云っていた。
しかし、記憶を消される僕や多くの人には無駄な事だ。


 038 (後までの後悔)

 大藤と知り合う前、UFOで諏訪清陵高等学校の男子生徒がUFOの仕事を手伝いながら「中学生の弟も一緒にUFOへ乗せたい」とUFOグレイに頼み、グレイに「一軒の家で二人は乗せない」と云われ相当落ち込んでいた。
 仲間達は「中学生で乗るのは早すぎる」と言いながら僕に頼んでやればと言ってきた。しかし「UFOグレイが駄目だと云うのだから 駄目だろう」と頼まなかった。
 その高校生は後日、理由は解らないが自殺未遂をして死なずに良かったとUFOの仲間が話し合っていた。しかし、その後に高校生は自殺し僕は知らずに何年か経ってしまった。
 UFOグレイに頼まなかった事で仲間に恨まれ皆が僕に黙っていたのだ。
僕を恨むな、その時には「UFOに中学生から乗る事は駄目だ 途中から乗るには若すぎる」と言っていたではないか。
「兄弟で乗せてやって」と、一言を口添えすればと後悔している。

 10年後、その弟がUFOに乗っているとラジオの娘が皆に知らせにきた。
なんと〝その弟〟とは僕と同じ会社に勤めている前記した大藤であった。
僕より歳は一回り若いが何故か気が合い時々自宅へ遊びに来させた。
 大藤は「亡くなった兄貴がとっても良い所へ連れて行って遣る」と言っていたという。大藤は知らされなかった事を如何しても知りたい様子である。
「UFOの事ではないか 兄がUFOに乗っていた」と言っても信用しない。
大藤とは超能力やUFOの事を何回も話したのに矢張り駄目か・・・。
大藤も皆と同じくUFOの神かくしに遇い記憶は消されて帰されるのだ。
 UFOが大藤の兄の願いを受け入れたのか、単に員数合わせで代わりに乗せたのか何れにしろUFOの人達の意思であり惑星が承諾している。

 UFOグレイは「我々が人間を乗っ取っている」と云ったり「人間を媒体にしている者が居る 遺伝子や霊ではない」と云ったり、複雑すぎて混乱するばかりだ。
 ラジオの娘が人間を媒体にする者は前頭部の脳に入ると聞いて「マジンガーZのようだ」と言っていた。
「人間を乗っ取っている? 媒体にする者? は同一なものではないのか」と訊いても「教える事はできない」と終らせた。
 僕は異常に興味があり知るべき重要な事だと思っていたが、何故訊かなかったのか、何回も聴き直せば教えてくれる可能性はあった。
 特に日本人にとっては可成り重要な事で自分の体内に何かが入り込み媒体にしている者が居るなど、寄生虫などとは全く別の未知の世界の事であり、後に訊く機会もなく知りたかったのに大後悔だ。
 UFOの一室に容器があった。興味本位で蓋を開ければ激臭がし頭髪が見え他は腐っている。動物も人間も平気で殺害する処を大藤も見ていたが僕と同じく何もできず後悔していた。



 039 何処に居てもUFOが来る)

 僕は十数回住居を変え住居地では必ずUFOに乗っている。東京世田谷に住んで居た時の事「芝生畑をよく見ておけ」と聞こえていた。
 出荷前の芝生に僕が入っても地主のおじさんは良いという。
普段なら誰が芝生に入ろうとカミナリ落として怒っていたがUFOがコントロールし全てが上手くいく環境にする。
 いつでも居場所が感知され夜間になり芝生畑からUFOに乗ったのである。
芝生畑の向かいの家で屋根裏空間を居場所にしていた息子がUFOに乗るのを見ていたと言い、UFOの事を知りたいと聞きに来た。
記憶は消されていたが根ほり葉ほり聞かれ思い出しては説明した。
今、芝生畑には住宅が建ち並び以前のような長閑でUFOに乗る場所ではなくなった。

 その後、転居してもその都度UFOに感知され乗せられ人に見られていた。
「ビル街でUFOに乗る人達は何処から乗るのか」と、以前からの疑問をグレイに訊ねた処「何処の屋上でも良い 上がって待つようにコントロールする」と云っていた。


 040 (反重力炉)

 現在、地球が接触を持つUFOの人達は重力を解明した科学を持つ惑星の人達である。重力の解明は反重力炉を完成させ反重力炉は反物質を生み出しUFOを稼働させる。
宇宙船移動原理は惑星により異なり地球の文明では理解できない原理ばかりだ。
 宇宙では多くの惑星の宇宙船が活動し技術の情報管理は徹底している。
「帽子(ハット)位の超小型UFOが僕の部屋に何回も入って来たが反重力UFOか」と聞いた処、グレイは「そのUFOは知っている 反重力のタイプではない」との事だ。

 UFOグレイは「重力は引力でなく宇宙空間が均一になろうとする圧力だ」と云う。
圧力を万有引力としたニュートンは近未来科学を阻害する大罪人と聞いた事がある。
「重力を利用した宇宙船自体は停止して 宇宙が動く概念を人間は理解できない」と地球には無いだろう不思議な概念を説明する。
 大小の宇宙船自体が重力場であり瞬間移動しても内部では何の衝撃も無く影響を受ける事はない。反重力炉が稼働すればUFOの移動方向は鉛筆程の三本の向きで全ての方向が決まる。 重力を制御する反重力炉の稼働は倒れないコマの原理に似て計算で証明できると説明する。
 重力を制御しているグレイのUFOや諸々の惑星の宇宙船を未確認だと地球は処理し、UFOと協定しているCIAは人的損害を隠蔽し説明は嘘ばかりであるがアメリカが国家安全保障に関するトップシークレットとし公にできない止むを得ない手法だ。

 アメリカのトップシークレット情報のUFOを日本の複数の総理大臣が遠回しに喋った。機密概念の無い日本政治家の平和ボケが上辺だけ聞きアメリカの機密を振り撒いているが日本の誰もが深く考えることも無く「そんな考えもある」くらいにしか思っていないのだろう。
 UFOが光って見える写真や動画はテレビでも特番で遣っていた。
船体が発光するとは思えない、何故光るのか訊ねた。
「UFOの反重力炉が稼動すれば 宇宙船船体の周囲をイオン化電子が飛び交う イオン化電子はぶつかり合い発光するが光は弱い」とUFOグレイは云う。
「このイオン化電子はステルス性があり地球のレーダーには写らない」と説明した。
教えないと思っていたUFOのステルス機能を聞く事が出来た。

 以前から反重力炉を見たいとグレイに頼んであった。
「反重力炉の休止時に見せてやる」との返事を貰っていたが依頼をしてから大分経つ。
子供の頃に見たが何かも分らず記憶も薄れ成人の今、見たいと長い間不満があった。
 今日は見せてくれそうと高まった気持ちに「稼働中は危険だ」と云う。
時間待ちをしていた処「来い」と云うグレイ、反重力炉が休止し待ちに待って見る時が来た。 
 心臓部のこれがそうだと黒色のフットボールの形で以前より更に小さくなっていると感じたが同じ反重力炉だという。僕の成長が物を見るのに同じ大きさであっても小さく感じている。
 制御箱がその横にあり反重力炉の制御装置は40×60×15センチメートルのカバーの中に入っている。地球上の機械機器の制御箱と外見は同じである。
 子供の頃に見た感覚と大人になって見た感覚は想像を大きく巡らすロマンの違いもある。
反重力炉を開発し小型化する技術、一万年先の文明を地球科学は知る由もない。
 UFOの惑星の文明であっても人工では反重力炉の燃料物質は作れないという。
以前、UFO惑星の燃料物質が枯渇間近で惑星文明の存続をかけ総力を挙げ数多くの惑星を探査し見つけたとの事であった。
 燃料棒も鉛筆位の大きさで反重力炉を50年間も稼動させる事ができ、通常は30年で取り替え資源の確保と安全管理は可也の余裕である。
 反重力炉の事は他のUFO関連の著書にも記載があるがUFO搭乗者の本人が著者ではなくUFO搭乗者に何等かの利益を与え情報を得ている。

 UFOに乗った直後のハッチを見ながら閉める時を待った。潜水艦のハッチの形状で段差があり蓋は完全に外し立て掛けてある。
 パッキンを使う事はなくハッチを閉めてしまえばUFO船体と同化し何処にあったのか痕跡もない。分子まで分けて切断し加工や接合ができる技術があると聞いた。
 UFOの船体はアルミニュウムの原子核同士を繋いで作り桁違いの強度を持つという。宇宙空間には浮遊物も多くあり物質の性質も解らず何が当たっても防御する絶対強度の金属を造り出しているのである。
 友人の物理学者に話した処、核融合が起こると言い相手にしない。それならば一万年の文明差は核融合を抑え最強の金属を作り出す技術がある訳だ。
全て科学技術の桁が違うという事ではないのか。UFOの船体を覆う金属の説明を聞いて僕は納得している。
 重力は波だとUFOグレイの説明を話したが面倒そうに「そうだ」と話は続かない。「重力波は宇宙の果てまで同時に届くが伝搬速度はゼロ秒ではない」とグレイが云っていた。理論など凡人の僕が解る訳もなくUFOグレイから聞いた通り言っただけだ。

 僕に諸々の知識があったのなら、もっと質問しただろうが地球上の物理知識もなく一万年離された文明では価値観も地球の感覚とは違い云われた通り受け入れるのみ。
 秒速が30万キロの光より7万倍以上も速いUFOボート、秒速は210億キロ以上で速度と云わず光より速いものは無い地球は一万年先の文明の分野に入れる訳はない。
 グレイは「光速の七万倍のUFOボート移動でも内宇宙の果てまでは行けない」と云う。930億光年の内宇宙を横断するにはUFOボートで130万年前後が必要になり、燃料棒は最小でも26,000本が必要となる。

 著者の何人かがアダムスキー型UFOを取り上げ書くので乗りたいとグレイに頼んだ処、次には約束を守り、我が家の上空にアダムスキー型が来た。
 UFOの下側にある三つの丸い形状を見てその迫力に圧倒される。アダムスキー型UFOの下の三つの丸い形状の一つは地球では未だ知り得ないプラスとマイナスの中間の電気であると説明した。
 アダムスキー型のUFOは古いタイプであると後から聞き心配になったが今も安全な宇宙船であるいう。

 アダムスキー型UFOの著書より少し前の大事件をテレビや雑誌で取り扱っていた。「ロズウェルのUFO墜落は未だ取沙汰されるが事実か」と訊いた処、UFOグレイは「事実だ」と答えた。
他にもUFOが墜落したとの雑誌記事があり疑問に思い訊いた。
 グレイは「惑星で古いボートタイプ(小型円盤)が中古品としてある 地球の中古車販売のような形式で惑星の許可を得て 個人や共同で購入出来るシステムがある 私的に使う中古UFOの墜落が多発し 惑星の技術機密が漏れる事を憂慮している」と云う。
 中古UFOがこれ以上多くなれば他の惑星での墜落は技術流出ばかりでなく相手によっては武力衝突の危険もある。
 UFO墜落事故発生で救出の専門隊が惑星から行く事になっているが救出に距離で時間がかかる場合、直近のUFOが救出にあたる。
しかし、事故があればその時既に連絡が取れない事が多く救出は難しい。
 惑星は事態を踏まえ、もう直ぐ中古UFO販売不可法が制定され個人では買えなくなり、UFOボートの中古販売を不可とする法律に反対者が多く惑星は揺らいでいるという。


 041 (UFOは見える)

 毎日、750人以上の日本人をUFOは乗せ同じ人を降ろす。その任務を遂行するUFOボートは毎日、百機前後が日本上空で稼働している。
〝そのUFOは何故見えないのだろう〟
 乗り降りには多少なり時間がかかり近くに居れば見る事は出来る筈だ。
空想や透明ではない物体、実は見えないのではなく人間が見ないだけである。
 これ程UFOが来ても見る事ができないのは一万年進んだテクノロジーにあり、前日にUFOが地域全体の人間をコントロールし翌日の夜は上空を見ないようにする。
 コントロールされた人間は翌日の夜、自分の意志として外出を控え例え外に出たとしても上空など見ないのである。
 見た人は如何しても何か必要で眠さや疲れに耐えていた人が外に出てタイミングが良ければUFOを見る事が出来る。
 他に見る事が出来る人はコントロールの日、他の地域に居てUFOのコントロールを受けない状態で帰って来た人だ。

 地球の催眠術は分っても一万年先の宇宙文明のテクノロジーは信じない。
地球以外の惑星の宇宙船や文明、その人達の存在を立証し認めるだけの科学力がない。
人間だってやがて超高度な電子機器で脳を操る事が出来るようになるだろう。

 ライト兄弟が空を飛んでからも月へ行けるとは思わなかったであろうが地球の早い百年の文明進化は月へ行ってきた。
 地球の文明が進化し続けるのなら今から一万年後には想像を遥かに超え超高度な文明を構築し〝宇宙遥か〟と飛躍するであろう。


 042 (UFOで貰った石)

 机の引き出しに理由は分らないが長い間、大切にしている石が入れてある。
黒系で所どころ黄色と白色が入っている握り拳大のゴツゴツしている石、引き出しを開けた時には見ていたが特に気にもしなかった。
 必要のない石なら捨ててしまえと窓から外へ投げようとした時「捨てるな」と聞こえ、もう一度投げようとして「捨てるな」と同じ声が聞こえ引き出しの中へ戻した。  

 日を替え、捨てようとした処「捨てるな」の声が聞こえた。
それなら「捨てるな」の声に逆らいたい、庭に投げようとして聞いた声は急に穏やかになり「捨てて良い」である。
 それなら捨てるのは止めにしよう。いらないのなら「捨てて良い」と云ったなら捨てないと見透かされている。これはUFOが人間を操る自動会話システムだ。

 何ヶ月か経ちUFOで貰った石だと思い出し、絶対に他の惑星の石だと思い機会を作り分析に出したい楽しみになってきた。
 ネットで分析している施設を調べ大阪の造幣局は分析可能で依頼の第一候補にあげ、行くなら造幣局の桜が見られる時期が良いと思った。
 更に調べると近くでは何回か見学に行った事のあった新潟県糸魚川市にあるフォッサマグナミュージアムでも分析を遣っている。
 とにかく分析したいと思い前日にフォッサマグナミュージアムへ分析依頼しドライブを楽しみながら向かった。分析して貰う事には楽しみと結果に若干の心配が心の何処かにある。
 フォッサマグナミュージアムでは展示品を見学し受付に昨日依頼した石の分析をしてほしいと伝え直ぐ分析官に連絡をしていただいた。
 持って行った石を見た分析担当官は「分析しなくても直ぐ分かる 糸魚川市にはよくある石だ 珍しくもない 姫川には沢山ある」
「エッ! ただの石だって! 近くを流れる姫川の石 ??・・・」
 やり場のないマイナス衝撃。糸魚川市の姫川には翡翠がある筈、くれるなら絶対翡翠をくれた筈だ。
ただの石では何の意味も無いきっと分析官の間違いだ。 UFOで貰った石だと説明したが驚きもしなかった分析官、僕が変な人間だと思われてしまったのだろう。
代金はいらないと言う分析官に石の切断をしていただき帰って来た。


 それから一年後、UFOで石を貰った時の細部を思い出した。UFOグレイから僕の石は普通の石と云われていた。
UFOの中では「姫川の翡翠の原石を貰ったんだ」と、何人もが自慢して見せ合っていたのに僕はただの石だった。
 UFOで怒り心頭になり「他の人達は姫川の翡翠原石を貰ったと見せ合っているのに 何故僕が〝ただの石〟なんだ 翡翠は如何して貰えないんだ ただの石なんて要らないよ!」と声を荒げたがグレイは怒って「如何しても持って帰れ」と云う。
支配する者と支配される者、それ以上の反抗はできず持って帰った。
 僕の欲だ、翡翠でない悔しさをUFOの中で顕わにした。
 目的は知らされず渡された石、その石を貰った時の遣り取りを思い出し金庫に入れた。普通の石でも貴重品、取り扱いは急に翡翠以上に丁重に変った。
先を見通すUFOグレイ、本を書いている今は写真挿入に必要と僕に渡したと解釈した。


 043 川島芳子・愛新覺羅顯㺭

 僕の中学生の頃、新聞の広告欄に『男装の麗人・川島芳子』の本が載っていた。何回も広告に掲載され新聞広告の週刊誌にも川島芳子の写真が載り、その都度見ているうちに小粋な川島芳子の軍服姿が気に入り、憧れや女性としての魅力に引き込まれていた。
 その後の報道で李香蘭(後に山口淑子・参議院議員)との交流もあったことや、終戦後二人は軍事裁判にて漢奸罪(反逆罪)で川島芳子は銃殺刑、山口淑子は日本の戸籍謄本が届けられ漢奸罪は適用されず国外追放などの報道で僕の川島芳子に対する興味は更に深まっていった。
 一九七二年頃、UFOグレイは僕の川島芳子に対する興味知っており「川島芳子は吉林省長春に住んでいるが五年後には死亡する」と云う。    僕は「五年後に死亡するなら今直ぐ会いたい」と申し出た処、UFOはタイミングを見計らい僕を川島芳子の家の前へ降ろした。
 川島芳子が家から出て来たので挨拶をした処、僕が日本人であることを喜んだ。
川島芳子は一度家に入り回覧板を持って出てきて「中国にも回覧はあるが日本のように形式化されていない この回覧板は日本の習慣が残っている」と言いながら隣へ回して帰ってきたので、僕は松本の近くに住んでいると話すと松本の話しを聞きたい様子であったが「知られたくなから」と話は終わった。
「写真を撮りたいからカメラを持ってくるから待っていてくださいと」と言った処、不安そうに写真を撮ることを嫌った。 近所では「愛新覺羅顯㺭」と知っていたが彼女がこの地区に住むことを誇りとし口にすることはタブーとしていた。

 川島芳子は愛新覚羅皇帝を恩に思う元臣従たちによって処刑を逃れ、長春の元臣従の家に下宿という形で住んだが実際には事実婚であった。
 その家の主人が亡くなり家業の小さな雑貨屋を引き継いで営んでいた。近所では出来るだけ川島芳子の店から購入するようにし、野菜なども届け生活の手助けをしていた。
 川島芳子は痩せ型で歯は不揃いであったが六十五歳にしては自前の歯だろう入れ歯の様子はなかった。
一九七七年~一九七八年頃には新聞報道で川島芳子と思われる人物が亡くなったと報道された。


 044
 (ピラミッド)

 UFOグレイがピラミッドの歴史を説明し興味津々と聞いていた処、ピラミッド建造は地球で言われているより更に三千年も古くUFOが八千年以上前から反重力の実験をピラミッドの建造でしたという。
 実験は反重力で重量物を動かす・コントロールで人間を動員する二つだった。
人間をコントロールで呼び寄せる実験の初期は方角違いで混乱したが人間を動員させる実験もコントロールが成功し、エジプトへ最大三ヶ月の旅をさせ人員確保は容易になった。
 反重力実験でピラミッドが建造され、太陽を反射させる表面装飾を施し最初のピラミッドが完成した。
その後、建設に動員された遠方の人々はピラミッドの太陽反射光が見えてから1カ月の旅の距離を歩き建造現場へ到着する。
 正確にピラミッドからUFOの惑星が見える方向に穴を開け一年に一度惑星が見える時に惑星はUFOを地球に派遣するとしたのである。

 テレビ放映のピラミッド番組や他の世界遺産番組に興味があり見ていた。
「ピラミッドの空間は二つあると確信している」と、テレビ特番で大学教授が言っていた。
 早速、UFOグレイにテレビの内容に付いて訊けば同じ空間は四ヶ所あると云う。「ピラミッドにはそんなに多くの空間は作れない」と言った処、グレイは「地下にもある」と説明を付け加えた。地下に空間があれば四ヶ所は納得できる。
 そして、ピラミッドは六角形との説明を聞きながら八角形なら理解出来るがグレイが説明するのだから間違いはない、何かあるのだろうと思っていた。
 その後のテレビ番組でピラミッドは八角形と言い、他のテレビ番組では六角形と言っていた。
 UFOグレイは「スフィンクスの年代はピラミッドよりも更に遡り 二万年も前にピラミッド建造とは人種も文化も違い同じ地に住んでいた人々を他の惑星から来た宇宙船が指導して建造させた」と云うのだ。
 二万年前のスフィンクス建造後、雨が降る時代があり縦縞は雨の流れが造ったと云い横縞はその後、再度の気候変化で各年代の砂の位置に風に飛ばされた砂が作ったという。
頭部を含め全体が砂に埋もれていた歴史の長い時間が保全を助けたのだ。
 UFOから降ろされピラミッドの玄室へ入った時の事、一回目は玄室の石棺に蓋は無く二回目は厚さ15㎝位で石棺に合う石蓋がしてあり三回目は石蓋が斜めにずれ四回目には石蓋は玄室にも何処にも無かった。
 近代史に於いて蓋は無かったのだがUFOグレイは「玄室に石蓋を入れ その後出した」と云っていた。
 壮大な地球の歴史が浪漫をかき立て遥かなる古代エジプトへの想いが駆け巡りエジプトの大地に住んだ人々が壮大な歴史ロマンをオブジェとして残し夢を与えてくれた事に感謝している。
 UFOグレイは「1ドル紙幣にピラミッドがあり目がある プロビデンスの目と云い全て見通す意味がありフリーメイソンのシンボルだ」と云う。
 ピラミッドは建設した石工のシンボルで『影の世界政府フリーメイソン』の元祖はピラミッド建設の石工なのだ。


 ツタンカーメンにも興味があり死因の質問をした処、グレイは毒殺だったと説明した。UFOグレイの云う事はUFOにある記録から云っているのだから間違いはない。
 地球でも近年までは毒殺であったが死因に関連して複数の報道があった。新聞に出た死因にはマラリアと骨折とあった。
 更に直近のツタンカーメンの新聞報道には鎌状赤血球貧血症の痕跡があったと掲載されたが二件とも毒殺を否定する為ではなかったようだ。

 オリオン座の三ツ星のある方向に馬頭星雲があり、その手前にUFOの惑星がある。UFOはスフィンクスを馬頭星雲にみたてオリオン座をモデルにピラミッドを配置し建造した。
「近くにはUFOの惑星がなければ変ではないか」と質問した処「ピラミッド近くの地中に我々の二重惑星が隠されている ピラミッドの周辺には更に多くの建造物が造ってあり 石の街が創成され 地下に埋もれている スフィンクスは二基あったがピラミッド建設で一基は使い痕跡は残っていない」とUFOグレイは説明した。
 UFOは地球に文明差を突き付け支配下に置いている。古代から人間社会への干渉を続け、誘拐、殺害、養分確保、胎児生産、胎児からグレイへ育成、また、現在もCIAと
事ある毎に、日本、アメリカ、ロシアへ破壊工作をし、今後も止む事はない。

                     小松正宏 著

 

『 UFOの神かくし UFOと宇宙』へ続く

 






 
 
 
 

 



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